吉野家が本気のラーメン事業展開、提供食数世界No.1を目指す戦略とは
11月13日、株式会社吉野家ホールディングス(以下、吉野家HD)のグループ会社であるキラメキノ未来株式会社が、中国の上海に海外一号店「煌面ノ屋 上海南京東路歩行街店(キラメキノトリ シャンハイナンキンヒガシロホコウガイテン、以下キラメキノトリ)」をオープンしました。
吉野家HDの成瀬社長が放った「世界で一番ラーメンを販売する外食グループになりたい」という願いを実現できるのか、ラーメン事業の現在地を同社広報担当者に聞いてみました。
●第3の事業ドメインであるラーメン事業
2025年5月より当社代表取締役社長は成瀬が務めています。新体制で同月掲げた中期経営計画においても、ラーメン事業を成長事業と位置づけています。
吉野家HDは、2016年9月にせたが屋、2019年5月にウィズリンク、2024年5月に宝産業(製造)、2025年1月にキラメキノ未来を子会社化しました。そして、2019年にせたが屋が全力の元を子会社化しているため、吉野家HD傘下のラーメン会社は合計5企業となります。
ラーメンはグループの知見やネットワークを集結・融合させて基盤や仕組みを構築し、海外・国内とも事業展開をしていくことが、事業拡大の肝となっています。
当社のラーメン事業は、ラーメン食材の商品開発・製造加工・販売を行う宝産業もあれば、職人技を得意とするラーメンブランド、美味しさとオペレーションを高品質に維持しながらフランチャイズビジネスを得意とする企業もあります。
このような多彩な企業・ブランドの強み、そして、当社グループが有する食材調達・製造加工・店舗運営・物件開発などのさまざまな知見を掛け合わせて、強固な基盤を形成し、各エリア/マーケットに適したブランドの出店を検討してまいります。
●海外展開
各ラーメンブランドの海外展開エリア(2025年10月時点)は、せたが屋がアメリカ・韓国、ばり嗎がシンガポール・マレーシア・インドネシア・香港・フィリピン・オーストラリア・スコットランド、風雲丸が香港、ぶちとんがフィリピンとなっています。
重複を除くと、アメリカ、韓国、シンガポール、マレーシア、インドネシア、香港、フィリピン、オーストラリア、スコットランドの合計9か国で店舗展開を行っています。国内外のラーメン店舗数は、2025年10月末時点で125店舗です。(※せたが屋21店舗、全力の元9店舗、ウィズリンク72店舗、キラメキノ未来23店舗)
なお、ラーメン食材の商品開発・製造・販売を行う宝産業の工場は、アメリカ、フランス、タイ、インドネシア、フィリピンにあります。
上海のキラメキノトリは直営店ですが、ラーメン事業における海外店舗はFC展開が大半を占めます。これは、FCビジネスに知見・実績を有するウィズリンクによる海外店舗の割合が大きいこともあります。
▲ばり嗎 エディンバラ コックバーンストリート店の様子
●海外市場向けの微調整
今月進出したキラメキノトリは麺には現地産の小麦を使用しつつ、日本同様に噛むほどに広がる小麦の香りと旨み、もちもちとした食感が特徴の自家製麺を提供しています。看板商品は日本と同じく、「煌鸡白汤拉面(鶏白湯らーめん)39元」「煌・京都拌面(台湾まぜそば)40元」とし、価格は日本よりもリーズナブルに設定しました。
昨秋に当社初の欧州進出となったスコットランドの首都エディンバラに店舗を構えるウィズリンクによるばり嗎(直営)の場合は、メインメニューとなるとんこつ鶏ガラ醤油のラーメン「AJITAMA-UMA(味玉嗎)」は、日本で製造したスープを使用し、現地で最終的な仕上げを行って完成させます。日本で長く愛された味を受け継ぎ、欧州で受け入れられるように整えました。
昨年5月に韓国へ出店したせたが屋は、同社が日本で運営するらーめんブランドのひるがお店舗で提供している商品をベースに再現し、麺は店内製麺を行なうなどのブラッシュアップが施されています。
▲「煌面ノ屋 上海南京東路歩行街店」煌鸡白汤拉面(鶏白湯らーめん)
***
2029年度には「売上高400億円」「店舗数500店舗」を目標に掲げ、2034年度には「ラーメン提供食数世界No.1」を目指している同社。果たして目標達成となるのか、今後も同社のラーメン事業に注目です。
※画像提供:株式会社吉野家ホールディングス
(執筆者: 6PAC)
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。
