不動産探しでオンライン化の受け入れ進む。賃貸・購入層で省エネ性能の重視度もアップ

不動産探しでオンライン化の受け入れ進む。賃貸・購入層で省エネ性能の重視度もアップ

不動産情報サイト事業者連絡協議会(以下、RSC)が不動産情報サイト利用者にアンケートを行ったところ、不動産探しの工程において、オンラインの利用意向が増加していることが分かった。売買と賃貸では少し違いもあるが、いずれも利用したいと考える人が増えている。どんな探し方になるのだろうか?

【今週の住活トピック】
2024年版「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果を公表/不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)

オンラインを使った接客や契約への利用意向は増加傾向だが、賃貸が購入より高い

RSCの調査対象は、過去1年のうちにインターネットで、自身が住む住まいを借りるまたは購入するために不動産の物件情報を調べた(調べている)人。有効回答1642人の内訳は賃貸物件検討者1003人・購入物件検討者639人で、契約に至らなかった人を含んでいる。

近年広がっているオンラインを使った接客~契約の工程について、調査対象者に利用意向を聞いた結果を見ると、賃貸検討者・売買検討者ともに前回(2023年)・前々回(2022年)よりも「活用したい(積極的に活用したい+どちらかというと活用したい)」が増加していることが分かった。

ただし、「オンライン接客」「オンライン内見」「IT重説」「オンライン契約」のいずれも、利用意向は賃貸検討者よりも売買検討者のほうが低かった。また、売買検討者では、「オンライン内見」と「オンライン契約」については、「使いたくない(どちらかというと使いたくない+絶対に使いたくない)」が「活用したい」を上回る結果となった。

■以下の非対面型(リモート)の接客について、今後の住まい探しの際に使ってみたいか? (未契約者含む全回答者)

非対面型(リモート)の接客について、今後の住まい探しの際に使ってみたいか?

出典:2024年版不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」

オンライン化で不動産探しはどう変わる?

さて、不動産探しに関するオンライン化は、デジタル化の波を受けて、10年前から国土交通省がルールを整備してきた。不動産は売買でも賃貸でも高額な契約となるので、従来は対面によってなされることが基本だった。そのため、非対面で契約を可能にするために細かいルールを整備する必要があったからだ。これに、コロナ禍以降のリモートワークの普及が加わって、オンライン化に拍車がかかっている。

不動産会社と検討者の自宅などをつなぐオンライン会議のツール(Zoomなど)を使って、不動産探しの相談を受ける「オンライン接客」や、現地にいる不動産会社のスタッフが自宅などにいる見学者に現地の様子を動画で案内する「オンライン内見」などは、いまでは広く活用されている。

ただし、契約に関しては、国土交通省のルールに準じる必要があるため、不動産会社と契約者双方に所定のIT環境が求められる。なお、宅地建物取引業法では一部の場合を除き、契約を締結する前に、宅地建物取引士が書面により不動産に関する重要事項を説明する(略して「重説」と呼ぶことが多い)ことを義務付けている。

「IT重説」は、対面で行う代わりにオンラン会議などのツールを使って、宅地建物取引士が書面を口頭で読み上げる形で説明をするもの。また、「オンライン契約」は電子契約書を発行して、電子署名により認証をするものだ。

こうしたオンラインの活用で、不動産会社を訪問したり、訪問日程を調整したりする手間や時間が軽減され、不動産の取引を効率的に行えるといったメリットがある。一方、実際に見たり聞いたりして内見したいとか、重要な契約場面は対面で行いたいといったニーズも根強いことから、契約の額が高額となる売買では、使いたくないという回答が多くなるのだろう。

オンライン契約であれば、紙の売買契約書に貼る印紙を省略できるので、印紙税が削減できるといったメリットもあるのだが、目先の損得だけでなく、後悔のないような方法を選んでほしい。

高まる省エネ性能の重視度、省エネの違いを分かりやすくする制度も始まった

次に、賃貸検討者・売買検討者に「住まいを選ぶ上で省エネ性能は重要か」と聞いた結果を見ていこう。いずれも「重要(重要+どちらかというと重要)」と回答した割合がかなり高い。売買検討者では賃貸検討者よりも高く、85.3%に達している。

■住まいを選ぶ上で省エネ性能は重要か?(未契約者含む全回答者)

住まいを選ぶ上で省エネ性能は重要か?

出典:2024年版不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」

政府は、2050年までのカーボンニュートラル宣言の下、住宅の省エネ基準を段階的に引き上げている。省エネ性能の高い住宅では、外気温の影響を受けにくいので、冷暖房の効率がよくなり、光熱費を抑える効果もある。また、快適な室温を保ちやすく、居住性も向上する。こうしたことから、住まいの省エネ性能を重視する人が増えているのだろう。

一方で、新しい住宅ほど高い省エネ性能が求められたり、省エネ性能を高めるリノベーションを行った中古住宅が販売されたりと、市場で取引される住宅の省エネ性能の違いがわかりづらい実態もある。2024年4月からは、住宅やビルの販売や賃貸をする事業者が、広告をする際に省エネ性能を表示するラベルを掲載することが必要となった。不動産探しの際には、こうした表示なども参考に、省エネ性能の違いを把握するとよいだろう。

■建築物の省エネ性能ラベル(見本)

建築物の省エネ性能ラベル見本

出典:国土交通省「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」サイト

オンライン化が進んだり、省エネ性能基準が厳しくなったりと、住宅を取り巻く環境が急速に変わっている。生活基盤となる住宅だけに、選ぶ際には正しい情報を入手して、慎重に対応したい。

●関連リンク
不動産情報サイト事業者連絡協議会(RSC)「不動産情報サイト利用者意識アンケート」調査結果

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