【オフィシャルレポ】歌が心をつないだ夜──MeMe Meets pre 〈Live Meets Vol.6〉

若手アーティスト集団・EBiDANやVaundy などが所属するSDRのクリエイティブレーベル・MeMe Meets が主催するライブイベント〈Live Meets Vol.6〉が、2025年10月23日に東京SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで開催された。2022年にスタートしてから6回目となる今回の〈Live Meets〉には、MeMe Meets所属の
トップバッターのケタチガイは、アーティスト“mona+”によるソロプロジェクト。この日はVaundyの「napori」を皮切りに、アコースティックギターでの引き語りスタイルで5曲をカバーした。彼女の最大の特徴は空から降りかかり、大地を覆うようなスケール感のあるボーカル。その歌声の妙味を音数の少ないギタープレイで際立たせた「napori」に続き、優里の「ドライフラワー」で聞かせる肝の据わった太い歌声も、終わった恋への未練を引きずるのではなく、まるで吹き飛ばすかのような力強さがある。逆光照明で表情がうかがえないぶん、音だけがダイレクトに刺さってくるのも効果的だ。

MCでは「最後までみなさんに私の音楽を届けていきたいと思います」と告げ、Adeleの「Rolling in the Deep」を朗々とダイナミックに、TaylorSwiftの「I Knew You Were Trouble」を時に声を歪ませながらパワフルに届けていく。全英詞の洋楽カバーでは、無法にかき鳴らされるギターと、それに呼応するヴォーカルのインパクトが圧倒的。まるで荒野をゆく四輪駆動車のようなタフネスが感じられて頼もしい。さらに衝撃的だったのが、ラストを飾ったTK from 凛として時雨の「unravel」。激しくギターをかき鳴らしながら、泣き叫ぶようなボーカルで“覚えていて 僕のことを”と激情をほとばしらせ、大きな拍手を浴びた。

続いて、2023年にデビューしたICExの中でも、特に歌唱力の高さで知られる千田波空斗と八神遼介のステージになり、まずは真っ白な衣装でステージに現れた千田が、King Gnuの「The hole」をタイトルコール。スツールに座り、彼特有のソウルフルで透明感のあるハイトーンボーカルを、シックなホール空間に朗々と響き渡らせていく。だが、ICExメンバーが生バンドの演奏をバックに歌うのは今回が初で「いやぁ~本当に緊張しますね! ビックリするくらい。でもこうやって、みなさんの前で自分の好きな歌を披露することができて、とても嬉しく思います」と挨拶からは、初々しい本音がチラリ。そして「次に歌わせていただく曲は、研究生のときからいろいろなところで歌ってたりして。みなさんが聞き馴染みのあるような曲を選ばせていただきました」と、椎名林檎の「丸の内サディスティック」を歌い始める。軽快なギター&鍵盤プレイに乗せて自由奔放にグルーヴし、フェイクを聞かせるボーカルは、なるほど、歌い慣れているというのも納得だ。
ここで千田からバトンを渡されたICExの最年少・八神は、おそろいの白い衣装でJ-POPを代表する往年のラブバラードを2曲披露。まずは藤井フミヤの「Another orion」を、17歳とは思えぬ大人びた情感あふれる歌声で聴かせ、曲に込められた深い愛の世界を描き出していく。だが、生バンドと一緒に歌うのが初めてなのは彼も同様。「すーごい緊張しておりまして……はい、すみません、ありがとうございます」と、熟した歌声とは正反対に初々しさを露わにするのが微笑ましい。そこから「じゃあ、いこうかな」とタイトルコールしたのは、徳永英明の「レイニーブルー」。今度は立ち上がり、深い響きをたたえた声を、クライマックスでは絞り出して終わった恋を嘆き、ステージに見えない雨を描き出していった。さらに「せっかくなので」と八神が千田を呼んで、2人で米津玄師の「灰色と青」を歌唱。1番を千田、2番を八神と歌い分け、クライマックスでは掛け合い、声を合わせ、同グループのメンバーならではの阿吽の呼吸によるドラマティックなパフォーマンスで、客席の拍手を呼んだ。

そしてトリを飾ったのは、16歳の若さにしてLienelの歌を牽引する武田創世だ。赤のライダーズにデニムというラフなスタイルでスポットライトの中へと進み、バックで演奏される鍵盤とギターに合わせ、1音1音確かめるように歌い始めたのはaikoの「Kiss Hug」。痛いほどに純粋な恋心を最後の“I Love…”まで柔らかな歌声に乗せ続け、何かを追い求めるような仕草も垣間見せてオーディエンスを酔わせていく。ソロでのステージということで、彼もまた緊張していたのは言うまでもない。「Lienel以外の活動で舞台の上に立って歌うのは研究生ぶりのことで……今回は生演奏ということで、あんまり慣れなくて緊張しているんですけど」と伝えつつ、「あまり普段見れない僕の姿を、このライブを通してみなさんに見せていけたらなと思います」と宣言して、清水翔太の「your song」と、ちゃんみなの「ハレンチ」というタイプのまったく異なる2曲を歌唱。スツールに座って爽やかな歌声を届けた前者に対し、後者では赤、青、紫の光が照らすステージに立ち上がって、はすっぱなニュアンスの強いボーカルで喪失の惑いを妖しく訴えていく。「ハレンチ」に関しては「チャレンジ的な要素で、このライブに入れました」と付け加えたが、結果、Lienelのステージとはまったく違う顔を見れたという意味では大成功だ。

「すみません、あおりとかあんまり得意じゃなくて。普段のMCもメンバーに任せきりなんで、あんまりわかんないんですけど、自分なりに今日は構成をなんとなく考えてきたんで!」とうろたえ気味で、客席から“可愛い!”の声を呼ぶのも、ある意味でレアな顔と言えるだろう。そして「次の曲は、僕がどうしてもICExの八神くんと2人で歌いたいなと思っていた曲でして」と八神を呼びこみ、なんとKinKi Kidsの「愛のかたまり」を2人でデュエット。Bメロからサビでは武田と八神で主旋律とハモリを入れ替えながら、繊細なハーモニーを聞かせ、16歳と17歳のスペシャルコラボでオーディエンスの大喝采を呼んだ。歌い終えて退場しようとする八神を「ちょっと話そう」と引き止め、武田が「僕がやりたいって言ったら、やってくれて! しかも、ハモリも超キレイ!」と賞賛すれば、八神も「創世に“やろう”って言われたら、みんなやっちゃうよね。可愛いもんね」と返答。「1つの夢叶ったわ!」と興奮気味の武田は、最後に「僕の十八番的な歌で、絶対にやろうと思っていた曲です」とOriginal Loveの「接吻」を披露した。歌いながら堂々と身体を揺らす武田に客席からはクラップが贈られ、それに応えるように武田もステージを右へ左へと移動しながら、オーディエンスとの一体感を楽しんでいく。歌い終えると「いや、楽しいね!」と満面の笑みを見せ、「せっかくなんで」とICExの2人を呼び込み、3人で順に今日の感想を伝えていった。

「このイベントに出演することが決まってから、今日までずっと緊張してて。バンドの生演奏で歌ったことなかったから、緊張するけど、すごく楽しいというか。座って歌ってるとお客さんが近くて恥ずかしくて、どこ見て歌ったらいいのかわかんなかったけど……楽しかった!」(八神)
「僕も楽しかったです! だいぶ久々のソロ歌唱ということで、普段見せきれなかった部分をここで解放できて、本当に、すごく幸せな時間でした」(武田)
「バンドの生演奏で歌えるのは初めてだったので。自分に合わせてもらえるから、自分の歌いたいように自由に歌えるし、解放感があるし。自分の歌いたかった曲をみなさんに今日、この場で披露できたのは、とても嬉しいことだったなぁと思います」(千田)
それぞれに率直な想いを素直な言葉で語り、千田が「ここで歌わないわけにはいかないよねってことで」とつないで、武田が「清水翔太さんで「花束のかわりにメロディーを」」とタイトルコールすると悲鳴のような歓声が。千田から八神、そして武田と1フレーズずつ歌い継ぎ、三者三様の歌声で甘く、エモーショナルに、切なる“i love you”を客席に向かって歌い上げていく。最後は3人で向き合って“今夜だけは僕を見つめて”とユニゾン。素晴らしくスペシャルかつスイートなコラボレーションで、オーディエンスを魅了した。
「本日はありがとうございました! 以上“アイネル”でした!」と、2つのグループ名をもじって3人そろって頭を下げ、満場の拍手で締めくくられた『Live Meets Vol.6』。そもそも『Live Meets』が掲げる“何かと出会える場所がある。”というテーマの通り、今回もグループで活動する面々の知られざる顔と出会えたステージとなった。今後も新たな音楽、新たなパフォーマンス、新たな魅力と出会える場を提供し続ける『Live Meets』に今後も期待してほしい。

写真:武石早代
文:清水素子
セットリスト
ケタチガイ
M3:napori
M4:ドライフラワー
M5:Rolling in the Deep
M6:I Knew You Were Trouble
M7:unravel
千田波空斗&八神遼介(ICEx)
M8:丸の内サディスティック
M9:The hole
M10:Another Orion
M12:レイニーブルー
M12:灰色と青(+菅田将暉)
武田創世(Lienel)
M1:Kiss Hug
M2:Your Song
M3:ハレンチ
M4:愛のかたまり
M5:接吻
武田創世(Lienel)&千田波空斗(ICEx)&八神遼介(ICEx)
M1:花束の代わりにメロディーを
インフォメーション
[MeMe Meetsオフィシャルサイト・SNS]
Official web site : https://mememeets.com/
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