夫婦+愛犬に”ちょうどいい”コンパクト平屋。70平米・2LDKは、40代で老後まで考えた選択肢 Kさん夫妻・群馬県太田市

夫婦+愛犬に”ちょうどいい”コンパクト平屋。70平米・2LDKは、40代で老後まで考えた選択肢 Kさん夫妻・群馬県太田市

一戸建てのマイホームといえば、ポピュラーなのは「2階建て3LDK以上」。そのなかで家族のあり方やライフスタイルの多様化から、70平米前後のコンパクトな平屋が需要を伸ばしています。Kさん夫妻が建てたのも約70平米・2LDKの平屋でした。愛犬との暮らしやアウトドア気分も満喫できる住まいから “コンパクト平屋”の魅力を探ります。

将来まで考えて70平米・2LDKの平屋を選択

東武伊勢崎線・太田駅から車で20分ほど。群馬県太田市の静かな住宅地の一角にKさん夫妻の住まいはあります。外壁をホワイトとネイビーに塗り分けたキュートな建物は2階のない平屋。屋根からニョキッと伸びた煙突がチャームポイントになっています。

愛らしくもスタイリッシュなKさん夫妻の住まい。正面の外壁はホワイト、ほか3面はネイビーに塗装。見る角度によって表情が変わって楽しい(写真撮影/前田慶亮)

愛らしくもスタイリッシュなKさん夫妻の住まい。正面の外壁はホワイト、ほか3面はネイビーに塗装。見る角度によって表情が変わって楽しい(写真撮影/前田慶亮)

価格1342万円(建物)土地面積408平米敷地面積70.38平米間取り2LDK家族構成夫49歳、妻42歳、愛犬竣工年2020年施工会社中村住宅工業間取り図

(画像提供/中村住宅工業)

夫妻がこの家を建てたのは2020年のことです。結婚してから10年間、地元の太田市や千葉県などの賃貸で生活。「いつかは一戸建てに」と考えていたものの、行動に移すまでには至っていませんでした。
そんなとき、妻の目に止まったのは1枚のチラシでした。そこには平屋の一戸建てが写真入りで紹介されていたのです。

「家を建てるならこういう平屋がいいなとピンときたんです。階段がないほうが動線はシンプルだし、掃除もしやすそう。実は前々からタイニーハウスに憧れていたんですね。収納など限られた空間を工夫して使いこなすのも得意なんです」(妻)

夫にもそのチラシを見せたところ、「いいね。建てちゃう?」と大乗り気。平屋には、妻とはまた違う観点で魅力を感じていたそうです。
「高齢になると階段の上り下りがきつくなって、2階部分を使わなくなるとよく聞きますよね。僕らは2人とも40代と若くはないので、平屋にしたほうが先々まで部屋を有効活用できるかなと感じていました」
聞けば、平屋での生活は夫妻とも子どものころに経験済み。暮らしのイメージがつきやすかったのも選択をスムーズにしたのでしょう。

Kさん夫妻は結婚して15年。昨年、迎えた愛犬は夫妻のアイドル(写真撮影/前田慶亮)

Kさん夫妻は結婚して15年。昨年、迎えた愛犬は夫妻のアイドル(写真撮影/前田慶亮)

土地探しから依頼したのは、夫の勤務先が提携する住宅メーカーです。平屋の実績も多く、安心して任せることができたと言います。
そもそも平屋を建てる場合、ある程度、広い敷地が必要です。2階建て以上なら上に延ばして広さを確保できますが、平屋はワンフロアだけ。また、1階に採光や通風を十分確保するためにも土地のゆとりがポイントになります。その点、Kさん夫妻が暮らす地域には広い区画が多く、ちょうど更地で売り出されていた住宅展示場の跡地を購入できました。広さは約123坪(407平米)と申し分ありません。

建物の広さは約70平米で、リビングを中心に両側に居室のある2LDKです。
「もっと広い家を建てることもできましたが、2LDKぐらいが僕ら2人の暮らしにはちょうどいいなと思っていたんです」(夫)

憧れの薪ストーブを設置。薪を通じてご近所づきあいも良好に

プランニングについては、かなえたい夢がありました。それは薪ストーブを置くこと。聞けば、夫妻はそろってアウトドア好き。たき火を囲むのが何よりの楽しみになっているのです。
「キャンプをしているときのように、家でも薪ストーブを囲めたら癒やされるよねとずっと話していたんです。薪の火を眺めながらお酒を飲んだり、コーヒーを飲んだりしたいねって。それに、小さい平屋に煙突が伸びていたらかわいいじゃないですか」(夫)

念願の薪ストーブを設置したのは、リビングの掃き出し窓の前。冬の暖房としてはもちろん、オフシーズンもインテリアとして部屋を彩っています。
「本当はリビングの真ん中に置いたほうが熱効率がよいのですが、動線の邪魔になるし、平屋でこの広さならどこに置いても暖かさは伝わるかなと。実際、薪ストーブだけで全体を暖められるので、冬場もエアコンはまったく使っていません。朝から起きてすぐにつけて、仕事に出かけるときも火はそのまま(※メーカーが決める用法に従っています)。帰ってきたときの温もりにホッと和むんです」(夫)
薪ストーブのおかげでオール電化でも冬の電気代は1カ月あたり1万6000円程度。節電にも役立っています。
ちなみに、夏もリビングのエアコンをつければ、1台でほかの部屋も涼しく快適とか。冷暖房効率のよさは平屋ならではといえるでしょう。

とはいえ、気になるのは薪の費用。買うとそれなりに値段も張りそうです。
「薪を買ったのは入居した初年度の2回だけ。その後は近所で調達しています。例えば、庭木の伐採をしているお宅があったら声をかけて譲ってもらったり。処分代がかからないから助かるみたいで、お互いにウィンウィンなんです。近くの神社に声をかけたときも『好きなだけもっていって』と言ってもらえ、お礼におさい銭箱に500円を入れました」(夫)
最近は「庭の木を伐採したけどもらってくれる?」と声をかけてもらうことも増えたそう。薪を介してご近所コミュニティも広がっています。

夫の念願だった薪ストーブ。薪の火を眺めるのはもちろん、薪をくべるのも冬の楽しみになっている(写真撮影/前田慶亮)

夫の念願だった薪ストーブ。薪の火を眺めるのはもちろん、薪をくべるのも冬の楽しみになっている(写真撮影/前田慶亮)

今の家に住み始めてから薪割りが新たな日課に。譲ってもらった木は1年ほど干してから使うそう(写真撮影/前田慶亮)

今の家に住み始めてから薪割りが新たな日課に。譲ってもらった木は1年ほど干してから使うそう(写真撮影/前田慶亮)

もう一つ、夫妻がリクエストしたのは掃き出し窓の横のテラスです。ウッドデッキを敷いて、外の景色を眺めながらコーヒーを飲んだり、気候のよい時季は食事をしたり。友達が遊びに来たときはバーベキューをするのが定番。デッキ前には芝生スペースもあり、そこにテントを張って“おうちキャンプ”をしたこともあるとか。
「うちの隣地は太陽光発電の設備が並んでいて、向かいはその出入り口になっているんですね。だから人目が気にならず、日当たりも抜群。それもこの土地に決めた理由の一つなんです」(夫)

掃き出し窓の横がテラスに(写真奥)。奥まっているためプライバシーも守りやすい(写真撮影/前田慶亮)

掃き出し窓の横がテラスに(写真奥)。奥まっているためプライバシーも守りやすい(写真撮影/前田慶亮)

マイホームで得たフィギュアコレクションを愛でる幸せ

アウトドア好きの2人のこだわりは内装のデザインにも表れています。リビングは床だけでなく、壁や天井にも無垢の木をふんだんに使ってナチュラルな空間に。一面の掃き出し窓から注ぐ光と相まって、山の別荘にいるような気分になります。
床には足触りの柔らかいパイン材を使用。素足で歩くと気持ちよく、冬もひんやりしないとか。

木をふんだんに使ったナチュラルなリビング。ソファも色味を抑えたシンプルなものを選んでいる。左奥がキッチン。ここにも造作のカウンターをつくってスペースをフル活用している(写真撮影/前田慶亮)

木をふんだんに使ったナチュラルなリビング。ソファも色味を抑えたシンプルなものを選んでいる。左奥がキッチン。ここにも造作のカウンターをつくってスペースをフル活用している(写真撮影/前田慶亮)

隣接する洋室も同じく木のぬくもりが溢れる空間になっていますが、そこには驚きのスペースが。
棚一面にフィギュアなどがずら~り。まるでおもちゃ箱のようなにぎやかさです。
コレクターは主に夫。
「賃貸に住んでいたときから集めていたのですが、飾る場所がないからずっとダンボールのなか。せっかく家を建てるのだからと専用の棚をつくってもらいました。高さがバラバラなので入れるものを採寸して、寸法や収まりなどを何度も打ち合わせしました。眺めているだけで癒やされますね」と満足そうに見わたします。
コレクションは当面、減らす予定はなし。むしろ飾る場ができて増えそうな気配なのだとか。

壁一面に造作されたコレクションボード。フィギュアのほかに、玩具や漫画なども並び、一角には妻のコレクションも。棚は可動式で飾るものによって高さを変更できる。趣味のロードバイクもこの部屋に。出し入れがしやすいのも平屋のメリットだ(写真撮影/前田慶亮)

壁一面に造作されたコレクションボード。フィギュアのほかに、玩具や漫画なども並び、一角には妻のコレクションも。棚は可動式で飾るものによって高さを変更できる。趣味のロードバイクもこの部屋に。出し入れがしやすいのも平屋のメリットだ(写真撮影/前田慶亮)

フィギュアコレクションにはレアな“お宝”もあるとか。「眺めているだけで幸せです」と夫(写真撮影/前田慶亮)

フィギュアコレクションにはレアな“お宝”もあるとか。「眺めているだけで幸せです」と夫(写真撮影/前田慶亮)

コンパクトにまとまった水回りはデザインでゾーニング

そんなKさん夫妻の住まいはインテリアにもセンスが光ります。リビングと玄関の間につけられたのはオリジナルの扉。無垢材をブルーグレーで塗装し、チェッカーガラスによって光を取り込む工夫がされています。

左が玄関とリビングをつなぐ造作の引き戸。チェッカーガラスはプライバシーを守りながら、引き戸の向こうの気配を伝えてくれる。電気のスイッチはアメリカンスイッチにしてインテリアに溶け込ませている    (写真撮影/前田慶亮)

左が玄関とリビングをつなぐ造作の引き戸。チェッカーガラスはプライバシーを守りながら、引き戸の向こうの気配を伝えてくれる。電気のスイッチはアメリカンスイッチにしてインテリアに溶け込ませている
(写真撮影/前田慶亮)

一方、玄関は大型のシューズケースを設置してすっきり暮らせるように工夫。ここに設置したペンダントライトはなんと船舶照明!「インパクトが欲しくて無駄にでかくしました(笑)」という夫の言葉通り、存在感は抜群です。

その玄関に直結する洗面室はシンクや水栓、鏡などパーツを一つずつ選んで洗面台を造作。一方、トイレは配管をあえて外に出してインダストリアルテイストにするなど自分たちらしい演出がされています。
特に注目したいのは足元のクッションフロアです。洗面室はヘリンボーン柄なのに対して、隣のトイレは体育館風をチョイス。数歩で移動できる動線の短さはコンパクトな平屋の魅力ですが、そのなかで内装に変化をつければ空間の区切りが鮮明になり、生活にリズムを生み出すことができるというわけです。

玄関に設置された大型のシューズボックス(写真右)。2人分の靴もすっきり収まる(写真撮影/前田慶亮)

玄関に設置された大型のシューズボックス(写真右)。2人分の靴もすっきり収まる(写真撮影/前田慶亮)

洗面室や浴室は玄関に直結。帰宅後の手洗いもスムーズだ。正面の扉はトイレ(写真撮影/前田慶亮)

洗面室や浴室は玄関に直結。帰宅後の手洗いもスムーズだ。正面の扉はトイレ(写真撮影/前田慶亮)

玄関のアクセントになる船舶照明は鎌倉のショップ「HERMOSA(ハモサ)」で購入(写真撮影/前田慶亮)

玄関のアクセントになる船舶照明は鎌倉のショップ「HERMOSA(ハモサ)」で購入(写真撮影/前田慶亮)

洗面台は妻がパーツをセレクトしたオリジナル。棚の高さは収納したいケースに合わせて設計し、洗面ボウルの周りには白のモザイクタイルを張って水はね対策に。シンプルでナチュラルなデザインがヘリンボーン柄のクッションフロアとマッチしている

洗面台は妻がパーツをセレクトしたオリジナル。棚の高さは収納したいケースに合わせて設計し、洗面ボウルの周りには白のモザイクタイルを張って水はね対策に。シンプルでナチュラルなデザインがヘリンボーン柄のクッションフロアとマッチしている(左・写真提供/中村住宅工業)(右・写真撮影/前田慶亮)

トイレのクッションフロアは体育館の床がモチーフ。キズやチョークの跡も再現されている(写真撮影/前田慶亮)

トイレのクッションフロアは体育館の床がモチーフ。キズやチョークの跡も再現されている(写真撮影/前田慶亮)

階段のないフラットな平屋は愛犬との暮らしも安心・快適

好きなものを詰め込んだ平屋に暮らして5年、Kさん夫妻のライフスタイルには新たな展開が生まれています。昨年、フレンチブルドッグが家族の一員に加わったのです。

「ずっと迎えたいなと考えていたのですが、たまたまこの子に出会って連れて帰っちゃいました。生活は180度ぐらい変わりましたね。以前はダイニングテーブルや薪ストーブの前にソファを置いていたのですが、犬が歩きまわりやすいように家具を減らしました。
フィギュアを置いた部屋はもともと寝室だったんです。でも、おもちゃをかんだり食べたりするかもしれないのでもう一つの部屋に寝室を移して一緒に寝ています。ウッドデッキのスペースに柵をつけたのも外に飛び出さないようにするため。このスペースも大好きでうれしそうに駆け回っています」(夫)

もちろん、平屋なら階段から落ちる心配もなし。フラットなスペースを自由に行き来して、のびのび暮らしています。
犬を飼うことを想定して平屋を選んだわけではないそうですが、結果として大正解だったというわけです。

柔らかいパイン材のフローリングは愛犬の足にも安心。「前はスマホを落として床に傷ができるとへこんでいましたが、今は傷も味のうちと割り切っています(笑)」と夫(写真撮影/前田慶亮)

柔らかいパイン材のフローリングは愛犬の足にも安心。「前はスマホを落として床に傷ができるとへこんでいましたが、今は傷も味のうちと割り切っています(笑)」と夫(写真撮影/前田慶亮)

そんな生活の変化も含めて、コンパクトな平屋の住み心地を聞いてみました。
「動線が短いので掃除はもちろん、朝の身支度などなにをするのもラクですね。特にわが家はリビングが家の中心にあるので、キッチンで家事をしているときも引き戸を開けておけば住まい全体を見渡せます。夫がコレクションの部屋にいても気配は伝わりますし、犬がどこでなにをしているかも一目でわかるので安心なんです」

家のなかを行き来するときやテラスに出るときも、常にリビングが中継点となるのでおのずとコミュニケーションをとる時間も増えているのだとか。

家を建てるとき、つい広さや部屋数を優先してしまいますが、一番大事なのはどんな暮らしをしたいのかを考えること。Kさん夫妻の幸せそうな笑顔を見て改めてそう実感しました。愛犬を迎えられたのも将来まで安心して暮らせる平屋だからこそ。ライフスタイルの変化にも柔軟に応えてくれるのが平屋なのかもしれません。

●取材協力
中村住宅工業

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