映画『蔵のある街』山時聡真インタビュー「どの街にもたくさんの希望と勇気が詰まっている」

昔ながらの街並みが残る岡山県倉敷市の美観地区を舞台にした映画『蔵のある街』が8月22日より公開中です。本作は主人公の高校生が夢をあきらめかけた友人を励まそうと倉敷美観地区で花火の打ち上げに挑む青春物語。

本作で、主人公の難波蒼を演じた山時聡真さんに、撮影の思い出や作品の魅力についてお話を伺いました。

――本作楽しく拝見いたしました。初主演となりましたが、決定した時はどの様なお気持ちでしたか?

オーディションで選んでいただいたのですが、決定の知らせを受けた時は本当に驚きましたし、主人公という初めての立場に身が引き締まりました。撮影時が大学1年生だったのですが、蒼をなるべく普通の高校生として演じたいなと思っていたので、去年まで高校生だった素の自分のままで臨みました。

――主演が決まって、ご家族やお友達もすごく喜ばれたと思います。

1番喜んでくれたのは家族です。5歳からお芝居をやっているのですが、昔から母は一緒に現場に来て、マネージャーの様に支えてくれていたので。友達も「次はどんな作品に出るの?」と聞いてくれるのですが、本作については「『蔵のある街』って映画で主演をするんでしょ、すごいね!」とニュースなどで知ってくれていて。周りのみんなも喜んでくれて本当に感謝しています。

――先ほど、自然体で演じる様に心がけていたというお話が出ましたが、本当に自然なお芝居が心地良かったです。

ありがとうございます。倉敷が舞台ですが、どの街にも美しい希望があるし、そういう想いを伝えたいなと感じていたので、観客の皆さんが共感出来る様な人物像でいなければいけないなと思いました。
今回は花火がテーマになっていますが、どの街にもその街を象徴するものがあると思います。当たり前のように存在していても、実はとても尊いものって周りにたくさんあると思うんです。コロナ禍で花火が倉敷の方々の希望になった様に、皆さんの住む街、地元の街にもたくさんの希望と勇気が詰まっているということを感じていただけたら嬉しいです。

――蒼というキャラクターに共感出来た所はありますか?

責任を持たずに約束しちゃうみたいなところはすごく分かります。僕も人が感じていることを察しやすいので、その場の空気を取り繕ろうとしてしまうというか、自分が空気を変えようと思ってしまう時があるんです。そういう時に責任がない言葉を言ってしまって後悔してしまうこともあり、蒼に共感しました。作中で、蒼はその約束についてすごく悩みますが、その苦悩がよく分かるので演じる上でも気持ちを投影しやすかったです。

――倉敷の美しい街並みも登場人物の一つとなっていますが、訪れてみていかがでしたか?

倉敷には他の作品で行ったことがあって、すごく綺麗な街だなと思っていました。その時は短時間の滞在だったのですが、本作でしっかりと過ごすことが出来て、包容力がある街だなと気付かされたんです。ロケでも色々なお店を使わせていただきましたが、店主さんなど、街の皆さんが「頑張ってね」と家族の様に迎え入れてくれてすごく優しかったです。

――オフの時間などに訪れたお気に入りの場所はありますか?

撮影現場の近くに「みそかつ梅の木」という、有名な味噌カツ屋さんがあって。いつも行列になっている人気店なのですが、2度食べに行って、めちゃくちゃ美味しかったです。一見、カツに見えないナゲットの様な見た目なのですが、本当に美味しいのでぜひ倉敷に行った際は食べていただきたいです。

あとは、デニムストリートにも行きました。僕の親戚にあたる方が倉敷に住んでいて、車で連れていってくれたのですが、デニムとシャツを買って、撮影中はずっとその服を着ていました。デニムには「育てる」という文化があって、基本的には洗わないで、3か月に1回ぐらい水で洗って、良い色に仕上げていくという。出来るだけ大切に育てて、大事に履き続けていきたいです。

――山時さんはファッションがお好きなのですね。

全然詳しくはないんですけど、大好きです。最近はリサイクルショップや古着屋さんに行って、どれだけ宝物を見つけられるかということをやっています。事務所の先輩の菅田将暉さんが、一年に一度くらいの頻度で後輩たちに洋服をくださるのですが、僕もたくさんお仕事を頑張って、いつか僕も後輩にしてあげたいと思います。

――先日20歳になって、どんどん役柄の幅も広がっていきそうですね。

20歳になって責任が出てきたなというのは感じますし、未成年の時に先輩に気を遣ってもらったことをすごく思い出して、見習いたいなと思うんです。本作もそうですが、人と人とのつながりというのがとても大切だなと実感しています。例えば、オーディションで落ちてしまったとしても、そのことが経験になり次につながることも多いので、今は色々な人と出会ってたくさん話をして、吸収することを心がけています。

――おっしゃるとおり、本作を観ると人とのつながりを改めて大切にしたくなりますよね。

僕も今、この作品に出会えて本当に良かったと思っています。蒼が普通なら諦めてしまいそうな問題に果敢に挑んでいく姿がカッコ良いですし、行動力に驚かされていました。若者一人でもたくさんの心を動かすことが出来るということに感動しましたし、たくさんのことを学びました。
個人的にも感じることが多かったです。僕は高校生時代がコロナ禍で部活動や文化祭に制限があって。でも、最後の文化祭ではマスク無しで文化祭をすることが出来て、その日を希望に授業を頑張っていたんです。そういった僕自身の思い出とも重なる部分もあり、とても大切な作品になりました。たくさんの方に楽しんでいただきたいです。

――今日は素敵なお話をありがとうございました!

撮影:たむらとも
スタイリスト:西村咲喜
ヘアメイク:髙橋幸一(Nestation)
ジャケット¥46,200/Wizzard(TEENY RANCH 03-6812-9341) パンツ¥108,000/peter wu(M 03-6721-0406) その他/スタイリスト私物

映画『蔵のある街』
公開表記: 8月22日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
コピーライト: ©︎ 2025 つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会

出演:山時聡真 中島瑠菜
堀家一希 櫻井健人 高橋大輔 陽月 華 前野朋哉 MEGUMI 林家正蔵 橋爪 功   
監督・脚本:平松恵美子 音楽:村松崇継
主題歌:手嶌葵「風につつまれて」(ビクターエンタテインメント)
企画・製作:つなぐ映画「蔵のある街」実行委員会 制作プロダクション:松竹撮影所
企画協力:倉敷市 
配給・宣伝:マジックアワー 
特別協賛:高砂熱学
https://kuranoarumachi.com/

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藤本エリ

映画・アニメ・美容が好きなライターです。

ウェブサイト: https://twitter.com/ZOKU_F

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