大鈩不動尊の謎の果樹園「観光果樹 不動園」に行ってみた
名所「大鈩不動尊」(静岡県静岡市駿河区丸子大鈩)をご存じだろうか。森の奥にある武田信玄の守り本尊で、滝の周囲には無数の地蔵と人形が並んでいる。もともとあった地蔵もあれば、訪れる人たちが置いていく人形もあるという。
……と解説しつつも、筆者も初めて大鈩不動尊の存在を知った。その詳細を書いているインターネットサイトは少なく、「NAVITIME」公式サイトには以下の解説が掲載されている。
<大鈩不動尊の解説 / NAVITIMEより引用>
「高さ2mほどの滝の上に佇む不動尊。荘厳な森の奥に丸子城で武田信玄の守り本尊となっていた「愛宕山大権」のお堂と「不動明王堂」が建っている。滝の周囲には300体以上の地蔵が整然と並んでおり、神秘的な空気が感じられると評判だ。静清バイパス、丸子ICからは車で5分ほど。毎月28日に行われる朝市は駐車場までの道路が縁日となり多くの人で賑わう」
大鈩不動尊の奥にある謎の果樹園「観光果樹 不動園」
そんな大鈩不動尊の奥に、謎の果樹園らしき場所があるという。その名も「観光果樹 不動園」で、入口が朽ちており、先に進んでも何もないという。
そんな場所に興味を持ったのが、人気居酒屋「かどや」(東京都墨田区向島5-30-6)の店主だ。店主は自身の公式Xアカウント「黒かどや」で以下のコメントを投稿している。
<黒かどやさんのXコメント>
「大鈩不動尊(大鈩瀧不動尊)の奥の道を進むと「観光果樹 不動園」と書かれた柱が立っているがその奥は廃道になっていて何も見当たらない。ネットを探しても全く情報が出てこないが不動園を覚えている人はいるでしょうか。廃道探検マニアのユーチューバーさんぜひ探検してみて下さい。俺は行かないけど」
大鈩不動尊(大鈩瀧不動尊)の奥の道を進むと「観光果樹 不動園」と書かれた柱が立っているがその奥は廃道になっていて何も見当たらない。ネットを探しても全く情報が出てこないが不動園を覚えている人はいるでしょうか。廃道探検マニアのユーチューバーさんぜひ探検してみて下さい。俺は行かないけど。 pic.twitter.com/2COmVozB5R— 黒かどや (@kadoya1) July 25, 2025
不動園とは何なのか? 果樹園は本当にあるのか? あるならば、どんな果物が栽培されているのか? 気になって仕方がない。……ということで、実際に大鈩不動尊に行ってみた。
JR静岡駅からバスで向かう
大鈩不動尊は静岡市にある。JR静岡駅からバスに乗り、約30分。二軒屋のバス停で降り、そこから徒歩で約2キロほど山に向かって歩く。極めてのどかな地域だが、毎月28日に開催される朝市の日は賑やかになるようだ。
延々と歩く。若干の坂道だが、ほぼ平坦。周囲には畑と山。向かう途中、数人と出会ったが、すべて農家の人たちだった。
漫画やアニメに出てきてもおかしくない雰囲気の神社が。
バス停があると思ったら、食物を運ぶモノレールの始点だった。
行く途中、お寺があって、トイレがあった。
そして、観光案内の看板もあった。親切。ありがたい。
干し芋、売ってる?
干し芋、売ってた。
無人販売ではなく、インターフォンで農家のおばちゃんを呼ぶスタイル。
買った。
そういうのもあるのか。
そういう者もいるのか。
朽ちている感がいい。
寄贈。
道中、トイレはお寺にもあったが、大鈩不動尊の手前にもあった。
これなら急にしたくなっても大丈夫。
落石注意の看板があった。落石があるらしい。
確かに、道にゴロゴロと大きな岩が転がったていた。
大鈩不動尊に踏み入れると、一気に気温が下がった。川と滝の影響だけでなく、生い茂る植物のおかげだろう。
この日は灼熱の気温だったので、ずっとここに居たい気持ちになるが、周囲には無数に地蔵と人形が……。とはいえ、妙に落ち着く。
目的地は大鈩不動尊ではない。さらにその奥にある「観光果樹 不動園」だ。
植物に囲まれた道を進んでいくと……。あった、入り口が。
通行止めというわけではないが、看板があまりにも朽ちているため、今でも営業しているようには思えない。
よって、ここから先に進もうと思う人は少ないと思う。
……が、先に進む。
ブンブン飛ぶハチと、謎の虫を避けつつ進む。
結論、行き止まりだった。
完全に行き止まりの道と、鎖で通行止めになっている道があった。進もうと思えば進めるが、通行止めには理由があるはずなので、今回は進むのをやめた。
行き止まりの先は川。よって道はない。
通行止めの先に道はあるようだが、通行止めなので入らないでおく。
通行止めの先に果樹園がある可能性はある。現存するなら、そこしかない。
……しかしここで、ひとつ、気になる場所が。
大鈩不動尊から行き止まりまでの間、側面に、なにやら手すりのような人工物が。
よく見てみると、ポールは石段のような坂に沿って設置されている。
しかも、さらによく見ると、その先にネットで囲まれた場所が。
のぼるか。
ということで、のぼってみた。
するとそこには、確かに、畑のようにネットで囲まれた場所があった。
これは果樹園の跡地なのでは!?
ネットの中を覗いてみたが、目視では果物や野菜などを確認することはできなかった。野生の植物だらけ。かつては、ここで果物が栽培されていたのだろうか。
「わからない」「知らないですね」という人ばかり
しかし「何もなかった」では帰れない。地域住民に話を聞くも果樹園に関しては「わからない」「知らないですね」という人ばかり。そんななか、唯一、この場所について知っている住民がいた!
大鈩不動尊の奥で果物が育てられていた過去
その住民によると、かなり昔、確かに果樹園はあったという。そこを仕切っている果樹園の主人が亡くなってから、何も育ててないそうだ。さらに、栽培されていた果物も判明。なんと、ブドウを育てていたという。ブドウ! 大鈩不動尊の奥でブドウが育てられていた!
結論、確かに数十年前まで果樹園「観光果樹 不動園」は存在した。ブドウが育てられていたものの、主人が亡くなって終わってしまった。……ということのようだ。すでに果樹園は消滅していたが、それでもノスタルジーを感じる癒やしの場になっているのは間違いない。行ってよかった。
静岡県の山の中、大鈩不動尊の奥に謎の果樹園があるらしいと知り、実際に行ってみました。果樹園の跡らしきものはあったのですが朽ち果てていて、果物は確認できず。しかし地域住民に話を聞いたところ、かつて、確かに果樹園は存在していたそうな。そこで栽培されていた果物はブドウとのこと。 pic.twitter.com/2gVHo7h49n— クドウ秘境メシ (@kudo_pon) August 21, 2025
(執筆者: クドウ秘境メシ)
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