首都圏の新築分譲マンション市場の実態、2025年上半期の動向は?価格はまだ上がる?

首都圏の新築マンション市場の実態、2025年上半期の動向は?価格はまだ上がる?

不動産経済研究所が2025年上半期(1~6月)の首都圏新築分譲マンション市場に関するデータを公表した。価格上昇が著しいなか、直近の新築分譲マンション市場はどう動いたのだろう? 上半期の平均値と中央値について、見ていくことにしよう。

【今週の住活トピック】
「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年上半期(1~6月)」および「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2025年上半期」を公表/不動産経済研究所

2025年上半期の首都圏新築分譲マンションの平均価格は前年より16.7%アップの8958万円

まず、2025年上半期(1~6月)の新築マンション市場だが、やはりマンション価格は上がっている。首都圏の戸当たりの平均価格は前年同期比16.7%アップの8958万円、平米当たり単価は135.0万円だった。

エリア別で見ると、平均価格(平米当たり単価)は、東京23区で1億3064万円(201.5万円)、東京都下で6835万円(111.8万円)、神奈川県で6957万円(103.9万円)、埼玉県で6551万円(95.8万円)、千葉県で5738万円(80.2万円)だった。

次に、発売戸数や契約率を見ていこう。首都圏の発売戸数は前年同期比11.2%減の8053戸。東京23区のシェアは36.8%だった。2022年上半期は1万2712戸、2023年上半期は1万502戸、2024年上半期は9066戸だったので、年々発売戸数は減少していることになる。

一方、契約率は前年同期比0.4ポイントダウンの66.6%だった。70%以上が好調を示すラインといわれているが、千葉県の72.7%を除いて60%台以下となっているので、物件によって好不調が分かれる状況といえるだろう。

発売戸数を絞っているものの、売れ行き好調とまではいえないということで、2025年6月末の首都圏全体の販売在庫数は6026戸と少しずつ増えている。価格上昇に歯止めがかからないが、市場に少し不透明な部分もあるということかもしれない。

■首都圏新築マンション市場動向 2025年上半期(1~6月)

供給戸数契約率平均価格平米単価首都圏8053戸66.6%8958万円135.0万円△11.2%△0.4 P16.7%16.7%東京23区2964戸68.8%1億3064万円201.5万円△10.7%5.4 P20.4%16.7%東京都下908戸56.5%6835万円111.8万円3.5%△5.1 P19.8%31.4%神奈川県1874戸67.4%6957万円103.9万円△13.3%△0.6 P12.4%11.7%埼玉県1150戸61.3%6551万円95.8万円29.10%1.0 P26.9%24.4%千葉県1157戸72.7%5738万円80.2万円△36.3%△5.6 P△1.6%△1.4%下段は前年同月比、△はマイナス、契約率のPはポイント
不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年上半期(1~6月)」のデータを編集部で作成

2025年上半期の首都圏新築分譲マンションの中央値はどうなった?

不動産経済研究所では、戸当たり価格と専有面積の中央値の推移も公表している。「平均値」は発売された全戸を平均したものであるのに対して、「中央値」は価格や面積を順番に並べた際の真ん中の値となる。発売戸数が減少するなか、特定の高額物件が全体平均値に強く影響を与えることがあるので、中央値のほうが市場の実態を示すこともある。

では、2025年上半期の状況を見ていこう。首都圏の新築分譲マンションの平均価格は8958万円だったが、中央値は6898万円に下がる。2021年上半期以降の推移を見ても、平均値より中央値が下がっていることがわかる。なお、2023年上半期で平均値が急上昇しているのは、全戸億ションの大規模マンション「三田ガーデンズヒルズ」による影響だ。

■首都圏 発売戸数と価格の推移(2021年上半期~2025年上半期、半期別)

不動産経済研究所「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2025年上半期」のリリース資料より転載

※破線が住戸価格の平均値、実線が中央値
不動産経済研究所「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2025年上半期」のリリース資料より転載

このように、中央値のほうが市場実態に近い可能性があるが、中央値の価格も上昇トレンドを続けている点に注目だ。不動産経済研究所では、「2013年以降は施工費やマンション用地の高騰、都心での高級物件やタワーマンションの積極供給、駅近など立地を厳選する傾向が強まったことなどが要因となって住戸価格は上昇基調が続いている」とみている。

次に、東京23区の動向を見ていこう。2025年上半期の中央値は、ついに億超えの1億1010万円になった。不動産経済研究所によると、2025年上半期に東京23区で発売された戸数は2964戸だが、そのうち1640戸が億ションであったという。つまり、億ションシェアは約55.3%、過半数が億超えだったことになる。

この影響で東京23区の中央値は前年同期比で20.7%も上昇し、平均値との差を縮めている。今後も23区では億ションの供給拡大が続くとみられているので、中央値も上昇を継続する形になりそうだ。

■首都圏マンション エリア別戸当たり価格の平均値と中央値の推移

2021年上半期2021年下半期2022年上半期2022年下半期2023年上半期2023年下半期2024年上半期2024年下半期2025年上半期東京23区平均値8,0418,4908,0918,38112,96210,44910,85511,39813,064中央値6,7186,9006,8486,9908,3908,1508,6009,11911,010中央値の上昇率4.3%2.7%-0.8%2.1%20.0%-2.9%5.5%6.0%20.7%※価格の単位はすべて万円
不動産経済研究所「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2025年上半期」のリリース資料より抜粋し編集部で表作成

さて、不動産経済研究所の2025年下半期(7~12月)の見通しによると、前年同期より増えて、1万5000戸の供給見込みだ。この秋からは、東京23区を中心に注目の大規模物件の販売が始まるが、定期借地権の物件が増えるので価格が押し下がる可能性があるという。

定期借地権とは、土地の権利形態のひとつで、例えば70年など(50年以上で任意の年数)の期間だけ借りるもの。建物は所有するが、土地は70年たったら更地にして地主に返す形になる。その分、物件価格が安くなる。

地価も上昇しているなか、好立地の広い土地を手放したくない地主は多いが、有効活用したいという場合に使われる手法なので、近年、定期借地権のマンションが増えているのだ。

一方で、首都圏の中古マンションの価格も上昇している。大量供給されたときの新築マンションが中古市場に流れ込んでいるため、市場も拡大している。さらに東京23区の賃貸物件の賃料も上昇していると聞くので、これからの住まい選びは難しくなるが、希望条件を明確にして、しっかり選んでほしいと思う。

●関連サイト
不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年上半期(1~6月)」
不動産経済研究所「首都圏マンション 戸当たり価格と専有面積の中央値の推移 2025年上半期」

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