谷垣禎一・法務大臣定例会見「児童ポルノ法でコミックスについては否定していない」(2013年6月21日)

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2013-06-14 12.56.56

2013年6月11日9時5分頃より法務省で開かれた谷垣禎一法務大臣の記者会見で、児童ポルノ禁止法に関連する質問をすることができました。ここではその部分を抜粋して紹介します。

※詳細な大臣発言・質問・議事録は、法務省ホームページにてご確認下さい。

谷垣禎一法務大臣 閣議後定例記者会見(6月21日) ‐ ニコニコ動画(原宿) (児童ポルノ法改正に関する質問は6分52秒過ぎから)
http://www.nicovideo.jp/watch/1371786449

児童ポルノ禁止法改正法案に関する質問(抜粋)

ふじいりょう:児童ポルノ禁止法の改正法案に関して質問させて頂きます。こちら自民・公明・維新の改正案が出されていまして、日弁連・日本漫画家協会・出版労連などからの反対声明が出されるなど、表現の自由の侵害について心配する声が上がっていまして、ネットでも特に若い層から表現規制につながるのではないかというような声が上がっています。児童保護という観点と表現の自由という観点が両方あるかと思うのですけれど、大臣がどのようにお考えなのかお聞かせ頂ければと思います。

谷垣法相:これは議員立法で出しておられるわけですね。ですから国会でどう法案を出されてどうご議論されるかは法務大臣としてはコメントを差し控えたいと思います。

しかし、私は長い間ユニセフ議員連盟の活動をして参りまして、事務局長、そして現在の会長でございます。そして現在の児童ポルノ法の一番最初の設計をした中心人物が私でございます。

今の児童ポルノ法の基本的な考え方は、刑法の体系でいえば児童ポルノようなものは、わいせつ罪で処断するのが刑法ができた時の考え方だと思うんです。当時児童ポルノというものがあったのかどうか分かりませんが。

ところが当時の児童ポルノの状況というのは、わいせつ罪ではなかなか実効的な規制ができにくいということでございましたので、これは私の考え方ではございましたが、実在する児童の権利が侵害されているという観点から現在の刑を考えました。できるだけ規範的な記述は省いて、客観的な記述で法制度を作るということから、子供を性的搾取の対象とする考え方からチャレンジしようと作った法でございます。

しかし、実在の子供の人権を阻害してはいけないという考え方で作りましたので、児童ポルノ、特にコミックスのようなものについては、この法は否定しておりません。おそらく今の議員立法もそういう考え方で出されていると思います。

今お尋ねのように表現の自由からのコミックスというようなものの規制は反対だというお声が強いことも私は承知しています。しかし同時に、子供を商業的性的搾取の対象であるかのような表現は許すわけにはいかないんだ、という気持ちが強くあることもよく存じています。

私はどちらかというと、児童の商業的性的搾取を許すような考え方は同調しないというのが個人としての基本的な考え方でございます。

「実在する児童」と何度も強調

東京大学法学部卒で弁護士の資格も有している谷垣法相。自ら1999年に児童ポルノ法が初めて公布された際の「中心人物」と述べ、実在する児童の権利を阻害するのを防ぐのが法の主旨であると強調した上で、コミックスを特に挙げ表現の自由を規制するという考え方を否定しました。中でも毎回「実在する児童」と述べるあたり、いわゆる「非実在」のフィクションと明確に区別している姿勢がうかがえました。

他方、「子供を商業的性的搾取の対象である表現は許さない」というところで語気を強めており、自身の立場をはっきりさせて釘を差すことも忘れませんでした。

いずれにしても、クリエーターからだけではなく日弁連などからも反対の声が上がっている児童ポルノ法改正案の議論の行方については今後も注意していく必要がありそうです。

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ふじいりょう

乙女男子。2004年よりブログ『Parsleyの「添え物は添え物らしく」』を運営し、社会・カルチャー・ネット情報など幅広いテーマを縦横無尽に執筆する傍ら、ライターとしても様々なメディアで活動中。好物はホットケーキと女性ファッション誌。

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