『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』橋本昌和監督&ボーちゃん役・佐藤智恵インタビュー「マイペースだけれど、自分の中に芯があってブレない子」

『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』が、8月8日より公開となります。
インドを舞台に繰り広げられる、音楽とダンスで魅せるこの夏イチバンのダンスエンターテインメント。邪悪な“紙”の力に導かれ「暴君(ボーくん)」となったボーちゃんをしんのすけ達は救えるのか?!
橋本昌和監督と、長年ボーちゃんを演じている声優の佐藤智恵さんに本作の魅力についてお話を伺いました。
――本作とても楽しく拝見いたしました。ボーちゃんの魅力がたくさん詰まった本作ですが、監督も過去の作品を見直したりされましたか?
橋本:そうですね。原作のボーちゃん回を読み直したり、ボーちゃんってどんな子だっけという所を改めてまとめていきました。
――佐藤さんはボーちゃんが物語のカギを握るストーリーと聞いて驚きましたか?
佐藤:ビックリしましたし、すごく嬉しかったです。普段のボーちゃんの喋り方だとゆっくりしているので、そのままでたくさんセリフを言ったら、本家のインド映画の様に休憩を挟まなくてはいけない尺になるのではないかと(笑)。
舞台がインドでポーちゃんがお話の中心になるということだけ聞いていて、シナリオをいただいたら「ボーちゃんが暴君(ボーくん)」になるというのが本当に面白いなって。
橋本:「ボーちゃんが暴君(ボーくん)」というキーワードとしては割と後から出てきたんですよ。
佐藤:最初からでは無かったんですね!
橋本:企画の段階では決まっていなかったのですが、うえのきみこさんが書いてくださったシナリオの中にセリフで入ってきて面白いなと。
――本当に秀逸なコピーですよね!
佐藤:作品の中では、しんちゃんの「ボーちゃんが、ボーくんになっても、ボーさんになっても、ボーさまになっても、オラはボーちゃんと遊びたい!」と言うセリフがあります。
――ボーちゃんとしんちゃんの友情にすごく泣かされるお話でした。
橋本監督:ボーちゃんとしんちゃんって似ている部分が結構あるなと思っていて。しんちゃんって相手によって態度を変えたりしないしブレない子で、ボーちゃんも静かでおとなしいけれど芯がしっかりしていますよね。カスカベ防衛隊の中でもしんちゃんが先頭でボーちゃんが後ろにつくみたいなバランスが良いなと思っていて。そういう意味で、ボーちゃんはしんちゃんを一番リスペクトしているのかな、と本作を作っていく過程で思ったんですよね。
──映画の冒頭でも、おやつを食べたいしんちゃんと我慢するボーちゃん、でもしっかり2人でふざけるシーンもあって。
橋本監督:今回は2人の対比をずっと意識して作っていました。違う部分もありつつ、対比することで2人は似ているんだなと。

──佐藤さんはいつもに比べて、セリフ量がグッと増えたかと思いますが収録はいかがでしたか?
佐藤:過去最高の、かつてないほど喋っています(笑)。いきなりベラベラ喋るボーちゃんに変えちゃうと「誰?」となってしまうと思うので、監督とも「どういう所に気をつけましょうか」というお話をして。ボーちゃんは長いセンテンスを言わないんですよね。短いセンテンスで喋るのがボーちゃんっぽいので、たくさん喋るシーンでも紋切り型で話す様にしていました。
あとは、暴君(ボーくん)になる時にもグラデーションがあるので、今が第一段階、第二段階と監督に確認しながら進めていきました。
──長年ボーちゃんを演じられていますけれども、レアケースですものね。
佐藤:他のお仕事でも、スタジオに行くときに喉あめとか、甘いミルクコーヒーを飲んで喉を潤すことがあるのですが、ボーちゃんの収録の時はあまり使っていなくて、でも本作には持っていかないと!と思って準備していたら全部忘れてしまって。初日は緊張しすぎて朝ごはんも食べられなくて、やっぱり緊張していたんだなと思いますね。
自分で自分に動揺しつつ、始めたら、いつものみんなとの楽しい収録なのでだんだん落ち着いてきました。30何年もやっているのに緊張するということが驚きでしたね。
橋本監督:先ほど佐藤さんがおっしゃられた、グラデーションでキャラを変えていくお芝居ってすごく難しいのに、すごいなと思っていました。ボーちゃんが本当にカッコ良くて。
佐藤:ボーちゃんで「カッコ良く」と言われたのは初めてでしたね。なんか普段のボーちゃんよりも、年齢が少し上がる感じのイメージでしたよね。絵もキリッとして、等身も伸びているような。
橋本監督:そうなんです。バレない様に少しずつ等身を伸ばしています。
佐藤:暴君(ボーくん)になってみんなに命令するシーンとかは、身長も高めでね。
橋本監督:マハラジャ・ボーではかなりスラッとしています(笑)。

──邪悪な力が手に入る“紙”が人間に刺さると、他のキャラクターは自分の欲が増幅されますけれど、ボーちゃんはあくまでしんちゃんの為に暴れてしまうという所もすごいなと思いました。
橋本監督:そうなんですよね。ボーちゃんってみんなに遠慮しておとなしいとか、本当はやりたくないことをやっているという子ではなくて、信念を持って人を助けている子だろうなと思っているので、本人の欲望が出たとしても、しんちゃんの為だったり「みんなで遊びたい」というものだろうなと。
佐藤:「みんなでインドでダンスをしたい」という願望が根底にある所がすごくボーちゃんらしいし、そこがストーリーを盛り上げていって面白いですよね。

──インド映画への愛もたっぷりで最高でした!
橋本監督:もともとインド映画が好きだったので、色々な要素を入れられて嬉しかったです。
佐藤:歌とダンスのシーンが盛りだくさんで、どの曲もウキウキしました。カビール&ディルのインドコンビも大ウケでした。山寺(宏一)さんと速水(奨)さんのインドパワーが素晴らしかったです。山寺さんは「この曲でミュージックステーションに出るんだ!」って意気込んでいました(笑)。
橋本:佐藤さんもすごく歌が上手で。難しい歌でもきっと歌いこなせちゃうんだろうなって。
佐藤:歌、すごく楽しかったです!
──インド映画と「クレヨンしんちゃん」のハイテンションな部分が親和性が高いのかなと思いました。
橋本監督:インド映画も「クレヨンしんちゃん」も何でもありのわちゃわちゃ加減があって、相性良いなと思いました。
佐藤:『RRR』もバディを組んで戦っていきますけれど、本作でのカビールとディルのタッグを組む感じが近くて面白いですよね。
橋本監督:ダンスシーンはすごく時間をかけてつくっていて、まず振り付けを考える所からスタートしていて、それをどういうカットで割っていくかということを考えて。曲に合わせて映像を作るというのはとても手間がかかることですので、劇場版の「クレヨンしんちゃん」としてもより手間がかかっていると思います。
佐藤:カット数も過去最高レベルで多かったですよね?台本もすごく分厚くて、みんな片手で持ってページをめくりながら収録していますけれど、だんだん手がブルブルしてきて…(笑)。
橋本監督:情報量が多いんですよね。
佐藤:去年も分厚かったけれど、今年はさらに更新して、今も大切に保存しています。
──改めてのお2人が感じるボーちゃんの魅力はどんな所ですか?
橋本監督:ボーちゃんは色々な形をした石をよく拾いますが、何気ない石の美しさに気付ける人、周りにいる友達のいい所に一番最初に気付く人だなと思います。すごくスローに生きているのだけれど、信念をもっていて。制作会議の時のメモに自分で書いていたのですが、「スローライフな魅力がある」と。他の人が気が付かない人や物の良さを、ゆっくりだけれど着実に守れる子だと思います。ボーちゃん大好きです。
佐藤:ゆったりしているし、マイペースだけれど、自分の中に芯があってブレない子ですよね。テレビアニメの「クレヨンしんちゃん」で演じている時はあまり抑揚をつけない様にしていて、基本棒読みで語尾の所だけちょっとニュアンスつけるとか、聞いた方がどちらとも取れる感じで演じています。何か楽しいとか怒っているとかハッキリ表現しちゃうとボーちゃんじゃない感じがして、曖昧な感じに取れるような感じにしたいなと思っているんですね。
作画やアニメーションなどスタッフの皆さんが作ってくださったものに、私は声を乗せるのですが、見てくれた方が「ボーちゃんってこんなこと考えているのかな?」って考えられる余白のある良いキャラクターだなと思います。
──ボーちゃん自身が“決めつけない”方ですもんね。
佐藤:その時の感じで、みんながどう受け取ってくれるか。想像しながら演じるのも面白いんです。本作も公開されたら映画館に行って、子供達がどんな所で笑ってくれているのかを感じることを楽しみにしています。
──まずますボーちゃんのことが好きになる作品でした!今日は素敵なお話をありがとうございました。

撮影:オサダコウジ

【STORY】
インドの“ハガシミール州ムシバイ”が春日部と姉妹都市になったことを記念して、「カスカベキッズエンタメフェスティバル」が開催されることになった。そのダンス大会で優勝するとインドに招待され、さらに現地のステージで踊ることができると聞いたしんのすけたちカスカベ防衛隊の5人は力を合わせ、大会で優勝しインドへ出発する。
「オラ、インドの綺麗なおねいさんとカレーたべたい!」
インド観光を満喫する中、怪しげな雑貨店に入ったしんのすけとボーちゃんは、そこで「鼻の形」に似たリュックサックを見つけ購入する。しかし、そのリュックサックには、とても恐ろしい秘密があった—。
偶然にもリュックサックから出ていた「紙」を鼻に刺してしまったボーちゃんは、邪悪な力に導かれ【暴君(ボーくん)】となり大暴走!豹変してしまったボーちゃんは、世界をも揺るがす脅威の力を手に入れてしまう。
はたして【暴君(ボーくん)】となったボーちゃんを、しんのすけたちは止めることができるのか?!
【作品概要】
■ タイトル:『映画クレヨンしんちゃん 超華麗!灼熱のカスカベダンサーズ』
■ 原作:臼井儀人(らくだ社)/『まんがクレヨンしんちゃん.com(https://manga-shinchan.com)』(双葉社)連載中/
テレビ朝日系列で放送中
■ 監督:橋本昌和
■ 脚本:うえのきみこ
■ 声の出演:小林由美子、ならはしみき、森川智之、こおろぎさとみ ほか
■ 声の特別出演:賀来賢人・バイきんぐ
■ 主題歌:Saucy Dog 「スパイス」(A-Sketch)
■ 製作:シンエイ動画 テレビ朝日 ADKエモーションズ 双葉社
■ 配給:東宝
■ 公開表記:2025年 8月8日(金) ROADSHOW
■ コピーライト:(C)臼井儀人/双葉社・シンエイ・テレビ朝日・ADK 2025
■ 映画公式X(旧Twitter):@crayon_official
■ 映画公式Instagram:@shinchan_movie
■ 映画公式TikTok:@shinchan_movie
■ 映画公式HP:https://www.shinchan-movie.com/

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