1が10万9297桁並んだ数は素数! 新たなレピュニット素数を発見(彩恵りり)

「素数」は “数の原子” とも喩えられ、そのユニークな性質から、紀元前より数学者を魅了する数なんだよね (以下、この記事で言う「数」は自然数 (1以上の正の整数) とします) 。そして素数の中には見た目が面白いものも含まれているよ。例えば「11」のように、全て1のゾロ目で構成されている素数はいくつかあり、これは「レピュニット素数」と呼ばれているよ。
2025年5月26日、これまでで最も大きなレピュニット素数が新たに見つかったよ。これは1が10万9297桁並んだ素数であり、過去最大だったレピュニット素数より2万2844桁も大きいんだよね! あまりにも桁が大きすぎるために簡単には書き出せないけど、全ての桁が1で構成されているという意味でインパクト抜群だよね!
「素数」は “数の原子”

【▲図1:自然数を分解していくと素数になることから、素数は“数の原子”と呼ばれることもあるよ。】
「素数」とは、「1と自分自身以外の数では割り切れない自然数」という性質を持つ数だよ。素数の例は2・3・5・7・11・13・17・19……などであり、その数は無限にあることが証明されているよ。そして1より大きい全ての自然数は、素数であるか、もしくは素数を掛け算した合成数のどちらかに分類されるんだよね (※) 。自然数を分解すると素数にできるという点から、素数は“数の原子”とも喩えられるんだよね。
※…「1」は素数でも合成数でもない「単数 (単位元)」に分類されています。詳しい説明は割愛しますが、どの数に掛け算しても答えが変わらない性質を持つ数は1だけであるというのが、素数や合成数とは異なる分類に位置づけられる理由です。

【▲図2:レピュニット素数は、全ての桁が1だけでできたゾロ目な素数だよ。】
素数の中には、その書き方が面白いものがあるよ。中でも分かりやすいのは「レピュニット素数」かもね。全ての桁が1で構成されている数、つまり1のゾロ目の数のことをレピュニットと呼び、レピュニットな素数をレピュニット素数と呼ぶんだよね。一応補足すると、1以外の全てのゾロ目な数は、そのゾロ目の数の桁と同じ桁のレピュニットで割り切れることから、レピュニット素数は1に限られることになるよ。
例えば「11」はレピュニット素数の1つだよ。次に大きな素数は何かというと、19桁の「1111111111111111111」と結構大きくなるよ。その次は23桁の「11111111111111111111111」と近い位置にあるけど、その次は317桁と一気に飛ぶよ! 一般に、レピュニットが素数であるかどうかは、桁数が素数であることが最低条件だけど、桁数が素数であっても必ずしもレピュニット素数になるとは言えないよ。これまでのところ、1の桁数が2桁、19桁、23桁、317桁、1031桁、4万9081桁、8万6453桁である場合にレピュニット素数であることが判明しているんだよね。
1が10万9297桁並んだ数は素数であると判定!

【▲図3: 今回新たに見つかったレピュニット素数は、1が10万9297桁も並んだ数になるよ!証明に18年かかったんだよね。】
そして2025年5月末、新しいレピュニット素数が報告されたよ! 新しいレピュニット素数はPaul Underwood氏とAndreas Enge氏によって発見され、大きな素数をまとめたWebサイト「PrimePage」に5月26日付で報告されたんだよね。ちなみにUnderwood氏とEnge氏は、過去に別のレピュニット素数を発見した人でもあるよ!
新しいレピュニット素数は1が10万9297桁並んだ数で、とてもじゃないけどこの記事には書ききれないほどの桁数となっているね! レピュニットの頭文字のRを使って「R(109297)」という書き方もあるね。R(109297)はあまりにも巨大すぎて、素数であると予想されたのは2007年3月だけど、そこから18年かかってようやく素数であることが証明されたんだよね。
これほどかかったのは、R(109297)という数が素数であるかどうかを判定するのに特化した“上手い方法”が無いからなんだよね。例えば、2をひたすら掛けた後に1を引くことで作られる「メルセンヌ素数」という素数の場合、最大で4102万4320桁という、さらに膨大な大きさの素数が発見されているよ! これは、単純に素数判定を行うための計算量が多いという理由もあるけど、メルセンヌ素数には速やかに素数判定を行える数学的な方法 (リュカ=レーマー判定法) があるというのも理由なんだよね。
一方でレピュニット素数の場合、「ECPP (楕円曲線素数判定法)」と呼ばれる手法で素数かどうかが判定されたよ。これは確かに、真正面から素数であるかどうかを判定するよりかはずっと早く素数を判定できるけど、レピュニット素数の判定に特化しているとは言えないので、どうしても桁数が増えてしまうと判定に時間がかかってしまうんだよね。
桁数が増えた時の計算時間の増加はとてつもないので、ちょっと長くなった程度でもかなり時間がかかってしまうよ。ただ、知られている最大のレピュニット素数の更新は2年ぶりということで、その桁数の大きさにしてはかなり早く素数判定が終わったなぁというのが私の率直な感想になるよ。これは蛇足だけど、R(109297)はECPPで素数であると判定された素数としても最大なんだよね。

【▲図4:これまでに見つかったレピュニット素数は8個で、さらに3個のレピュニットが素数ではないかと予想されているよ。】
ちなみに、これより大きな数でレピュニット素数かもしれない候補は、1が27万0343桁、579万4777桁、817万7207桁並んだ数になるよ! 最小のものでも16万1046桁も桁数が多いから、判定にはもう少し時間がかかりそうなんだよね。
(文/彩恵りり・サムネイル絵/島宮七月)
<参考文献>
“Primes: R(109297)”. PrimePages.
“Top20: Repunit”. PrimePages.
“Top20: Elliptic Curve Primality Proof”. PrimePages.
“A004023: Indices of prime repunits: numbers k such that 11…111 (with k 1’s) = (10^k – 1)/9 is prime”. On-Line Encyclopedia of Integer Sequences.
Eric W. Weisstein. “Repunit Prime”. Wolfram MathWorld.
Henri Lifchitz & Renaud Lifchitz. “Probable Primes Top 10000”. PRP Records.

- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。