「トレンド追わず」「季節商品少なく」作業着スーツでアパレル不況を跳ね返す異業種参入企業の逆転発想

少子化が進む中「倒産」「業績悪化」「店舗閉鎖」などネガティブなニュースを耳にすることが多いアパレル業界ですが、ポジティブなニュースを発信する企業もまだ残されています。

ありそうでなかった「作業着スーツ(WWS/ダブリューダブリューエス)」や「黒×高機能(Macqlo/マックロ)」という切り口の商品で、2025年2月期に過去最高売上を達成したオアシスライフスタイルグループもその1つです。

同社の広報チーフ、岩見祐香さんによれば「異業種から参入したことで、通常のアパレル業界の常識にとらわれない考え方で事業展開ができていること」が成長の秘密だということです。

「弊社は水道業界からアパレル業界に異業種参入を果たしました。当初は外販する予定はなく、水道工事業の社員が当時抱えていた課題を解決できる自社制服を開発することが目的だったため、時間をかけてとにかく満足いくものができるまで、独自素材の開発や細かいディティールを調整することができました」

「WWSの発売当初は“これは作業着じゃない”“通常のスーツのテキスタイルが反映されておらずスーツに失礼”など、ネガティブな意見が多かった一方で、“作業もデスクワークもある自分にとってはこんな服をずっと待っていた”など、肯定的な意見も多数いただき、異業種ならではの切り口が、結果的に通常のアパレル会社では起きえない議論を生み出すことにもなりました」

「弊社は季節ごとの新商品数が少なく、創業当初から同じ商品を半永久的に販売することをモットーとしています。基本的にトレンドを追いかけるアパレル業界の常識にとらわれず、ご愛用者様に気に入った商品をずっとお届けできる仕組みづくりを徹底していることで、リピート率が75%とアパレル業界平均の2倍以上となっています」

少子化に歯止めがかからない日本ですが「成長余地はまだまだあります」と話す岩見さん。「弊社のMacqlo/マックロは様々な色の衣類を取り扱うアパレル業界の常識を覆し、まさにありそうでなかった潜在ニーズを掘り起こしました」「初年度売上は目標の1億円を大幅に超え、2億円を突破しました」と話してくれました。

アパレルは勿論のこと、飲食、スポーツ、エンターテインメントなどの分野では成長余地がはるかに大きい海外市場に攻め込む日本人/日本企業が増加傾向にあります。この点についても岩見さんに聞いてみました。

「長期的には両事業とも海外展開を視野に入れておりまして、現に海外ブランドや商業施設から協業のお話をたくさんいただいております」

「海外展開というところで言うと、今年5月より新たにストリートパジャマという新ジャンルのブランド“Chill ST/チルストリート(略してチルスト)”をローンチいたします。多忙な現代人のライフスタイルをスマート&リラクシーにアップデートできるブランドを目指しており、5月16日にオンラインストア・実店舗(ラフォーレ原宿)共にオープンいたします」

「海外ではミニマルやシーンレスが一つ大きなテーマになっているので、海外展開という点で一番大きく可能性があると感じております。世界的にパジャマ市場は大きく伸びるというデータもあり、新しくも巨大市場を切り開いたルルレモンなどを追随できるようなブランドを目指していきます」

「作業着スーツ」に始まり「ストリートパジャマ」まで辿り着いた同社ですが、次はどういった切り口の新商品を仕掛けてくるのでしょうか。

※画像:オアシスライフスタイルグループ提供

(執筆者: 6PAC)

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