休・廃業が相次ぐ訪問介護業界!「ケアシステム研究所」が安定した業績を維持する秘訣とは

東京都葛飾区を主要拠点とし、関東を中心として訪問鍼灸マッサージサービスを提供する5拠点を展開する株式会社ケアシステム研究所は、コロナ禍を経て休業・廃業する訪問介護事業所が多い中で、その収益や規模を拡大し続けています。

さらに、施術者としてフルタイムで働く方の中には、月収80万円を超える施術者も存在するのだとか。

今回、ケアシステム研究所の代表取締役を務める李哲氏にインタビューさせて頂き、同社が成長を続ける要因について伺いました。

 

訪問鍼灸サービスを提供する「ケアシステム研究所」

ケアシステム研究所は鍼灸やマッサージなど、主に介護を必要とする方々を訪問して提供する「訪問鍼灸サービス」を展開する企業。

現在は都内では葛飾区と清瀬市、埼玉県では上尾市・久喜市、そして群馬県前橋市の5拠点でサービスを展開しています。

コロナ禍を経て、介護事業者の休・廃業件数は昨年を超えて最多の600件を超え、その中で訪問介護事業は約450件となり、全体の70%以上を占める結果となりました。

年々休・廃業する事業者が増える中で、事業規模の拡大や施術者の賃金が安定して高水準となっているのがケアシステム研究所。

2019年に李氏が立ち上げたケアシステム研究所は、現在25人の施術者が所属しているそう。

その中で社員はわずか2人であり、残りの方々は業務委託で活動しているそうです。

「​一つの組織に属してフルタイムで100%の給料を稼ぐという就業モデルは、コロナ禍以前はそれが主な働き方だったと思うのですが、当院では本人が働きたい形に合わせています。例えば10時〜3時まで就業される方もいれば、9時〜18時という方もいます。週5回働く方もいれば、週3回の方もいる。自身で開業されていたり、別の訪問サービスなどで働いている方もいらっしゃいます。」

と、自由な働き方を進めている李氏。

施術者の方の平均収入を伺うと、

「勤務形態によって大幅に変わってきてしまいますが、週3〜4日の勤務で、平均40万円〜50万円ほどの収入になっているかと思います。」

とかなりの高水準の収入を得ているのだとか。

李氏によると、これは業界の中で見てもかなり高い報酬単価だと説明。

高単価の報酬を支払っている理由について聞くと、

「『あん摩マッサージ指圧師』という昔からある国家資格を取得している方のみを採用しています。また、ありがたいことに応募して頂く方も多いのですが、採用を厳しくしており、4人に1人くらいしか採用しないようにしています。」

と、採用を厳しくして絞り、その分優秀な人材に対して待遇を良くしているのだという李氏。

その根底には、李氏が考える理想の働き方、そして施術者が働きやすい環境の構築がありました。

 

「働きたいと思わせる仕組み作り」がケアシステム研究所の安定成長のカギ

李氏はケアシステム研究所を立ち上げる以前、起業した際に従業員が全員離職してしまった過去があるのだそう。

「当時の私はずっと接骨院などで徒弟制度の中で生きてきたので、自分の中で残業とか有給という概念がなかったんです。そのせいで組織化した際にスタッフと揉めてしまい、一斉離職ということもありました。」

と苦い過去を教えてくれた李氏。

この経験などがきっかけとなり、新しく起業した際には有給取得をできる限り100%を目指したり、残業を極力しない、さらにはどうしても出席してほしい飲み会には残業手当を出す、という徹底ぶり。

「面と向かって『飲み会に残業代は出ますか?』と言われてしまったこともあったんですよ(笑)。こういった“スタッフを束縛しないこと”や、ちゃんと“スタッフと話し合った労働時間や条件”というものを、会社として徹底して守るように心がけています。」

と語った李氏。一方で、業務時間内の仕事はきっちりやってもらう、というメリハリをつけた結果、スタッフの離職率も減り、有能な方が残ってくれる結果となったのだそうです。

 

地域密着・コミュニケーションの構築で信頼を勝ち取ることも重要

企業として規模を拡大しつつ、有能な人材も増加傾向にあるケアシステム研究所。

その要因について李氏の見解を伺うと、

「(他の事業者との)大きな差別化点としては、例えば老人ホームでは同一施設内で利用者様が多く出るように働きかけをさせていただいたり、お宅への訪問形式も、極力半径2km以内で利用者の方を集客できるかに注力しています。そうすることで、移動時間を削減し、その分施術にかけられる時間を増やすよう取り組んでいますね。」

とコメント。また、遠方の依頼者ができた際は、思い切ってその近辺に新しい事業所を立ち上げたり、事務・営業人員を本拠点である葛飾区に集約していることも特徴だと説明。

また、施術者に対しても「技術」だけではなく「コミュニケーション能力」も高いレベルで求めているのだとか。

「(あん摩マッサージ指圧師の)専門学校では3年間学ぶことになりますが、臨床の勉強などはするのは当たり前、つまり技術を身につけることは当然なんですよ。しかし現場で患者様が気にされるのは、施術の技術はもちろんですが、それ以外にもコミュニケーション能力が大切なんです。どれだけ良い技術を持っていても、雑なコミュニケーションを取ってしまったり、マナーがなってい方にはリピートしてまで受けたいとは思わないじゃないですか。」

と、当たり前のことながらも核心を突いた指摘をする李氏。

患者だけでなく、その家族や高齢者施設の担当者などとも交流する機会がある施術者には、一定以上のコミュニケーション能力が必要不可欠というのは納得できます。

「患者さんは施術を受けてマッサージ技術も体感しますが、ご家族の方や施設関係者の方は施術は受けませんよね。むしろコミュニケーション能力や身だしなみ、態度などの部分で価値を判断されてしまうんです。ご依頼いただく方は施術を受ける本人ではなく、こういった関係者の方ということがほとんどなので、こういったコミュニケーション能力も一緒に磨くと、高い成果を上げられると思っています。」

と語った李氏。ケアシステム研究所ではこういったスキルも重視しており、その分採用の際は厳しく審査を行なっているのだとか。

「今、専門学校に入られる方が少なくなってきているそうです。専門学校よりも、大学の方が良いというイメージが強かったり、“専門職”というところにマイナスイメージがついているのかもしれません。しかし、現代は転職が普通のことという時代。今の職場が合わないなと思ったら、すぐに辞めて新しい環境に入った方がよいと私は考えています。人が100%のポテンシャルを発揮すると、本当にすごい能力を出すんです。それが発揮できない環境に居続けるのはもったいないと思うので、ぜひ新しいチャレンジをしていってほしいですね。」

と訴えかけた李氏は、専門職というマイナスイメージを払拭し、訪問鍼灸・マッサージ業界の評価を高め、今後も革新的なサービスを提供し続けていきたいと締めくくりました。

体を悪くしてしまった方や高齢者の方を、健康な状態に戻すためのお手伝いをする訪問鍼灸・マッサージサービス。

そのためのサービスを提供するケアシステム研究所は、患者・施術者・業界を想う気持ちを行動に移すことで、現在も成長を続けているのではないでしょうか。

URL:https://earthcare-massage.com/

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