「小さな政府」「規制緩和!」とか言ってる人は日本から出て行けばいいのに

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政府が目指している『日本』と私たちが望んでいる『日本』。その二つの差について考える必要があると思いました。今回はDr-Setonさんのブログ『シートン俗物記』からご寄稿いただきました。

「小さな政府」「規制緩和!」とか言ってる人は日本から出て行けばいいのに
タイトルは煽り(あおり)ではありません。これは本当に心の底から疑問に思っていることです。よくいますよね。「小さな政府を!」「規制をどんどん緩和しろ」「自由な競争こそが世の中を良くする」「そうしなければ経済成長は望めない」「日本は取り残される、沈没する」とか騒いでいる人達。

新自由主義、とやらで、“企業活動を制約する規制をどんどん撤廃・緩和して、企業活動が活発になり自由競争が行われれば経済成長する。その結果、競争に負けたり付いていけなかったりする人が出ても、それは自己責任だ、保護や救済など必要ない。経済が成長すればおこぼれでそれなりに豊かになれる”みたいなビジョンを描いているようですけど、さすがに日本では、そんな甘い?話に釣られる人は減ったようで、「弱者保護」と「再配分」を掲げた現政権が一応選挙で勝利を納め、新自由主義者(ネオリベ)が相手にされるケースはめっきり少なくなりました。どこかのメディアがどれだけ竹中平蔵を持ち上げようと、さすがに彼の意見に賛同する声はあまり聞こえてこない。皆、「構造改革」やら「小さな政府」「規制緩和」の内実にガッカリと来たんですね。

でも、一部ではまだまだ根強い人気があり、民主党政権の政策に「これでは日本は終わりだ」とか騒いでおります。そんな斜陽な国など見捨てて出て行けばいいのに。

え、ネトウヨが在日外国人に向けていうのと同じだ?ま、そうですね。でも、ちょっと違いがあります。ネオリベの方々が目指したい「日本」ってどういう国なんでしょう?

私が日本にこだわるのは、今まで生まれ親しんできた土地自体に愛着があるからです。未だ失われずに済んでいる田園風景や風土であったり、地元の人々との交友であったり、文化習俗であったり、日本、というか自らの土地の固有性=土着性こそが日本にいる動機となっています。だからこそ、自然を失わせるような公共事業には反対ですし、人々のつながりを絶つような貧困問題や人権問題にもセンシティブでありたい、と考えます。青臭い言い方であれば、日本に住む/住みたいと考える人々が、日々の暮らしに困らない程度の社会が実現されるよう望んでいます。

経済的合理性を超える価値が、日本で暮らすことにあるのだ、と考えているんですよ。ま、云ってみれば「愛国心」ってヤツです。ネトウヨ方が向ける対象とは違うでしょうけど。

でも、ネオリベな方々ってのは、日本に住む価値、をどこに見出しているんでしょう?ネオリベの流儀に従えば、経済的利益を最大限にする事がインセンティブであり、そのための合理的な行動が、利己的に見えようとも推奨されるはずです。そのスタイルに従えば「日本」という国の「土着性・固有性」には思い入れはなさそうです。むしろ、それら「土着性・固有性」を取り除いた「普遍性」こそが大事なんじゃないですか?グローバリゼーション、として我々が批判するのはそういったところなんですから。

であれば、日本にこだわる必要性自体がないはずじゃないですか。「規制ばかり」で「成功者をやっかんで」「税を高くしようとする」「大きな政府」の日本国など見捨てて、もっと規制のない、市場原理主義の徹底したところへ移り住んだらいいのですよ。長い時間を日本社会の変革や一般人の啓蒙(けいもう)に費やしたりせず、とっとと経済的成功を収める事の出来るところへ移り住む方がよほど合理的で利己的な行動といえるでしょう。ネオリベ信者のバイブル、アイン・ランドの「肩をすくめるアトラス」の登場人物のように。

冗談じゃありませんよ。ジョージ・ソロスはハンガリー出身。17歳にして単身イギリスに渡って成功を収めています。ま、彼は大立者ではありますが、決して利己的なだけではない人物ですけどね。

まさか、出て行かないのは実際には金も実力もないから、なんて事はないですよね?金も実力もないのにネオリベ世界になったら今よりマシな生活、なんて出来やしません。自分が成功出来ないのは(金がないのは)日本の規制のせいだ、規制がなくなればオレだって成功出来るんだ、なんて誤解しているじゃあまりにもイタイですよ、それは。

ネオリベな方々が出て行くのを全然引き留める気などありません。やっかんだりもしません。どんどん出て行ってください。あ、アメリカは止めた方がいいですよ。オバマ政権下で決して自由主義がもてはやされる状況ではなくなりましたから。シンガポールもそうですねぇ、カネを稼ぐ以外の自由はない国ですからね。あまり、「小さな政府」とはいえないかも知れませんね。アメリカの裏庭扱いだった中南米・南米も自由な振る舞いは掣肘(せいちゅう)するようになりましたし、ネオリベが騒ぐほどに自由に振る舞わせてくれる国など少ないんですよね。

オススメは、ソマリアやエルトリア、パキスタン北西部、イラク中部、スーダン南西部、モロッコ・ボルサリオ解放地域あたりでしょうか。政府規制などまず掛かりませんから、好きなだけ金もうけに励んでください。成功を願ってます。

参考:規制緩和を進めろ!
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20090306/1236350561

続き:「大きな政府、小さな政府」など存在しないよ
http://d.hatena.ne.jp/Dr-Seton/20091030/1256911673

執筆: この記事はDr-Setonさんのブログ『シートン俗物記』より寄稿いただきました。
文責: ガジェット通信

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