賃貸の火災保険、“自分でも選べる”ことを知っていたのはたった3割!?不動産会社オススメの保険にそのまま加入するデメリットも解説

NTTドコモが、18~39歳の男女1000人を対象に「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」を実施した。その結果によると、7割以上が不動産会社に指定・オススメされた保険に「そのまま加入」していたという。今回は、賃貸住宅への入居時における保険について考えていこう。
【今週の住活トピック】
「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」を実施/NTTドコモ
賃貸住宅で必要となる保険は火災保険だけじゃない!?
まず、この調査では、「現在の賃貸住宅用の火災保険に加入した状況」について聞いていることを押さえておこう。というのも、賃貸に住む際に必要な保険は「火災保険」に限らず、「賠償責任保険」などもあるからだ。
火災保険は、住宅が火災の被害に遭ったときの損害を補償する保険。ただし、補償内容は、火災に加えて、風水害や落雷、水漏れ、盗難などに範囲を広げられる(地震による火災は「地震保険」が対象)。また、消火活動に要した費用なども補償される。
賃貸住宅の建物は貸主(大家)のものなので、通常は建物の火災保険は貸主が、自身の家財の火災保険は借主が加入する。もし、借りている部屋で火災などが発生したら、家財については補償の対象となるが、室内の壁やキッチンなどの設備は家財の対象にならない。そのため、貸主が契約条件として、「借家人賠償責任補償」特約をつけた火災保険への加入を求めることがある。
「借家人賠償責任」の保険は、借りている部屋で事故などが起きたときに、貸主に対する損害賠償を補償するもの。これによって、火災や水漏れで壁や床、住宅設備などに損害を与えた場合でも、保険によって借主の「原状回復義務」(入居中に生じた傷などを回復させる義務)を果たすことができる。
こうした保険に加入することは、貸主だけでなく借主にもメリットがあることなので、賃貸住宅の入居条件となっていることが多い。
7割以上は不動産会社が用意した保険にそのまま加入。約7割が自分で選べることを知らなかった
では、調査結果に話を戻そう。
まず、賃貸住宅用の火災保険加入者に対して、加入した状況に最も近いものを聞いたところ、「賃貸借契約の際に、不動産会社に指定された保険に加入した」(60.2%)が最多だった。「賃貸借契約の際に、不動産会社にオススメされた保険に加入した」(12.6%)と合わせると、そのまま加入したのは72.8%に達する。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より
次に、不動産会社が指定・オススメした火災保険に加入した728人に対して、「賃貸火災保険は不動産会社や管理会社が指定する特定の保険ではなく、自分で選んだ賃貸火災保険に変更できること」を知っているか聞いたところ、「知っていた」は30.9%にとどまり、「知らなかった」という回答が69.1%になった。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より
また、現在加入している火災保険の補償内容や補償範囲などをどの程度理解しているか聞いたところ、「あまり理解していない」(38.0%)と「ほとんど理解していない」(10.7%)の回答を合わせた48.7%が、自分が加入している保険の内容を理解できていないことが分かった。

出典:NTTドコモ「賃貸火災保険に関する若者の意識調査」より
自分で選べば自分が必要とする範囲をカバーできる?
保険が賃貸住宅の入居条件となっているのは、火災などの被害に遭った場合に、貸主も借主も困らないようにするためだが、実際にどこまでの補償内容を求めるかは、貸主によって異なる。火災保険(家財)に借家人賠償責任補償の特約を付帯することを条件とする場合もあれば、借家人賠償責任保険のみを条件として、家財の火災保険は借主自身の判断とする場合もあるだろう。
逆に、借主がすでに別の保険やクレジットカード付帯の保険で、補償内容をカバーしていることもあれば、借家人賠償責任保険ではなく「個人賠償責任保険」に入って、より補償範囲を広げたい(階下など他者への損害まで補償する)と考えることもあるだろう。
不動産会社が指定・オススメしている保険が、必ずしも自分に必要がない補償を含む場合もある。保険加入が入居条件になっている場合は、貸主がどこまでの補償範囲を求めているのかを確認し、自分で保険を選べるかどうか相談するとよいだろう。
また、たとえ保険加入が入居条件ではなく任意の場合でも、万一に備えるために保険の加入を検討したい。
一般的に、補償が手厚いほど保険料も高くなるので、自分に合った保険を選びたいもの。それには、保険の補償内容をよく理解し、どんなリスクまでカバーしたいのか考える必要がある。また、すでに加入済みの保険の補償内容を再確認して、重複することのないようにしたい。
くれぐれも、不動産会社が用意した保険だからと、補償内容をよく理解しないまま加入してしまうことのないようにしてほしい。

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