東海大学+高見沢サイバネティックス_陸上競技場 電子ペーサー 国内初開発&初常設 箱根駅伝や陸上界の記録更新に貢献、製品化めざし災害時やイベントの誘導灯などへの展開も

箱根駅伝(東京箱根間往復大学駅伝競走)に参戦する大学陸上部はもちろん、全国の小中高学校・大学、陸上競技場運営 自治体・企業らが注目する、陸上トラック電子ペーサーが誕生した。
手がけたのは、箱根駅伝で優勝経歴もある常連 東海大学と、東海大学を卒業した高見澤和夫代表率いる 高見沢サイバネティックス(本社 東京都中野区)。
東海大学 工学部 陸上競技部と高見沢サイバネティックスが共同開発

全国に7つのキャンパスと23学部62学科・専攻で構成し文理融合教育を推進する総合大学 東海大学と、世界初の多能式自動券売機を開発したなどで知られる高見沢サイバネティックスが共同開発した電子ペーサーのアドバンテージは―――。
東海大学 工学部 佐川耕平 准教授、東海大学 陸上競技部 中長距離ブロック 駅伝 両角速 監督、高見沢サイバネティックス(高見沢メックス)百瀬匡浩 SE が、いろいろ教えてくれた。
国内メーカーによる電子ペーサーの開発、陸上競技場への常設はともに国内初
東海大学と高見沢サイバネティックスが共同開発した電子ペーサーは、トラック上の LED発光機器でランナーのペースを誘導。
画像では、トラックと芝の境界部分(地面縁石部分)に、LED が光っているのがわかる。
ランナーはその光を追うように走ることで、目標タイムへと近づけることができる。
そのプロトタイプが東海大学 湘南キャンパス 陸上競技場に常設され、記録会や練習・トレーニングなどで活躍する。
この東海大学+高見沢サイバネティックスの電子ペーサーは、国内メーカーによる開発と、陸上競技場への常設がともに国内初ということで、業界の垣根を越えて注目を集めている。
400mトラックの内側に 325個のLED、目標スピードにあわせて点滅し走りを誘導

東海大 湘南キャンパス 陸上競技場に常設した 高見沢サイバネティックス製 電子ペーサーは、400mトラックの内側に LEDライト計 325 個を配置。
あらかじめ設定したそれぞれの目標ペースにあわせ、緑・赤・黄・白の 4色のライトを点滅させてランナーの走行ペースを誘導してくれる。
災害時やイベントの誘導灯などにも活用期待

「陸上界の電子ペーサーは、2018年にオランダのメーカーが販売を開始し、現在は国際大会やトップアスリートのトレーニングのトラック現場などで利用され、世界記録更新にも貢献しています。
安定してペースを刻めるほか、観客席の関心も高められると好評ないっぽう、1イベントのレンタル費用が約100万円と高額なため、常設には高い壁があります。
東海大学では、独自の電子ペーサーの開発とその常設に向けた検討を 2年前から開始。
本学スポーツプロモーションセンター教授の両角速陸上競技部駅伝監督、本学工学部の木村英樹教授(学長)や佐川耕平准教授、本学卒業生が社長を務める高見沢サイバネティックス社が連携して開発を進めてきました。
発光面を複数持ち、外部 PC などから発光をコントロールできることから、陸上競技イベントだけでなく、災害時等の誘導灯や、イルミネーションとしての活用などにも期待できます。
東海大学では、総合学園としてのさまざまなリソースを活用し、集いと交流をとおして教育・研究の成果を社会に還元することで、よりよい地域社会づくりに貢献したいと考えています」(東海大学)
「誤作動もなく高い精度で動いている」
東海大学 湘南キャンパス 陸上競技場に常設した電子ペーサープロトタイプは、トラック脇に設置した制御機器と、制御指示を出すノートPC(設定ソフト)でそれぞれの選手たちの目標を設定し、2本のケーブルでつながった LED発光器 を光らせる。
高見沢サイバネティックス(高見沢メックス)百瀬匡浩 SE は、「いまのところ誤作動もなく高い精度で動いている」と。
学校からプロアスリートチームまで幅広い陸上競技界をはじめ、陸上トラックを運営する自治体や企業、さらにはイベント・フェス運営などまで、全方位から注目を集める東海大学+高見沢サイバネティックス製 電子ペーサー。開発した両者はこんなビジョンを描いている。
「製品化へ向けてブラッシュアップ」

「この東海大学+高見沢サイバネティックス製 電子ペーサーを、日本国内のあらゆるシーンへ普及させ、日本陸上競技界の記録更新に貢献したい。
今後は製品化へむけてアップデート・ブラッシュアップを重ね、各大学や各トラックの仕様にあわせてカスタマイズできるようにしていく。
既存トラックへの後付けとしてのモデルもあるだろうし、新設するトラックに組み込むというモデルも考えられる。
さらに、災害時やフェスなどのシグナルにも使えることから、耐久性や信頼性を向上させながら、多彩な横展開ができるように開発をすすめていきたい」(東海大学・高見沢サイバネティックス)
―――東海大学と高見沢サイバネティックスが手がけた電子ペーサーの今後の動きが、楽しみ。


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