【オフィシャルレポ】luv、新曲も披露した初の全国ツアーファイナル公演
2025年4月6日(日)、
【以下、オフィシャルレポート】
2月に発表したミニアルバム『Already』のリリースを受けた今回のツアーは、福岡・名古屋・札幌・大阪・東京の5都市が全てソールドアウト。リード曲「Send To You」はアジアの各地域でバイラルヒットを記録するなど、上昇曲線を描くバンドの熱量がステージ上からも、そしてフロアからも確かに伝わってくる一夜となった。
開演時間を過ぎると、まずはRosa(キーボード)、Ofeen(DJ)、Zum(ベース)、Sho(ドラム)の4人がステージに登場。最後にHiyn(ボーカル/ギター)が姿を現すと、「東京おひさしぶり!luvと申します!」と挨拶をして、「柔軟剤DOPE」からライブがスタートした。シャープなカッティング、シンセやスクラッチをフィーチャーしたダンスチューンで早速場の空気を掴み、「かかってこい!」とオーディエンスを煽って、「Lee Un Vile」へ。バンドの自己紹介ソングでもあるこの曲では、ベース、キーボード、DJ、ドラムの順でソロを回し、Hiynが歪みを効かせたギターソロを聴かせ、Zumとともにステージ前方に出ていって、フロアはさらなる盛り上がりを見せる。
Rosaによるエレピのソロが温かみを感じさせるネオソウルチューン「Gum i」から、メジャーデビュー曲の「Fuwa Fuwa」では「1・2・3でみんな飛べる?」という呼びかけから、オーディエンスが一斉にジャンプをして、この曲がすでに愛されていることが伝わってくる。「みんなのボルテージもっとちょうだい。オゾン層まで届けられる?」と話して始まった「Ozone」は『A Funk Odyssey』期のジャミロクワイを意識したアシッドジャズで、多彩な音色を鳴らしながら再びソロ回しを披露していく。全員2003年生まれの若いバンドながら、度々織り交ぜられる各メンバーのソロからはプレイヤビリティの高さが感じられ、初のツアーを経験したことでどこかステージングに余裕が生まれているのも頼もしい。
Ofeenのトークボックス使いが印象的な「Cooen」、アル・グリーンをリファレンスにしたソウルのテイストと、日常的な「食事」をモチーフにした歌詞の組み合わせが面白い「胃袋ラブストーリー」を続けると、次に披露されたのはluvのライブではお馴染みのJ-POP名曲カバー。3月に初のアメリカ公演として行われた「SXSW」でのライブでは「はじめてのチュウ」とスティーヴィー・ワンダーの「Sir Duke」をマッシュアップしていたが、この日カバーされたのはPUFFYの「愛のしるし」で、柔らかな4つ打ちによる往年のディスコヒットのようなカバーがとてもいい。海外のアシッドジャズやネオソウルへの愛情の一方で、J-POPを楽しみながらカバーする親しみやすさは彼らが憧れた2010年代のバンドとも異なる、2020年代のバンドならではと言えるだろう。
MCではHiynを中心にメンバー同士が関西弁で何気ない会話を交わし、その着飾らない雰囲気も魅力的。ライブ後半戦に突入すると、「Jamlady」や「R.wiseman」といったインディーズ時代の曲を続け、「Stevlay」でのバンドの屋台骨となるShoの力強いビートと、Zumのファンクベースも心地いい。「東京でのライブの手応えがきっかけになって、5人でバンドでご飯を食べられるように頑張ろうと思った」「一緒に盛り上げてくれる人たちに救われてきた」とHiynが少し照れた表情を浮かべながらも真面目に感謝を伝えると、ここで披露されたのは大文字のバンド名をタイトルに冠したバラードナンバー「LUV」。この曲で<小さいを知って 僕らでいて>と歌われているように、彼らは「東京ドームでライブをしたい」とか「グラミー賞を獲りたい」のように大きな夢を語るのではなく、「まずは5人でご飯が食べられるように」と、あくまで等身大の目標を掲げ、だからこそオーディエンスも同じ目線で、一緒になって彼らを応援したいと思えるのだ。
Ofeenが赤いタンバリンを鳴らした「好人紀行」のジャジーな小気味いいアウトロから、「東京大好きです!そんなみんなにluvからSend To You!のぼせない程度に踊ってください!」と言って届けられたのは、luvの新たな代表曲となった「Send To You」。耳馴染みのいいトークボックスを用いたこの曲では、ラストの<I wanna send to you>のリフレインでフロアから一斉に手が上がって、ライブのハイライトに。さらには音源以上の疾走感を感じさせるダンスチューンの「Spare」を畳み掛けて、熱狂的な盛り上がりの中で本編が終了した。
アンコールではZumがおもむろに「Happy Birthday to You」を弾き始めて、誕生日の近いOfeenとRosaをサプライズでお祝いする場面も。ここで披露されたのは、「Spotify on Playstation」のキャンペーンソングとして書き下ろされた最新曲「Rear」。<世界の誰かのもとへおくりたいの>と歌うこの曲は、国内外で活動の規模が広がるluvから世界へのラブレターであり、ゲームで遊ぶように音楽で遊んで、目一杯楽しもうというluvの新たな所信表明でもあって、そのポジティヴなバイブスはこの曲のコーラスからも、この日のライブ全体からも確かに感じられた。ラストに演奏されたのはluvとして最初に発表した「Motrr」。もう一度各メンバーが巧みなソロを回しを披露して、最後までluvらしく、初のツアーが締めくくられた。
luvは、Y2Kネオソウルやファンク、ジャズ、ヒップホップなどのブラックミュージックに影響を受けたサウンドと、Hiyn(Vo/Gt.) が生み出す独特なリリック、そしてメンバーの巧みでグルーヴィーな演奏でライブシーンやSNSで注目を集める新世代バンド。若干結成1年でメジャーデビューを果たし、楽曲が日本のみならずアジア各国でバイラルチャートにランクイン、「Spotify on Playstation」の2025年のキャンペーンに抜擢されるなど注目を集めている。ゴールデンウィークからは続々と大型フェスへの出演が決定しており、彼らの活躍から目が離せない。
文=金子厚武
ライブ写真=永峰拓也
ライヴ情報
〈luv / Already Cruisin’〉
2025年4月6日 SHIBUYA WWW X
セットリスト
1. 柔軟剤DOPE
2. Lee Un Vile
3. Gum i
4. Fuwa Fuwa
5. Ozone
6. Cooen
7. 胃袋ラブストーリー
8. 愛のしるし(カバー)
9. Jamlady
10. R.Wiseman
11. Stevlay
12. LUV
13.好人紀行
14. Send To You
15. Spare
En1.Rear
En2 .Motrr
フォトギャラリー
フォトギャラリーはこちらからご覧いただけます

- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。