震災・原発事故から「ゼロからのまちづくり」が進む大熊町に、「復興の象徴」となる商業施設やホテルが完成!

福島県浜通りにある大熊町は、かつて1万1500人の人口を誇っていましたが、2011年3月11日の東日本大震災と福島第一原発事故の影響を受け、町全域が「避難指⽰区域」「警戒区域」となり、全町⺠が町外への避難⽣活を余儀なくされました。
そこから、14年たった現在、交流施設、商業施設が新たに完成。町営住宅も整備されるなど、他の地域に避難している町民や新たにこの町に来る方を迎え入れることができるよう、着々と整備されています。
2022年6月に「非難指示解除」されたJR常磐線「大野駅」の西側に広がる地区に行くと、新しい建物が続々と建設されていて、かつての大熊町の勢いを戻そうという人々の熱意が感じられます。
この地区は、「⼤野駅⻄交流エリア」と名付けられ、復興の象徴となる拠点の整備が進められてきました。かつては商店街があり街の中心地でしたが、震災後に建物の多くは解体され更地になってしまっていました。そこから、商いの場や集いの広場を再⽣させ町の⽞関⼝としての機能を取り戻すため「商業施設」を、町内での事業を再開したい⽅や復興業務に携わる拠点を町内に置きたい⽅に向け「産業交流施設」の建設が進められてきました。
そして、JR大野駅から見える場所に3月15日にオープンした産業交流施設「CREVAおおくま」は、復興を象徴するような建物で、木材を使用した外観、外光をうまく調節して入れるように設計された長い庇、外気を取り入れ夏は涼しく、冬は暖かい換気システムの導入、そして屋根には自前で賄えるほどの太陽光の設備が備わっている最新の建物です。

1階には多目的に使用できる大きな「CREVA HALL」と「貸会議室」、2階には小規模な「貸会議室」とコワーキングスペース、さらに入居する企業の部屋、3階には中央の「CREVA VIEW TERRACE」があり、外に出ると駅前整備地区の光景が眺められ、しかもラウンジがあり、ゆっくり過ごせます。
さらに、1階には「JAEA ANALYSiS LAB.」「中間貯蔵事業情報センター」が入っています。「JAEA ANALYSiS LAB.」」は「分析」をテーマに取り組んでいて、立ち入ることができない研究施設を大型ビジョンで見ることができたり、5つのエリアを体験できます。
「中間貯蔵事業情報センター」では、中間貯蔵事業、除去土壌等の再生利用などを、施設の中にいるようにバーチャルシアターで見ることができ、館内ツアーも実施しています。そのほか2~3階には、「福島県原子力安全対策課」、「大熊るるるん電力株式会社」など、約30の公共施設や会社が入居しています。

CREVA VIEW TERRACE

コワーキングスペース

CREVA VIEW TERRACEからの眺め
「CREBAおおくま」と歩道を挟んで南側には、商業施設の「クマSUNテラス」も3月15日にオープン。5棟の建物群からなり「クマSUNラウンジ」「キッズルーム」をはじめ、コンビニエンスストアの「ファミリーマートクマ」、ラーメン居酒屋「京都ラーメンおおきに」、中華食堂「十川食堂」、和風ダイニング「韋駄天 IDATEN」、ステーキ&カフェ「WALNUT」、カフェ&レストラン「panier(パニエ)」、「ふたば文具」の5軒の飲食店と2つのお店があります。 飲食店のバリエーションの豊富さは、生活の充実に欠かせない要素です。大熊町では住民目線での開発が進んでいると改めて感じることができます。

エリア内の「ふたば文具」は、かつてこの場所にあった商店街の中で、「双葉事務器」として営業されていました。広々とした店内では文具・事務用品・雑貨などが幅広く販売。店主は東京芸大の学生との交流が深いとのことで、芸大生のグッズコーナーがあり、人気を呼んでいます。

カフェ&レストラン「panier(パニエ)」では、ランチが3コースあり、「オムライス」「ボロネーゼパスタ」「ビーフストロガノフ」の3種を提供しています。地元産のいちごを使ったデザートや飲み物などもあり、食事以外でもちょっと立ち寄って過ごすのにおすすめです。

さらに、2025年1月には、JR大野駅から車で10分程度の場所に、「タイズヴェルデホテル」がオープン。震災復興後初めて開業した民間ホテルで、管理棟で朝食をする食堂がある「VERDE X(クロス)」のほか、シングルルームが3棟計72室、ツインルームが1棟全10室あります。料金がシングル6500円+税、ツインが1万2000円+税と、利用しやすい価格帯です。


徒歩5分くらいの大熊町役場近くには、宿泊と大浴場が楽しめる宿泊温浴施設の「ほっと大熊」、多目的ホール・音楽スタジオ・運動スタジオ・図書コーナー・クッキングスタジオなど完備の「linkる大熊」、そして商業施設の「おおくまーと」があり、コンビニ「ニューヤマザキデイリーストア」、旬の魚を提供する「魚定食おしだ」、和食の「さかい」、軽食・喫茶「レインボー」、ハンバーガー・ホットドッグの「コミュニティーキッチン090(OKUMA)」、日曜雑貨の「鈴木商店」、「さつき美容室」「たきもとでんき」「コインランドリー」など9店が連なっています。施設内のベンチでテイクアウトした食事を楽しむのも一興です。
町役場や「linkる大熊」に近い大川原地区には、2LDK、3LDKの町営住宅が連なっています。平屋建ての各住戸には電気自動車用の急速充電機が付いています。
さらに、もう1カ所町営住宅と分譲住宅地の整備が進行中とのことです。大熊町はさらなる住宅開発を計画しており、住民の帰還や移住の受け皿となることが期待されています。
東日本大震災と福島第一原発事故の被害を受け、今も「帰還困難区域」が存在する大熊町。避難した人々が大熊町に戻り、かつてのように生活したいという町民の希望を実現させるためにもこれからも大熊町は飛躍的な発展を遂げていくことに期待したい。

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