首都圏の新築マンション購入者の平均価格は6629万円、東京23区は8440万円。東京23区からの転出者が増加!?

首都圏の新築マンション購入者の平均価格は6629万円、東京23区は8440万円。東京23区からの転出者が増加!?

リクルートの調査研究機関『SUUMOリサーチセンター』が、「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」の結果を発表した。その結果を見ると、予想どおりに平均価格は上昇していた。ただし、価格上昇がいろいろな形で影響していることも分かった。詳しく見ていこう。

【今週の住活トピック】
「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」を発表/リクルート

首都圏の購入価格は6629万円で、2001年以降最高額に

調査は、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)で、2024年1月~12月に新築マンションを購入契約した人(対象:5188件)に行ったもの。

近年の新築マンションの価格上昇を受けて、2024年に購入契約した人の平均購入価格は、6629万円だった。2023年より596万円増加し、2001年の調査開始以来最も高くなった。いずれのエリアでも平均価格は上昇したが、東京23区では、1100万円増の8440万円になった。

■購入物件所在地別 平均購入価格の推移

購入物件所在地別 平均購入価格の推移

出典:リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

また、購入価格が「6000万円以上」の価格帯となる割合が50.6%を占めるほどになり、2023年の40.7%から大幅に増加した。やはり、購入価格の上昇が顕著だ。

高価格帯を購入するには、借入額の増加や世帯所得の増加が必須?

購入したマンションの価格が上がっているということは、「共働き比率が上がって世帯年収が上がり、住宅ローンの借入額が増えた」と予想できる。実際はどうだったのだろう?

まず「共働き比率」は、全体の59.5%で、既婚世帯だけで見ると75.0%となり、ほぼ2023年並みだった。次に、「世帯総年収」は全体平均で1129万円となり、2008年以降で最も高くなった。世帯総年収と共働き状況をクロスしてみると、世帯総年収「1000万円~1200万円」と「1200万円以上」には、既婚・共働き層が多いことが分かる。

■世帯総年収と共働きの有無

世帯総年収と共働きの有無

出典:リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

ローンの借入総額では、「5000万円以上」が63.4%を占め、平均額は5671万円になり、2005年以降で最も高くなった。2023年の調査で「5000万円以上」は52.4%だったので、大幅に増えたことになる。ここでもやはり、共働き世帯のほうが借入総額は高くなっている。

■ローン借入総額(ローン借入者のみ)

ローン借入総額(ローン借入者のみ)

出典:リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

加えて、住宅ローンで「世帯主と配偶者のペアローン」の割合が増加している。共働きをしている世帯の56.3%がペアローンを利用しており、2023年調査の53.8%からさらに増えた。

当初の「共働き比率が上がって世帯年収が上がり、住宅ローンの借入額が増えた」という予想は、おおむね当たった結果だ。

購入物件の23区内のシェアは減少。東京23区居住者の約4割が他エリアに転出

新築マンション価格の上昇の影響は、購入物件の所在地にも見られる。価格上昇が著しい「東京23区」での購入が減っているのだ。2023年では35.0%だったが、2024年には28.3%に下がった。2010年代後半では、おおむね4割台で推移していたので、23区内の物件に手が届きにくい状況といえるだろう。

■購入物件所在地

購入物件所在地

出典:リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

また、購入前に「東京23区」に住んでいた人が、同じ23区内で購入した割合は減少傾向にあり、2024年では59.1%まで下がっている。つまり、23区在住者の残りの約4割はそのほかのエリアに転出していることになる。もちろん、周辺エリアからの転入もある。「東京市部」在住者の12.7%、「神奈川県」在住者の5.2%、「埼玉県」在住者の9.0%、「千葉県」在住者の10.0%が東京23区内に物件を購入した。

■契約前住所別 購入物件所在地(東京23区)※直近6年間の推移

契約前住所別 購入物件所在地(東京23区)※直近6年間の推移

出典:リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

購入者の意識に変化。住宅価格の影響か?

必ずしも、購入価格が上昇していることが影響しているとは限らないが、購入者の意識に変化も見られるようだ。

ひとつは、「資産価値」だ。住まいの購入を思い立った理由で、1位は「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから」(2023年:36.1%→2024年:36.1%)だが、2位は「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから」(同32.0%→34.7%)が上昇した。価格の上昇が資産価値を意識させる要因になった、とも考えられる。

もうひとつは、「重視した項目」で、最低値となった項目だ。かつては重視度が高かった「通勤アクセスのよいエリア」(57.7%)、「住戸の向き」(43.0%)などが、2005年以降で最低値となったという。価格の上昇で、重視する項目を減らしている、という考え方はできないだろうか。

<まとめの文>
令和7年の公示地価を見ても、住宅地の地価は上昇している。人手不足による労務費の上昇や工期の長期化などで建築費も上昇している。投資目的の購入も多い都心部では、マンションの価格はまだ上昇するだろうし、首都圏全体でも住宅価格は高止まりせざるを得ない状況だ。

これまでのように超低金利を活用してめいっぱい借りることも難しくなってくるので、購入する側が何を重視するのかを明確にして、条件を絞り込んで物件を探す必要があるのだろう。

●関連サイト
リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 首都圏の新築マンション購入者の平均価格は6629万円、東京23区は8440万円。東京23区からの転出者が増加!?

SUUMOジャーナル

~まだ見ぬ暮らしをみつけよう~。 SUUMOジャーナルは、住まい・暮らしに関する記事&ニュースサイトです。家を買う・借りる・リフォームに関する最新トレンドや、生活を快適にするコツ、調査・ランキング情報、住まい実例、これからの暮らしのヒントなどをお届けします。

ウェブサイト: http://suumo.jp/journal/

TwitterID: suumo_journal

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。