【北海道】岩内町で地域公共交通の課題解決へ向けた取り組み開始。データを基に交通政策改善へ


北海道岩内町、東日本電信電話(以下、NTT東日本)、ユニ・トランドは、地域公共交通より収集したデータをダイナミックかつ柔軟に活用できるプラットフォーム「Community MaaS(コミュニティマース)」(※1)により、地域公共交通の課題解決および活性化を図るとともに、エビデンスに基づく交通政策の実現に向けた検討を開始。

同取り組みを通して、共創型まちづくり基盤による地域交通利便性向上と、科学的根拠やデータを基に政策を立案・実施する手法「EBPM(Evidence-Based Policy Making:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)」の実現を目指す考えだ。

キャッシュレス決済で利便性向上、運賃無料支援も


岩内町は、2月から循環バス「ノッタライン」および円山地域乗合タクシー1台にキャッシュレス決済システムを導入。同システムでは、バスの乗車と降車の際にQRコードを専用機器のQRスキャナーにかざすと運賃が支払える。

また、Felica技術(※2)を使ったICカードにも対応。Kitaca・Suicaなどの交通系ICカードや、WAON・nanacoなどの流通系ICカードを持っている人は、専用アプリと紐付け連携することで、そのICカードで乗り降りが可能に。スマホを操作することなく「カード1枚」でキャッシュレス決済が完結する。

さらに、QRコードが印字された紙のチケットにも対応。これにより、スマートフォンを持っていない人やデジタルを敬遠する人にも対応し、住民サービスのDX推進の課題も解決するだろう。

そして、免許返納者に対しては、ORコードが印刷された紙チケットによる運賃無料支援を実施。地域内の移動の活性化を図る。

乗降者データをもとに施策改善を図る

循環バス「ノッタライン」には、バスの路線や停留所の乗降者数や遅延を可視化・分析する「MANALYZE(マナライズ)」システムも導入。

町内を走るバスに設置された専用車載器および決済専用機器のQRリーダーから、各種データを運行系統情報と紐づけてクラウドに随時データを送信し、乗降者のODデータを収集する。そのデータをもとに「MANALYZE」によるODデータ可視化を実施し、交通事業や行政施策の改善を図るという。

3者の役割と今後の展開

この取り組みにおいて、岩内町は、「ノッタライン」と「円山地域乗合タクシー」の利便性向上に資する仕組みを整備。また、地域公共交通における維持・継続を実現するためのデータ収集・可視化を担う。

NTT東日本は、システム設計・構築・保守ならびに導入支援を担当。ユニ・トランドは、クラウドサービスおよびシステムの提供、データ収集基盤の提供、導入支援を行っていく。

今後岩内町は、取得データを活用した持続可能な公共交通の運行を目指し、持続的なアップデートに取り組んでいく方針だ。NTT東日本、ユニ・トランドは、自治体との取り組みで培ってきたICT技術の活用を通じて、地域の交通課題解決を推進していくという。

3者は、同サービスを通じて、自治体や運行事業者の業務効率化を図るとともに、地域の公共交通の利便性を向上させ、利用者を増やすことで収益を確保し、持続可能な公共交通の推進と地域活性化を目指す考えだ。

デジタル化を通じて、地域課題解決を図る3者の取り組みの今後に注目したい。

※1 ユニ・トランドが開発した、地域の移動手段を統合し、スマホアプリなどで一括して利用・管理できるサービス
※2 Felica技術とは、ソニーが開発した非接触型ICカード技術。高速データ通信と高セキュリティが特徴で、電子マネーや交通系ICカード、社員証など幅広い用途で利用されている。

(Higuchi)

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