【ライヴ・レポート】浪漫革命の「音楽への愛」が溢れ出した日──〈ROMANCE is not DEAD〉

【ライヴ・レポート】浪漫革命の「音楽への愛」が溢れ出した日──〈ROMANCE is not DEAD〉

「バンドって、良いな。そして浪漫革命って良いバンドだな。」

LIQUIDROOMにて開催された浪漫革命のワンマンライヴ〈ROMANCE is not DEAD〉を見て、何度もそう思った。それは、彼らの鳴らす「音楽への愛」がまっすぐに心に届いたからだ。

2025年2月2日。暦の上では節分。警報的大雪の予報が出ていたにも関わらず、悪天候の鬼をどこかに追いやったかのように、ライヴの時間は雲ひとつ出ていなかった。それはまるで、浪漫革命のワンマンライヴの開催を祝福しているかのようだった。

【ライヴ・レポート】浪漫革命の「音楽への愛」が溢れ出した日──〈ROMANCE is not DEAD〉

2017年に、京都の同志社大学の先輩後輩で結成されたバンド、浪漫革命。2024年にはメンバー全員で東京進出を果たし、新たな魅力を生み出している5人組である。そして、このLIQUIDROOMという会場でのライヴは浪漫革命にとって、夢の舞台のひとつである。以前にもこの場所でのライヴを予定していたが、コロナ禍に入ってしまい、その夢は叶なかったという。この日はそういったリベンジの意味も含め、メンバー全員の気合いがほとばしっているように感じた。
 
定刻を迎えると、小坂忠の“ひとりじゃないよ”をSEにメンバーが登場。そのままセットリストの1曲は、昨年2024年9月にリリースされた2nd EP『溢れ出す』から“聴いて!”。「僕は音楽やバンドが大好きなんだ」という想いが、まさに「溢れ出す」ような演奏だった。その姿から感じたのは、「音楽」というものへのまっすぐなリスペクトと愛。一気に心をグッと掴まれてしまった。

【ライヴ・レポート】浪漫革命の「音楽への愛」が溢れ出した日──〈ROMANCE is not DEAD〉

ライヴはさらに加速度的にテンションを上げ、“君という天使”、“ベイベ”、“ふれたくて”へと続く。藤澤信次郎(Vo,Gt)は「ちょっと嬉しすぎるんですけど!みんな来てくれてありがとう!浪漫革命のワンマンライヴがはーじまるよー!」とこの日を迎えた喜びを爆発させると、それに呼応するようにオーディエンスの顔も笑顔になっていく。

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浪漫革命のライヴは、とにかく「愛」に満ちている。怒りや不安のようなマイナスの空気が蔓延している現代社会だからこそ、彼ら5人がステージで鳴らす「喜び」や「好きだ!」というストレートな気持ちは、心を晴れやかにしてくれる。彼らが鳴らす音楽はある種の「救い」になっている気がした。
 
ネクスト・ソングは後藤潤一(Gt)が手がけた“ゆ”。銭湯から上がったあとのような、ゆったりとした温かな空気が会場中に満ちていく。思えば、最新のアーティスト写真や、ステージ上に用意された暖簾、そして開演前にも映画「千と千尋の神隠し」のサウンドトラックが流れていたりと、「お風呂」をテーマにしたものが多かったように思う。この演出には、浪漫革命のライヴに来てくれたひとに、ホッとするひとときを届けたいという気持ちがあったのだろうと推察する。

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ライヴはここから後半戦。“うわついた気持ちfeat.鎮座DOPENESS”でフリーキーなサウンドを届けたあとは、スペシャルゲストとして、サックス奏者の華波を呼び込み、“KYOTO”という楽曲を披露。「京都を東京に持ち込む」の誓いを胸に上京してきた浪漫革命。その京都ヴァイブス全開のグッド・ミュージックを、情熱的なサックスの音色が彩っていた。
 
アーチー・ベル&ザ・ドレルズの“Tighten Up”を思わせるファンキーなセッションを挟み、続いて“JUST DO IT”へ。藤本卓馬(Ba,MC)とTOY(Dr,Cho)のリズム帯を軸に強靭なグルーヴを生み出すと、曲間には後藤と華波のソロバトルも展開。浪漫革命流のエンターテイメントで観客を沸かせた。その次の“シルビー”は、リード・ヴォーカルを大池奏太(Gt,Cho)が担当。藤澤とはアプローチの異なる歌声の魅力で、バンドとしての可能性の幅の広がりを感じさせた。

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この日印象的だったのは「次の曲は撮影OKです!」という言葉のあと、演奏された“世界に君一人だけ”。客席から向けられたスマートフォンの光が、まるでイルミネーションのように輝いて見えた。それは本当にロマンチックで、これからの浪漫革命の未来を照らしているようだった。

ライヴはここから終盤へ。続く“あんなつぁ”では藤澤の「みんなで歌おう!」の合図で大きなシンガロングが起き、ライヴにおける一体感がさらに高まっていく。そして本編最後は、“ラブストーリー”。浪漫革命が紡ぐ大きな愛がLIQUIDROOM全体に広がっていた。

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万雷の拍手に呼ばれ、再びメンバーが登場すると、「藤澤信次郎 ほぼ等身大ステッカー」のプレゼント大会も行われた。これは藤澤の誰かに恩返しをしたいという純粋な動機から実施されたものであり、こういうサービス精神も浪漫革命の持ち味のひとつなのだろうなと思った。
 
アンコールでは、この日のために用意した新曲“会いたい”を初披露。浪漫革命が生み出す爽やかな風が、LIQUIDROOMに吹いていた。ラスト・チューンの“楽しい夜ふかし”では、心地よいグルーヴでフロアを揺らし、大団円でメンバーはステージを後にした。

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と、ここでライヴは終わりはずだったのだが、鳴り止まない拍手に「やらないわけにはいかないでしょう!」とダブルアンコールがスタート。ここで歌われた“青い春”の歌詞を体現するかのように、最後の最後までバンドで音を鳴らす喜びを全力で表現していた。
 
こうして幕を閉じた浪漫革命のワンマンライヴ〈ROMANCE is not DEAD〉。彼らはこれからも自分たちの音楽を信じて進んでいくのだろう。そんな続いていく「未来」も感じさせる「愛」に溢れた素敵な夜だった。

【ライヴ・レポート】浪漫革命の「音楽への愛」が溢れ出した日──〈ROMANCE is not DEAD〉

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取材&文:ニシダケン
撮影:藤咲千明

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ライヴ情報

浪漫革命「ROMANCE is not DEAD」
 
■  開催日:2025年2月2日(日)
■  会場:恵比寿リキッドルーム

【セットリスト】
1.聴いて!
2.君という天使
3.ベイベ
4.ラブソング
5.ふれたくて
6.ゆ
7.ふたりでいること
8.うわついた気持ち
9.KYOTO
10.JUST DO IT
11.シルビー
12.そっとぎゅっと
13.ひとり
14.世界に君一人だけ
15.あんなつぁ
16.ラブストーリー

En1.会いたい(新曲)
En2.楽しい夜ふかし
WEn.青い春

インタビュー

浪漫革命、音楽やバンドへの想いが『溢れ出す』──京都を抜け出し、この1枚で人生を変える
https://ototoy.jp/feature/2024092501

アーティスト情報

■Web
https://romankakumei.com/
■X
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■
Instagram
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