25周年特別編:毎日カッコつけずにメモに残しておくということ【こぐれひでこの「ごはん日記」】

2000年2月に始まった「こぐれひでこのごはん日記」は25周年を迎えました。

なんとありがたいことでしょう! 

毎日覗いてくださった皆さんに、たまに覗いてくださった皆さんに、そして休みなく続く食の記録を素敵に丁寧に編集し続けてくださった編集部のみなさんに、感謝の言葉しかありません。

美食家でも、料理自慢でもない私が毎日の食事を公開し続けられた要因は、食いしん坊だったこと(毎食きちんと食べたいという性格)&メモ魔だったことだろうか。自分が食べたものをメモ(スケッチと雑感)するようになったのは、40年ほど前のこと。ひっそりとした「ごはんのメモ魔」だったのである。

編集部から「blogしませんか?」とお誘いを受けた25年前、「あ、このメモを毎日公開できたら面白いかも」「他の人にとって面白いかどうかはわからないが、個人的には面白そうな試み」、そして、「100年後、200年後の人たちがこの日記を発見して、昔の人はこんなものを食べていたのね〜、なんてね、思ってくれたら愉快じゃないか?」とも思ったのだ。

100年どころか25年しか経過していないblogだが、記録をめくっていくと、自分の食事のことなのに、そのころ、周りに漂っていた空気や出来事への興味がどんどん膨らんでいく。

例えば、2005年2月13日のごはんの記録(58歳)

朝食

黒米と玄米、きびなご、ちりめんじゃこ、揚げとネギのみそ汁。

昼食

からすみのスパゲッティ、焼いた赤ピーマン、キュウリ、サラミ。カフェとアーモンドロカ。

夕食

イワシのつみれ鍋(イワシのつみれ、ゴボウ、セリ、豆腐)、めかぶと納豆(混ぜ合わせたら美味しかった)、里芋煮、大根としらす、海苔のサラダ、鍋の最後にうどんを入れてレモン汁をかけて食べたら美味。

3食バッチリのたらふく具合だ。

翌日の昼にはラーメン&餃子を食べている。ラーメン屋から出てきたら、見知らぬ人に「こぐれさんラーメン食べ過ぎ!」と注意されたのはこの頃だったか。

2007年6月

還暦記念にスペイン・アンダルシアへひとり旅をした。

2人前から注文可という米料理ARROZを注文、別の料理も注文して平らげた、堂々たる大食漢の還暦おばさんだった。 

2015年

東京から三浦半島の海沿いに引っ越し。新しい生活が始まる。

佐島の生ダコを自宅で茹でるなんて、考えてもいなかった生活が始まる。海産物の料理が増えていった。夫が率先して海産物料理をするようになった。

ひとり旅から10年後の2017年2月

古希。おお、ちゃんと太り始めている

このころも「たらふく食事」の生活は続く。昔から、私の1日は「何食べる?」という想いとともに過ぎてきた。朝ごはんを食べながら昼食は何を食べようか、昼食を食べながら夜は何を食べようかと考える、そんな日々。あ、でも、考えてみれば、いまでもそうだなあ。

2021年夏

2021年夏に小腸閉塞の手術をする直前まで、基本的に3食きっちり食べていた。空腹でなかろうが、食事は食べなくちゃ! と詰め込んでいたのだ。

いや、無理していたわけではない。ちゃんと美味しくはあったのだが……こんなにデブになっていた! それに飲みすぎて二日酔いの日も度々。体が注意信号を発したのだ。

25周年特別編:毎日カッコつけずにメモに残しておくということ【こぐれひでこの「ごはん日記」】

小腸閉塞は食べ過ぎが要因のうちの一つ(と主治医から説明された)と知って以来、ちゃんと空腹になるまでは食べないことにした。朝はヨーグルトとカフェか紅茶。あれから3年あまりが過ぎ、いつの間にか私の体は普通に。

25年で特筆すべき変化は…

そんな生活の中で、特筆すべき変化は、徹君(夫)が料理をするようになったことと庭に小さな畑状の場所を作り、西洋野菜を栽培するようになったこと。料理単行本、雑誌の料理ページ、ネット検索、ブロから直接、というネットワークを駆使して、美味しい料理を作るようになったのである。

バサッと大雑把な性格の私とは違い、計量きっちり、加熱時間、浸水時間など律儀に守る素人の調理人だ。失敗することもあるが、近頃、成功率が高くなっていて、私はsous chef(素人の副調理人)的立場でキッチンに立つことが多い。食事作りをする老夫婦の活動を称した「調理部の部活」は1年前に発足。80歳を眼前にした老齢で、中高生っぽい部活動を編み出した我々、ちょっといい爺婆じゃないかなあ、と自負している

過去を遡ってみたら

そんなこんな、「ごはん日記」25周年を機に、過去を遡ってみたら、「あれ、すごく美味しくできたよねえ」とか「えっ、そんなことあった?」とか「あの人にしばらくあっていないなあ」とか「あの街で食べたあれ美味しかったなあ」とか……綿々と続く日記に綴られた体験は、自分の人生のようでもあり、見知らぬ人の人生のようでもあり、不思議な好奇心が生まれる。

といいことばかりの「ごはん日記」人生のように書きましたが、もちろん、日記のデータ送信を何日分も溜め込んで、編集部から催促を受けたことは何度もあります。だけど、不思議なことに嫌になったことはない。先日膝の手術で入院していたとき、薬の効果か、頭が朦朧としていたにも関わらず(食べたくもなかったのに)病院食の撮影を1食も欠かさずしていたことを、後になって気がついてびっくり! 私はそれほど、食べ物への興味が強い人間だったのかと。

何かを続けること、また、続けていることを簡単でもいいからメモにして残しておくことは、時が過ぎて振り返ると、自分が愛しく思えます。

なんだっていいのです。ノートを買い込んで、たとえばお化粧、たとえば散歩。たとえばお酒、たとえば好きな人、たとえばもらったもの、あげたもの……なんてことをテーマに、カッコつけずに、わずかな言葉でも落書き風のイラストでも写真でも残しておくこと。

たとえそれが1年、いや数ヶ月しか続かなくても、そのノートはあなたの宝物になっているはず。楽しかったな、頑張ったな私、などと思いながら、自分を抱きしめたくなると思う。写真は私の2019年のあるページです。

私は2月で78歳。昔のように大食漢ではなくなり、ラーメン頻度も下がり、酒量も減り、さっぱりしたものが好きになった。ま、一般的なお婆さんと同じような感じです。

もうしばらく、私の食に対する興味が続くかぎり、この「ごはん日記」を続けさせていただきたいと思います。これからも、みなさまのご訪問、お待ちしています。それには私が元気でいなくちゃ、ね。

こぐれひでこ

 
 

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