都市圏の単身者は「住まいのゆとり」を求めている?部屋の広さや集中収納できる設備など、賃貸住宅に求める条件もランクアップ
ANAファシリティーズが、都市圏に住む20~50代の単身者1000名を対象に「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」を実施した。ここで言う都市圏とは、東京都、神奈川県、大阪府、千葉県、埼玉県、京都府、兵庫県、福岡県、愛知県、宮城県となるが、単身者はどんな条件で賃貸住宅を選ぶのだろうか?
【今週の住活トピック】
「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」を実施/ANAファシリティーズ
住環境の整備を重視するが、居住するのは都市圏内
働き方改革などの影響で、ワークライフバランス(仕事と生活を調和させ、両方が充実できる状態)が重視されるようになった。今回の調査で、ワークライフバランスと住環境の関係性について尋ねたところ、80.9%が「ワークライフバランスや生活の質を向上において、住環境の整備は重要」(「とてもそう思う」42.2%+「ややそう思う」38.7%)と回答した。
一方でワークスタイルを見ると、コロナ禍を経て普及したリモートワークが、ある程度は定着しているようだ。今回の調査で、「出社とリモートワークの比率」を尋ねると、「完全出社」の回答が70.3%を占め、リモートワークをしている人は3割に満たないという結果だった。なかでも「フルリモート」(6.7%)、「2割ほど出社」(4.5%)、「4割ほど出社」(4.9%)といった、リモートワークのほうが主体となるのは16.1%だった。
出典/ANAファシリティーズ「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」
完全出社が大半だからかもしれないが、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に移行した2023年5月以降、引越しを実施または検討したかを尋ねたところ、「引越しはしておらず、検討もしていない」=都市圏に住み続けている、あるいは引越しを実施または検討しても「都市圏内」という人が96.9%と大半だった。
出典/ANAファシリティーズ「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」
また、「普段の休日は家と外、どちらで過ごすことが多いか」と尋ねると、「家で過ごす」(36.6%)・「どちらかというと家で過ごす」(27.5%)と、64.1%は外で過ごすより家で過ごすことを選択していた。
都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件とは?
では、どんな条件を賃貸物件に求めているのだろう?「必須と考える物件条件」は、1位が「間取りの広さ」、2位が「駅徒歩分の短さ」、3位が「バス・トイレ別」になった。わずかではあるが、駅からの距離よりも住まいの広さのほうが、必須条件として挙げる人が多いという点に注目したい。
出典/ANAファシリティーズ「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」
次に、「家賃が高くても欲しい自室に求める条件」を尋ねると、1位が「ゆとりのある部屋の広さ」、2位が「家具の配置がしやすい居室の形」、3位が「ウォークインクローゼット」だった。2位の家具の配置がしやすい居室の形とは、妙に細長かったり変形だったりせず、正方形に近い形ということになるだろうか。1位の広さと合わせて、スペースに無駄がなく有効活用できるのがポイントになるのだろう。
出典/ANAファシリティーズ「都市圏の単身者が賃貸物件に求める条件に関する調査」
3位のウォークインクローゼットに加え、7位のシューズインクロークなどの「集中収納」を求める人や、最新のユニットバスやシステムキッチンなどの「設備のグレードアップ」を求める人も多いという結果にもなっている。
ちなみに、「家賃が高くても欲しい共用部分に求める条件」では、1位が「衛生的なゴミ置き場」、2位が「オートロックドア」、3位が「多機能宅配BOX」だった。タイパやセキュリティを重視する時代においては、ある意味当然と言える結果かもしれない。
都市圏の単身者が重視するのは、住まいのゆとり?
今回の調査結果を見る限りでは、都市圏でのワークスタイルは、リモートワークが普及したとはいえ、出社頻度はそれなりにあるため、都市圏外に転居する動きは少なかった。都市圏内に住み続ける一方で、生活の質の向上のために「住環境の整備」を重視する傾向もうかがえた。
「住環境の整備」について具体的に質問がなされていないが、休日を自宅で過ごす人が多いこともあって、住環境の整備=住まいのゆとりに向いているように感じられる。住まいの広さや家具が配置しやすい部屋の形状などを重視するのは、リモートによるワークスペースの確保という観点もあるだろうが、生活を潤すための空間を求める意味合いもあるのだろう。
また、集中収納などを活用したモノがあふれない生活や、最新のキッチンやユニットバスで、料理を楽しんだり入浴でリラックスしたりしたいという志向も透けて見える。自宅において充実した生活が送れることが望まれているようだ。
これに対して、デベロッパー側も新たな動きを見せている。これまではグレードの高い賃貸住宅が少なかったことから、都市部に一段グレードを上げた賃貸マンションや、なかにはインバウンドをターゲットにした高級賃貸マンションなどを提供する事例もある。また、専有部は狭くても、リビングやキッチンなどに充実した共用施設を用意する賃貸マンションの事例などもある。
賃貸住宅も低廉なものから高級なもの、コミュニティを重視したものなど、単身者のニーズに応じて多様になっていくのだろう。
~まだ見ぬ暮らしをみつけよう~。 SUUMOジャーナルは、住まい・暮らしに関する記事&ニュースサイトです。家を買う・借りる・リフォームに関する最新トレンドや、生活を快適にするコツ、調査・ランキング情報、住まい実例、これからの暮らしのヒントなどをお届けします。
ウェブサイト: http://suumo.jp/journal/
TwitterID: suumo_journal
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。