【茨城県水戸市】躍動感溢れる筆遣いと力強い色彩!「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」展が開催
「水戸芸術館現代美術ギャラリー」では、「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」展を、2月15日(土)から開催する。
幅9メートル超の新作絵画「ザ・オーケストラ」の展示もあり、「生きること」と「描くこと」が切り開く世界に迫る。
躍動感溢れる筆遣いと力強い色彩の作品
今回の展示会は、躍動感溢れる筆遣いと力強い色彩の絵画で知られる近藤亜樹氏の個展。
近藤氏は、東日本大震災の余波に人々の心が揺らぐ2012年に画家としてデビュー。
2012年サンフランシスコ・アジア美術館での企画展「PHANTOMS OF ASIA: Contemporary Awakens the Past」に10メートルを超える大作絵画「山の神様」を出展。以後、描くことで現実に向き合う自らの創作を探求し、2015年には約14,000枚の油彩と実写を組み合わせた鎮魂の映画「HIKARI」を発表するなど、絵画表現の可能性を拡げてきた。2020年から山形県を拠点に活動している。
主な展覧会は、「わたしはあなたに会いたかった」(個展、シュウゴアーツ、2023年)、国際芸術祭「あいち2022」(2022年)、「星、光る」(個展、山形美術館、2021年)、「高松市美術館コレクション+身体とムービング」(高松市美術館、2020年)、「絵画の現在」(府中市美術館、2018年) など。受賞歴に、2022年VOCA 奨励賞、2023年絹谷幸二芸術賞などがある。
同氏は自身の作品にて、日常の事物や記憶に残る人々の面影、植物、幼子の言葉といったプライベートなモチーフから生と死や超越的な自然の力といったテーマまでを自身のなかに受け止め、それらを描くことで異なる者同士が「いま・ここ」につながり合う世界を展望してきた。
ときに抗しがたい出来事に向き合い、他者の存在やつながりを感じ取るなかで生み出されてきたその作品は、小さくささやかな存在や名状しがたい兆しに光を当て、人間の感受性を呼び覚ます。
過去最大規模の個展
「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」展は、近藤氏の2022年以降の作品と、今展に向けて制作された50点を越える新作を一挙に展示する、作家にとって過去最大規模の個展となっている。
展示では、生への肯定や他者と共に在ること、人間的な尺度を越えた自然の世界、植物とのささやかな交感、芸術の根源に対する問いなどをテーマに、絵画表現の可能性を切り開く近藤氏の現在を、建築家・青木淳氏による展示構成によって展覧。
生命の祝福、他者と共に在ること、2022年以降ますます切実さを帯びる災害や戦禍にある人々への想い、葛藤とレジリエンスなど、近藤氏の作品をとおして「生きること」と「描くこと」が切り開く世界に迫る。
サボテンをモチーフにした新作や巨大壁画
注目したいのは、近藤氏が注力するサボテンをモチーフにした新作シリーズ。
ユニークなかたちや特徴をもつ、近藤氏の大小の「サボテン」は、生命力のシェルターとも、あるいは自己・他者を慈しむ気持ち(コンパッション)の象徴とも見ることができそう。
また、「ザ・オーケストラ」は、喜びや悲しみ、葛藤や回復の過程を昇華させ、見る者と一体になる絵画を体験する同展の見どころの一つである、9メートル超の新作絵画の大作。
人間のみならず動物や植物、昆虫や擬人化された音の粒が混然となって画面を埋め尽くす様には愉快さやユーモアがあり、また画面から溢れんばかりの色彩と筆致には、イメージを逃すまいとする表現への貪欲さを感じさせる。落雷に打たれてもなお新しい芽を宿す、松の巨木から着想した作品だ。
イベントやワークショップも
近藤氏によると、「ザ・オーケストラ」は、「水戸芸術館現代美術ギャラリー」前館長である指揮者・小澤征爾氏の存在が、作品制作の背景にあるとのこと。そこで、会期中、同作を音楽家の演奏とともに味わう関連プログラム「ザ・オーケストラの部屋」も開催される予定だ。
こちらは申込が必要で、2月1日(土)から受付がスタート。開催日は3月1日(土)などだ。
また、4月27日(日)には、「いい顔してる植物」をコンセプトに活動する「叢」の小田康平氏と近藤氏が「サボテン」について語るトーク&ワークショップも開催。申込は2月1日(土)から。
展示会開催期間の3月8日(土)~4月6日(日)には、に高校生のための展覧会無料招待企画「高校生ウィーク」も同時開催される。
見ごたえ満点の展示会、気になる人は足を運んでみて。
■「近藤亜樹:我が身をさいて、みた世界は」概要
会場:水戸芸術館現代美術ギャラリー
住所:茨城県水戸市五軒町1-6-8
会期:2月15日(土)~5月6日(火・振休)
開場時間:10:00~18:00(入場は 17:30 まで)
展覧会ページ:https://www.arttowermito.or.jp/gallery/lineup/article_5321.html
(鈴木 京)
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