「CHANGE THE GOODs ACTION」発起人・田渡凌選手の想い “知識がなくても行動に移せる”の代表例になれたら
福島県のプロバスケットボールクラブ・福島ファイヤーボンズに所属し、日本バスケットボール選手会会長でもある田渡凌選手は、福島県が抱えるごみ問題に目を向け「福島県で活動するクラブとして、できることはないか」という想いのもと、2024年1⽉に「CHANGE THE GOODs ACTION」(以下、同アクション)を発足した。
不要になったクラブグッズを軍手にする「リサイクルプロジェクト」や、選手とブースターによる「ごみ拾いワークショップ」、田渡選手デザイン監修のマイボトル販売など、これまでに7回ものアクションを実現。12月7、8日の2日間では、クラブ史上過去最大規模となるSDGsイベント「BONDS SDGs MATCH powerd by CHANGE THE GOODs ACTION」を開催した。
田渡選手が発起人となり誕生した同アクション。この背景には一体何があったのか。同アクションを運営する福島スポーツエンタテインメント株式会社の仲亀敦取締役も交え、活動にかける想いや今後の展望などを聞いてみた。
――まず同アクションを始めたきかっけ、この活動への想いを教えてください。
田渡選手 きっかけは、日本財団さんのHEROsというアスリートの社会貢献活動を推進しているプロジェクトに参加したことがきっかけです。
HEROsのメンバーに選んでいただき、環境問題やプラスチックごみに関する勉強会に「参加しませんか?」とお声がけいただいたのですが、1回目の勉強会で普段なんとなくしている行動がいかに環境に悪いかを知り、これは行動に移さなきゃと思って自分なりに始めました。だけど、自分の行動を変えるだけでは問題解決できないと思ったのが始まりでしたね。
――普段のどういった行動がごみ発生につながっているのでしょうか。
田渡選手 みんなコンビニに行きますよね。買った物のほとんどはプラスチック容器に包まれたもので、食べたら燃えるごみに捨てる。僕もほぼ毎日ペットボトルのお茶やおにぎりを買っていましたが、よくないと気づいてからはやめました。できるだけ家で作ったり、飲み物を買いたい時は、資源の日に出せるように紙パックの商品を探しています。
――勉強会では他にどのようなことを学ばれましたか?
田渡選手 なぜごみの分別を正しく行う必要があるのかや、適切な分別ができていないとごみ処理の手間や費用が多くかかってしまうことなどを、清掃員をやっているマシンガンズの滝沢(秀一)さんからお話いただいたりもしました。
今は僕も色々な取り組みをやらせてもらっていますが、知識があるかといったらまだ全然ないです。でも僕の素人知識でも行動に移せるのであれば、誰でもできるんじゃないかっていう代表例になれたらいいなと思っています。こういう活動していることが「かっこいい」となるのが1番いいんですけどね。
――仲亀さんは、田渡選手から同アクションの提案を受けたとき率直にどう思われましたか?
仲亀取締役 プロスポーツクラブ全般的に言えることですが、地域クラブは地域と共に歩み、地域のために何ができるのかというのが存在意義になります。でも、環境問題やSDGsはどうしても後回しになってしまうんです。福島のごみ問題にもクラブとして取り組まなければいけないと思ってはいましたが、僕らのような小さいクラブは人手が不足していることもあってずっと取り組めていませんでした。ステークホルダーへの影響を考えると、選手主導での発信は影響力が強く、アクションもどんどん大きくなっていくので、始めるきっかけとしてはありがたかったですし、この機会に活動を大きくできればいいなと思いました。
――「CHANGE THE GOODs ACTION」ではこれまでに7回ものアクションを起こしてきています。参加されたブースターや周囲の方々からは、どのような声が届いていますか?
仲亀取締役 点で終わらせずに線で繋げていくことが非常に大事だと思っていて、ずっと意識しています。何かのきっかけで「1回ぐらいやってみよう」とトライすることはよくありますが、単発で終わってしまうと意味がないと思っていて。これまで実施したアクション自体は目新しさや規模感ではまだまだですが、とにかく積み重ねていくことを意識しています。今シーズンからウォーターサーバーを試合会場に設置しているんですが、実際に利用してくれるお客様は増えています。
また地域活動に関するアンケートを取ったとき、1番多かったコメントは田渡選手の活動についてでした。こういった結果を見ると、やはり選手主導で動いて積み重ねていくアクションは、ブースターの方々に届いていくんだなと思いますね。
――12月7、8日のアクションが最新です。開催された感想を教えてください。
仲亀取締役 ホームゲームに絡めた施策は僕らとしては初めてでした。スポンサー企業様、行政、繋がりのある団体や協力会社様など、たくさんの方々にご協力いただくことができました。点で終わらせずに線で繋げていくことを考えると、今後この活動を加速させていく上でのきっかけ作りになったかなと思います。
田渡選手 試合がありずっとイベントを見ていることはできなかったのですが、試合前にブースを回ってブースターの方々と交流しました。イベント感覚でSDGsを体験したり、「CHANGE THE GOODs ACTION」の取り組みに触れることで、嫌でも意識すると思うんです。小さい意識が積み重なれば大きなものになるというきっかけ作りのイベントだったと思うので、子どもも大人もみんな楽しく参加してくれたかなと思います。多くの人を巻き込むようなコンテンツがたくさん含まれていたので、すごくありがたかったですし、クラブと一緒にやれてよかったと思っています。
――同アクションを通じて、田渡選手の身近で変化はありましたか?
田渡選手 ブースターの方々ですかね。マイボトルを持っている方はよく目に止まりますし、それを使ってウォーターサーバーで水を飲んでくれている人。そういう人たちも、以前は体育館で飲み物を買って捨てていたと思うので、1番の変化だと感じています。あとは、クラブが変わったかなと思います。イベントでは水分補給用の水が用意されているのですが、それがペットボトルからマイボトルに変わっていたりして、ごみ問題に対する意識が芽生えたんだと思うとうれしいです。
――最後に「CHANGE THE GOODs ACTION」の展望を教えてください。
田渡選手 この活動をしていく上での目標は、福島ファイヤーボンズを応援してくれる人たちが、地域のリーダーとなって福島県全体のごみ問題を改善していくことです。実現できるように、地道に続けていくことが大事だと思っていますし、福島県は1人あたりの出すごみの量が全国ワースト上位です。このアクションをはじめたきっかけでもあるので、ランク外になることも目標です。「福島ファイヤーボンズがいて少し変わったよね」となったらいいなと本当に思っているので、みんなにもっと興味を持ってもらえるように頑張りたいと思います。
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