【世界の”こんまり”さんインタビュー】片づけメソッドで磨く”意思決定力”が理想の住まいを引き寄せる! 近藤麻理恵さん「日本は片づけ先進国」

【世界のこんまりさんインタビュー】片づけメソッドで磨く意思決定力が理想の住まいを引き寄せる! 近藤麻理恵さん「日本は片づけ先進国」

こんまりこと近藤麻理恵さんといえば、著書『人生がときめく片づけの魔法』(河出書房新社、2010年)が40カ国以上で翻訳された大ベストセラー。Netflix番組がデイタイム・エミー賞を受賞し、米『TIME』誌「世界で最も影響力にある100人」選出され、世界中に片づけブームを巻き起こしている。“こんまりメソッド”が世界に広がっている中、海外と日本の片づけに対する意識差や住まい選びのアドバイスなどを近況も交えてオンラインインタビューしました。

世界で活動して10年、仕事はリモートも出張もありでフレキシブルに

“こんまり”こと、近藤麻理恵さん(c)KonMari Media Inc.

“こんまり”こと、近藤麻理恵さん(c)KonMari Media Inc.

海外でのブレークをきっかけに、2014年からアメリカを中心に世界中で活動しているこんまりさん。9歳を筆頭に3人の子育て真っ最中で、ライフスタイルは文字どおり「フレキシブル」とのこと。
「1人で海外出張に出ることもあれば、家でできる仕事を固めてずっと家で過ごすこともあります。公私ともにパートナーである夫と相談しながら、案件次第でどう動くと仕事と家庭がバランスよく回るか、臨機応変に動いています」

コロナ禍を境に、リモート取材が世界中に浸透したこともラッキーだったという。今回のようなインタビュー取材だけでなく、テレビ出演などでもオンラインで済むケースも増えているのだとか。
「働き方のスタンダードが変わったおかげで世界中のメディアの取材を受けるチャンスが広がったので、ありがたいなと思っています」

こんまりさん「片づけの悩みは世界共通、そして日本は『片づけ先進国』です」

日本を拠点に仕事をしていたころは、こんまりさん自身も「日本は家が狭いから片づけで悩む人が多い」と思っていたという。しかし、そんな先入観は、実際に海外で仕事をするようになって吹き飛んだ。
「アメリカの家は日本より大きいけれど、その分ものも多いし、もの自体のサイズも大きい。家や収納の大きさに関係なく、結局同じようにものの多さや片づけ方がわからないことに困っているのです」

こんまりメソッドの片づけは、世界共通。同じ種類のものを全て出してひとつひとつのものと向き合うことから始まる(c)KonMari Media Inc.

こんまりメソッドの片づけは、世界共通。同じ種類のものを全て出してひとつひとつのものと向き合うことから始まる(c)KonMari Media Inc.

一方で、意識レベルでいうと、「日本は断然“片づけの先進国”」なのだという。
日本では雑誌やメディアで片づけや収納方法の特集を頻繁にやっていて、情報やグッズなどもあふれているからだ。アメリカの雑誌は、例えば家の本でもインテリアの飾り方や空間演出などの情報が多く、「片づけにフォーカスした本は日本ほどは見かけませんね。片づけのことを考えるという意識レベルでは、日本は世界の最先端だと思いますよ」と話す。

日本での家選びでは、収納スペースが重要なチェックポイントになりがち。「アメリカでも大型収納をウリにしている物件も見かけますし、洋服がクローゼットに入るか心配する人もいますが、日本ほど家選びで重視されていないと思います」。日本とアメリカでは、国土の広さも家のサイズも異なり、面積が小さくなるほど収納に意識がいきやすい傾向にあるのだろう。

「とはいえ、どの国でも、やはり都市部になると人も多く、家賃も高く、部屋も狭くなったり、ルームシェアをすることになって困っていますよ」と、こんまりさん。片づけのニーズや概念は、結局、世界共通なのです。

日本よりアメリカは家の大きさが大きいから収納に困っていないかと思いきや、家が大きい分、家具や日用品などのサイズも大きいため、日本と同じようにものの多さや片づけ方がわからないことに困っている。一方、雑誌で特集されるものには違いが(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

日本よりアメリカは家の大きさが大きいから収納に困っていないかと思いきや、家が大きい分、家具や日用品などのサイズも大きいため、日本と同じようにものの多さや片づけ方がわからないことに困っている。一方、雑誌で特集されるものには違いが(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

お引越し大好き、こんまり流“ときめく”住まい探しと決め手

そんなこんまりさんは、大の引越し好き。アメリカでも、6~7回も住まいを変えてきたそう。「アメリカでは賃貸が1年更新ということもあり、ちょうど仕事や生活の変化もあって気付いたら毎年引越していました。身軽だった独身時代と違って子どもも3人に増えたので、さすがに最近は落ち着いてきましたが(笑)」

引越し好きだけに、住まい探しも大好き。「引越す予定がなくても、よく物件情報サイトを見ています。新しい街での暮らしを想像したり、家を見て新たなインスピレーションが湧いたりするのが楽しくて」と笑う。

アメリカでの家探しも日本と同じようにインターネットの物件情報サイトで検索して、ピンとくる物件があれば現地を見に行く。そんなこんまりさんの住まい選びの決め手は、「家に入った瞬間の直観」なのだという。「ピンとくる直感の要素としては、風の流れや光の入り方など家の空気感や景色でしょうか。現地に行ったときのときめきが全てです」

(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

ちなみに収納の充実度に関しては、全く気にしないという。「収納のプロなので、家に合わせた収納を考えるのが楽しくて。収納豊富であればラッキー、少なくても職業柄燃える(笑)。どんな家であっても、素敵な収納にする自信がありますから」

さすが収納のプロ、収納ありきの家選びにはなりません。空気感へのときめきこそが、現地見学時の重要なチェックポイントなのです。

ときめく家を探す感度は日々の片づけで磨かれる

「片づけ と家探しは、切っても切れないもの」と語るこんまりさん。そして自分に必要なときめく家に出合うための秘訣は、「まず、いまの家を大切にすることから。いまの家にきちんと向き合うことで、次に住むべき家に出合いやすくなると思います」

そもそも「こんまりメソッド」の片づけは、自分としっかり向きあうことから始まる。「いまの自分が持っているものと向き合うことは、自分と向き合うこと。いま、何にときめくのかをひとつひとつ確認しながら判断する作業を繰り返すことで、判断力や決断力が高まり、自己理解が進みます」とのこと。

家が片づかないので収納が多い住まいに引越したいと考える人も多いが、こんまりさんは「家探しより、先に片づけがおすすめ 」とアドバイス。引越し前に片づけをして想定より小さい部屋で済めば、その分、家賃も引越し代も安くなるメリットも。実際4LDKを探すつもりが、片づけをしたことによってものは少なくていいことに気付いて2LDKに なった例もあるという。

(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

引越しより先にいまの部屋を片づけることで必要なものの量がはっきりするだけでなく、暮らすうえで大切にしたいものはなにか、心地よさの基準が明確になってくる。「自己理解が進み、感覚が磨かれることで、街や家選びの基準も明確になっていくので、先に片づけでいまの家と向き合うことをおすすめします」

引越しは理想のライフスタイルをつくるチャンス

住まい探しや引越しは、まさに新しいライフスタイルの始まり。どこに住むか、どんな家に住むかで暮らしのルーティンが変わったり、通勤時間や経路が変わったり、お店選びや服装などいろいろなものがガラリと変わる。こんまりさんは、引越し前にまず自分にとっての理想の暮らしを考える時間をとることをおすすめしているという。

「例えば家の中でどう過ごしたいのか、どんなものに囲まれた空間にしたいのか、休日は何に時間を使いたいのかなどを考える時間を取って、理想のライフスタイルのイメージを具体化しておくのです。それによって選ぶ住まいの条件も変わってきますし、片づけをするときにも何を残して何を手放すのか基準も明確になり、理想が実現する確率も、片づけ効率もアップするのです」

(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

(イラスト/ユリコフ・カワヒロ)

その片づけの効率アップのために、いまこんまりさんが力を入れているのが、こんまりメソッドの片づけコンサルタントの育成なのだという。
「『こんまりメソッド』は1人でもできるよう本などで全て公開していますが、プロのコンサルタントさんと一緒にやることで格段にスピードアップするのです。1回、そのプロの方にお手伝いしてもらうだけでも、片づけのスピードが2倍速にも3倍速にもなる効果を体感していただけます」

なるべく多くの人にその効果を実感してもらうべく、片づけコンサルタントの育成にも力を入れている。こんまりメソッドを身につけたコンサルタントは現在世界55カ国で900名以上、実際に自分の家に近いコンサルタントを検索できるサイトも作成したとのこと。「世界中の現場で、コンサルタントさんたちが片づけを実際にお手伝いしています。目の前でどんどん片づいていく、しかもリバウンドしない、という体験を1人でも多くの方にしていただきたいです」。地域ごとに無料相談会を開催することもあるとのことで、片づけのモチベーションアップのために活用するのもよさそうだ。

2024年出版の著書『こんまり流今よりもっと人生がときめく77のヒント』(匠書房)と『部屋も心も整う片づけ学』(KADOKAWA)。片づけの手順だけでなく、決断力を磨くことで人生が変わることを教えてくれる(c)KonMari Media Inc.

2024年出版の著書『こんまり流今よりもっと人生がときめく77のヒント』(匠書房)と『部屋も心も整う片づけ学』(KADOKAWA)。片づけの手順だけでなく、決断力を磨くことで人生が変わることを教えてくれる(c)KonMari Media Inc.

こんまりメソッドで、まさに世界を変えた片づけコンサルタントのこんまりさん。そして今度はこんまりメソッドのコンサルタントさん900人が世界中で活躍中というのも心強い。お話を伺っていると、一刻も早くものを詰め込んだキッチンやらクローゼットやらを片づけたくなるから不思議。片づけもせずに、収納をもっと増やそう、なんて考えは逃げなのかもしれない……。いま一度、しっかり自分のものと自分と向き合う時間をつくろう。著書の見出しにもあるように、まさに「部屋が整うと心も整う」から。

●取材協力
近藤麻理恵(こんまり)さん
5歳から『ESSE』(扶桑社)などの婦人雑誌を愛読。 15歳のときに本格的に片づけの研究をスタート。 大学在学中の19歳で片づけコンサルティング業務を開始し、独自の片づけ法「こんまり®メソッド」を編み出す。 2010年に出版した『人生がときめく片づけの魔法』(河出書房新社)は世界40カ国以上で翻訳され、シリーズ累計1,400万部を超える世界的大ベストセラーに。 2015年に米『TIME』誌の「世界で最も影響力のある100人」に選出。2019年よりNetflixにて公開された『KonMari~人生がときめく片づけの魔法~』はエミー賞2部門にノミネート。同年で最も人気のあったノンフィクション番組1位となる。 2021年に公開された新シリーズ『KonMari~“もっと”人生がときめく片づけの魔法~』はエミー賞を受賞〈デイタイム・エミー賞〉。世界規模での片づけブームを巻き起こしている。現在は夫とともに3人の子どもを育てつつ、「片づけ×ときめく生活」を テーマに発信をしている。
こんまり
こんまり®流片づけコンサルタント
【公式】こんまりちゃんねる
『こんまり流今よりもっと人生がときめく77のヒント』(匠書房)
『部屋も心も整う片づけ学』(KADOKAWA)

  1. HOME
  2. 生活・趣味
  3. 【世界の”こんまり”さんインタビュー】片づけメソッドで磨く”意思決定力”が理想の住まいを引き寄せる! 近藤麻理恵さん「日本は片づけ先進国」

SUUMOジャーナル

~まだ見ぬ暮らしをみつけよう~。 SUUMOジャーナルは、住まい・暮らしに関する記事&ニュースサイトです。家を買う・借りる・リフォームに関する最新トレンドや、生活を快適にするコツ、調査・ランキング情報、住まい実例、これからの暮らしのヒントなどをお届けします。

ウェブサイト: http://suumo.jp/journal/

TwitterID: suumo_journal

  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。