【ライヴレポ】CLAN QUEENが表現した、自らの“分解と再構築”──〈1st ONEMAN TOUR "PARADE OF TOYS"『TOYS ANATOMY』〉
2024年12月20日。渋谷 WWW Xにて、
yowa(Vo)、AOi(Gt)、マイ(Ba)からなる3人組ユニット、CLAN QUEEN。活動の全てがコンセプチュアルであること=“アートロック”を標榜し、音楽だけでなくビジュアルや映像を含めたあらゆる表現方法で注目を集めている新世代ユニットである。2022年に、前身バンドWARS iN CLOSETから改名し、メンバーチェンジを経てCLAN QUEENとして活動をスタート。この日のライヴは、2024年11月9日〜11月17日に行われたCLAN QUEEN 1st ONEMAN TOUR 「PARADE OF TOYS」の追加公演として開催されたもの。ちなみにチケットはこの日の追加公演も含め、全会場ともソールドアウト。その勢いは日に日に力を増し、絶対にいま見ておかなくてはいけない音楽ユニットのひとつだ。
会場となる渋谷 WWW Xには、タイトルの通り、パレードの始まる予感を感じさせるBGMが流れ、スタート前から気分を盛り上げていく。定刻を迎えると、都会の騒音の中を生きるオープニング映像がスクリーンに映し出されるなか、メンバー3人が登場。「私たちはパレードを続ける」というポエトリー・リーディングの後、1曲目“Loud Land”でライヴがスタート。AOiの「歌えー!」という言葉を合図に、観客たちも呼応し、シンガロングを大爆発させる。続いて“サーチライト”、“プルートー”を叩き込み、一気にフロアを揺らした。
CLAN QUEENというユニットは、メンバー各々が作詞・作曲・編曲のみならず、映像監督、編集、グラフィックなど全てを担っている。この「PARADE OF TOYS」というツアーでは、会場ごとに異なるコンセプトで実施。「TOYS ANATOMY」=“おもちゃ解剖学”と銘打たれたこの日のライヴは、それぞれの公演で繰り広げた物語形式での表現、楽曲に合わせた映像表現、ライヴそのままの表現を分解し、再構築したもの。オーディエンスは、五感全てでCLAN QUEENの表現を感じることができるようになっていた。
続いてのブロックでは、軽快なベースが響く“Tokyo Mood”、妖しくムーディーな“ファンデーション”へと繋ぐ。次の“アリスの嘘”、“天使と悪魔”では、yowaのエモーショナルなヴォーカルを全面に押し出し、聴く者の心をギュっと掴む。そこからオルタナティヴなロック・バラード“HARU”、 “Bad end”をパフォーマンス。吐息すらも楽器として使い、強烈なまばゆい光を照射しながら、CLAN QUEENというユニットの深淵へと誘っていく。
続いてMCを挟み「みんなが知らないかもしれない」と前置きして、未音源化楽曲“幽体離脱”をパフォーマンス。AOiはギターを置いてハンドマイクで歌唱し、yowaとのふたりのメロウな掛け合いが、会場全体に浮遊感をもたらす。レアな楽曲披露が、この夜を特別なものにしていた。
CLAN QUEENの音楽の大きな魅力は、脳から快楽物質を分泌させる作用があるような、中毒性の高いサウンドにある。一度聴いたら耳から離れないAOiのリフに、大きな怪物の咆哮のような力強いマイのベース・ライン、そこにyowaの儚くも力強いヴォーカルが重なり、唯一無二の世界を作り上げている。
続いてのブロックでは、ワウの効いたAOiのギターが全体を引っ張る“NEW ERROR!!”、CLAN QUEENの1st Singleとなった“ヘルファイアクラブ”、そしてがなるようなyowaのヴォーカルがダークな世界へと誘う“求世主”をたて続けに。楽曲の多彩さや、スキルの高さを感じさせた。
ライヴの勢いはさらに加速する。重低音で内臓を鷲掴みにするような、マイのソロベースから“APPLE”へと繋ぎ、真っ赤な照明とともに脳を直接刺激すると、ワルツのアレンジを施した“花一匁”を披露。さらにフロアにいる全ての人間を“踊楽園”へと連れていき、渋谷 WWW Xに集まったオーディエンスの魂を解放した。
終盤、AOiから「とっておきの新曲」として、新曲“ゲルニカ”をパフォーマンス。サイレンの如く鳴り響くイントロでフロアを一発でジャックすると、そこからアグレッシヴなギター・サウンドとともに、“正しさや正義とは何か”を問いただす。この日のライヴが初披露だったにも関わらず、フロアの熱狂は凄まじく、これからのCLAN QUEENにとってのキラー・チューンになっていく気配を感じさせた。
CLAN QUEENはさらに、ピアノの旋律がアヴァンギャルドさを際立たせる“自白”で、オーディエンスをヘドバンの渦に巻き込む。そしてこの日のラスト・チューンは、水中から交信しているようなエフェクトがかかったヴォーカルが、不穏な空気を醸し出す“PSIREN”。サビでは一気に溜まった感情を、ぶちまけるように轟音が会場全体に響き渡る。そしてまるで洪水が押し寄せるように、会場全体にノイズが溢れるなか、3人はステージを去り、ライヴはそのまま幕を閉じた。
まさに圧巻であった。自分たちの表現を全て詰め込んだようなステージに、オーディエンスはただただ熱狂し、「とんでもないものを見たな…」という表情を浮かべていたのが忘れられない。すでに2025年6月からスタートする、2ndワンマンツアー〈NEBULA〉の情報も発表されており、ますます勢いに乗るCLAN QUEEN。これからの音楽シーンにおいて、大きな存在になっていくことは、もう間違いないだろうと確信した夜だった。
取材&文:西田健
Photo by:エド ソウタ
ライヴ情報
CLAN QUEEN 1st ONEMAN TOUR “PARADE OF TOYS”『TOYS ANATOMY』
2024年12月20日 WWW X
セットリスト
01. Loud Land
02. サーチライト
03. プルートー
04. Tokyo Mood
05. ファンデーション
06. アリスの嘘
07. 天使と悪魔
08. HARU
09. Bad End
10. 幽体離脱
11. NEW ERROR!!
12. ヘルファイアクラブ
13. 求世主
14. APPLE
15. 花一匁
16. 踊楽園
17. ゲルニカ
18. 自白
19. PSIREN
ツアー情報
CLAN QUEEN 2nd ONE MAN TOUR “NEBULA”2025年6月27日(金)愛知県 THE BOTTOM LINE
2025年7月6日(日)大阪府 BIGCAT
2025年7月12日(土)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
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