【米ビルボード・アルバム・チャート】テイラー・スウィフト『TTPD』首位返り咲き、故ビング・クロスビー64年ぶりTOP10入り

 テイラー・スウィフトの『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』が約4か月ぶりに返り咲き、通算16週目の首位を獲得した、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。

 『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』は、1位に初登場した2024年5月4日付から7月20日付まで12週間連続で1位を独占した後、CDのデラックス盤がリリースされたことで8月10日付で1位に浮上し、8月24日付まで3週連続で首位を獲得。その後TOP10に滞在して、今週16週ぶりに返り咲き、通算16週目の首位を獲得した。本作がアルバム・チャート“Billboard 200”で再び1位を獲得したということは、2023年3月にスタートした【The Eras Tour】の最終日、149公演目(バンクーバー)の12月8日に発表された。

 今週1位に返り咲いたのは、デラックス盤『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント:ジ・アンソロジー』のフィジカルがリリースされたからで、週間ユニットは前週から839%増加の405,000に跳ね上がっている。この記録は、2週目(5月11日付)で記録した439,000以来の最高値で、最後に1位を獲得した8月24日付の85,000ユニットと大差をつけている。

 『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』は、4月19日に16曲を収録した通常盤のストリーミングとデジタル・ダウンロード、17曲を収録したフィジカル・アルバムがリリースされ、その2時間後には本編に15曲を追加した計31曲収録のデラックス盤『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント:ジ・アンソロジー』をサプライズ・リリースしている。ジ・アンソロジーは、これまでデジタル・ダウンロードとストリーミングのみ解禁されていたが、今週の集計期間初日の11月29日にCDとアナログ盤が米国のTarget限定でリリースされたため、売上が急増した。なお、それらのフィジカルには4曲のアコースティック・バージョンによるボーナス・トラック(別バージョンでは以前リリースされている)が収録されている。

 デラックス盤のフィジカルがリリースされたことで、今週の集計期間(2024年11月29日~12月5日)にセールスが前週から4,377%増加の368,000に上昇。セールス・チャートでも先週の17位から1位にジャンプアップした。ストリーミングは6%増加の37,000(4,819万回)に再生回数を伸ばしている。

 週間セールス368,000枚の内訳は、アナログ盤による売上枚数が191,000枚(3,284%増加)、CDによる売上枚数が177,000枚(7,738%増加)で、そのほとんどがTarget限定でリリースされたデラックス盤のフィジカルによる売り上げだった。よって、デジタル・ダウンロードとカセットテープの売上はわずかとなっている。

 『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』が今週16週目の首位を獲得したことで、女性アーティストのアルバムとしては同15週で並んでいたキャロル・キングの『つづれおり』(1971年)を上回り、史上3番目に記録を更新した。それを上回るのが、1992年から1993年に20週を記録したホイットニー・ヒューストン主体のサウンドトラック『ボディガード』で、2011年から2012年に通算24週間を記録したアデルの『21』が最長記録を保持している。

 アルバム・チャート“Billboard 200”で16週間以上首位を獲得したのは、2023年3月から今年の3月まで19週間(非連続)を記録したモーガン・ウォレンの『ワン・シング・アット・ア・タイム』以来で、女性アーティストのアルバムとしては前述にあるアデルの『21』(24週間)以来の記録となる。

 また、自身のアルバムとしても本作で首位最長記録を塗り替え、今週で首位獲得総週を85週目に更新。ソロ・アーティストとしては故エルヴィス・プレスリーのもつ67週をさらに引き離し、史上最長記録を塗り替えた。首位獲得総数は、ザ・ビートルズ(19作)に続く2番目、ソロ・アーティストとしてはジェイ・Zの14作に並び同率のトップに立っている。

 テイラー・スウィフトが首位に返り咲いたことで、先週1位に初登場した ケンドリック・ラマーの新作 『GNX』は2位にダウン。週間ユニットも初週の319,000から165,000に48%減少したが、2週目としては高水準を維持している。同様に、先週2位にデビューした映画『ウィキッド ふたりの魔女』も初週の139,000から108,000に22%減少したが、2週連続で10万ユニットを突破した。

 続いて今週4位には、故ジュース・ワールドの『ザ・パーティー・ネヴァー・エンズ』がデビューして、通算6作目のTOP5入りを果たしている。

『グッドバイ&グッド・リダンス』(2018年/最高4位)
『Wrld on Drugs with フューチャー』(2018年/最高2位)
『デス・レース・フォー・ラヴ』(2019年/最高1位)
『レジェンズ・ネヴァー・ダイ』(2020年/最高1位)
『ファイティング・ディーモンズ』(2021年/最高2位)
『ザ・パーティー・ネヴァー・エンズ』(2024年/最高4位)

 ジュース・ワールドが死去したのは2019年12月で、上記のうち『レジェンズ・ネヴァー・ダイ』、『ファイティング・ディーモンズ』、『ザ・パーティー・ネヴァー・エンズ』の3作は亡くなった後にリリースされ、チャートインした。本作『ザ・パーティー・ネヴァー・エンズ』は、最後の遺作とされている。

 ジュース・ワールドの死から5周年を迎える直前の11月29日にリリースされた『ザ・パーティー・ネヴァー・エンズ』は、初週ストリーミングが84,000(1億2,343万回)、セールスは2,000を記録して、累計86,000ユニットを獲得。ストリーミング・チャートでは、1位に返り咲いたテイラー・スウィフトに続き2位にデビューした。

 アルバムからは、「AGATS2 (Insecure) with ニッキー・ミナージュ」が11月30日付のソング・チャート“Hot 100”で68位、ラップ・ソング・チャートでは11位にそれぞれ初登場している。

 先週3位に再浮上した サブリナ・カーペンターの『ショート・アンド・スウィート』 (68,000ユニット / 1%減少)は、新作の登場により今週5位に、 ビリー・アイリッシュの『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』(59,000ユニット / 18%増加)も5位から6位にそれぞれランクダウンしたが、ユニット数は安定している。

 今週7位には、 マイケル・ブーブレの『クリスマス』が先週の12位から上昇して、今年の1月6日付以来、約11か月ぶりにTOP10入りした。

 本作のリリースは2011年10月で、同年12月10日~2012年1月7日付までの5週間1位を獲得したホリデー・アルバムの金字塔だが、発売以降毎年この時期になるとセールス、ストリーミングが上昇し、13年連続でTOP10入りし続けている。

 今週は、ストリーミングが前週から59%増加の48,000(6,379万回)して、ストリーミング・チャートでは13位から5位に上昇。セールスは23%増加の8,000に売上を伸ばし、累計56,000ユニット(53%増加)を獲得した。

 8位にチャペル・ローンの『ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス』(52,000ユニット / 23%増加)を挟み、9位には故ビング・クロスビーのホリデー・アルバム『アルティメット・クリスマス』が先週の18位から上昇して、64年ぶりのTOP10入りを果たしている。

 『アルティメット・クリスマス』は、ホリデー・シーズンの到来により週間ユニットが59%増加の50,000、ストリーミングは62%増加の46,000(6,137万回)に上昇し、ストリーミング・チャートでも先週の16位から6位にTOP10入りした。

 1977年に死去したビング・クロスビーのアルバムが最後にランクインしたのは、名盤として知られる『メリー・クリスマス』が9位を記録した1960年12月31日付で、前述の通りTOP10入りは64年ぶりとなる。

 1956年3月から集計がスタートしたアルバム・チャート“Billboard 200”で、ホリデー・アルバムとして初めて1位を獲得したのはエルヴィス・プレスリーの『エルヴィス・クリスマス・アルバム』で、 ビング・クロスビーの『アルティメット・クリスマス』は2作目のタイトルとなる。 エルヴィス・プレスリーの『エルヴィス・クリスマス・アルバム』は、初めて1位を獲得した1957年12月16日付から12月30日付まで3週首位を獲得した後、1958年1月6日付でビング・クロスビーの『アルティメット・クリスマス』に1位の座を譲り、翌1月13日付で返り咲いた。

 ビング・クロスビーの『アルティメット・クリスマス』は、通常版が14曲、エクスパンデッド版が28曲、デラックス版には58曲が収録されていて、いずれにも名曲「ホワイト・クリスマス (feat. ケン・ダービー・シンガーズ/ジョン・スコット・トロッター&ヒズ・オーケストラ)」や「クリスマスらしくなって来た」、「メレ・カリキマカ with アンドリュー・シスターズ」、「きよしこの夜 (feat. ジョン・スコット・トロッター&ヒズ・オーケストラ」などのホリデー・ソング・チャート“Holiday 100”にチャートインしたヒット曲が収録されている。

 新作やホリデー・アルバムの上昇により、先週4位にランクインしていたタイラー・ザ・クリエイターの『クロマコピア』(49,000ユニット / 19%減少)は10位にランクダウンした。

Text: 本家 一成

※関連リンク先の米ビルボード・チャートは12月13日以降掲載予定となります。

◎【Billboard 200】トップ10
1位『ザ・トーチャード・ポエッツ・デパートメント』テイラー・スウィフト
2位『GNX』ケンドリック・ラマー
3位『ウィキッド ふたりの魔女』サウンドトラック
4位『ザ・パーティー・ネヴァー・エンズ』ジュース・ワールド
5位『ショート・アンド・スウィート』サブリナ・カーペンター
6位『ヒット・ミー・ハード・アンド・ソフト』ビリー・アイリッシュ
7位『クリスマス』マイケル・ブーブレ
8位『ザ・ライズ・アンド・フォール・オブ・ア・ミッドウェスト・プリンセス』チャペル・ローン
9位『アルティメット・クリスマス』ビング・クロスビー
10位『クロマコピア』タイラー・ザ・クリエイター

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