「泣く子と地頭には勝てぬ」とはどんな意味?「地頭」とはなんのこと?
子供や権力者には何を言っても無駄だから大人しく従うべきということを表現したことわざ、それが「泣く子と地頭には勝てぬ」です。
しかし、そもそも「地頭(じとう)」とは何を意味するのでしょうか?
この記事では「泣く子と地頭には勝てぬ」の意味と合わせて解説します。
「泣く子と地頭には勝てぬ」とは
ここでは「泣く子と地頭には勝てぬ」の意味を解説します。
「泣く子と地頭には勝てぬ」の意味
「泣く子と地頭には勝てぬ」は、長いものには巻かれるべきという例えです。
この言葉自体は、聞き分けもなく泣いている子供と権力をほしいままにしている地頭には勝てないということを表現したことわざとなっています。
現に泣いている子供や権力者の前ではどのような道理を尽くしても通じません。
そこから道理の通じない子供や権力者と争ってもどうにもならないという意味の言葉となったとされています。
転じて、長いものには巻かれろという意味となったそうです。
ただし、現代では道理の通じない相手には黙って従うしかないという諦めのニュアンスも込めて使用されるので注意しましょう。
「泣く子と地頭には勝てぬ」の成り立ち
ここからは「泣く子と地頭には勝てぬ」の成り立ちを解説します。
「地頭」とは何者?
「地頭」は鎌倉幕府・室町幕府が荘園・国衙領(公領)を管理支配するために設置した職を指します。また、江戸時代でも領主の事を地頭と呼んでいました。
要は、地方や地元の有力者の事を指す言葉が地頭です。
「地頭に法なし」という言葉があるように、地頭は自分の納める地域では絶対的な権力を持っており、その地での絶対的な権力は法すら及ばないという状況だったようです。
その「地頭」から生まれたのが「泣く子と地頭には勝てぬ」となります。
今でいうところの権力を振りかざして圧力をかける地主のような存在です。
「泣く子」と「地頭」の共通点
「泣く子」と「地頭」はどちらも手に負えないものの象徴となります。
「泣く子」には何を言っても道理が通じません。
権力を振りかざす「地頭」も同様に道理が通じません。
その両者を引き合いに出したのが「泣く子と地頭には勝てぬ」です。
どちらも道理は通じず、争ったところで損をするだけです。
そういった「敵わない存在」を「泣く子」と「地頭」に例えたのが「泣く子と地頭には勝てぬ」となります。
「泣く子と地頭には勝てぬ」の類義語
ここからは「泣く子と地頭には勝てぬ」の類義語を紹介します。
長いものには巻かれろ
「長いものには巻かれろ」は、勝ち目のない相手には無駄に抵抗するより諦めて従った方が良いという意味のことわざです。
ここでの「長いもの」は強い相手のことを意味します。
例えば、権力者や有力者などが「長いもの」に該当します。
この言葉は「自分より力の強い者にはとりあえず従っておくのが無難で得策である」というしたたかな意味合いでも使用される言葉です。
その点が「泣く子と地頭には勝てぬ」に似ているのではないでしょうか。
勝てば官軍、負ければ賊軍
「勝てば官軍、負ければ賊軍」は争いごとにおいて結局勝った方が正しく負けた方は間違いとされてしまうということの例えです。
「官軍」は政府の正規の軍隊で「賊軍」は反乱軍のことを意味します。
特にこの言葉は明治維新時の薩長軍・幕府軍の戦いから生じた言葉とされます。
当時は何が正解で何が不正解なのかすらわからない時代でした。
そのため、正邪は勝敗によって決まり、勝てば何とでも理屈がつくものの負ければどのような冷遇をされるかわかりませんでした。
要は戦いに勝ったほうが正義となり、負けたほうが不義となったわけです。
その状況を例えたのが「勝てば官軍、負ければ賊軍」という言葉です。
まとめ
「泣く子と地頭には勝てぬ」は聞き分けのない泣く子供や権力を振りかざす地頭には大人しく従っておくべきという意味のことわざです。
地頭は幕府や各藩が家臣に与えた領地の領主を指します。
かつてはこの地頭が権力を握っており、その地域を統治する長として人々から恐れられていました。
転じて「泣く子と地頭には勝てぬ」が生まれたとされています。
実際に泣く子や権力を持つ地頭には何を言っても無駄です。
場合によっては下手に口出しすることで逆に被害を被ることもあるかもしれません。
「だからこそ長い物には巻かれるべきである」という意味で使用されるのが「泣く子と地頭には勝てぬ」となっています。
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