「鴨が葱を背負って来る」とはどんな意味?なぜ鴨なの?その類義語は?
都合が良いことを「鴨が葱を背負って来る」と表現します。
しかし、そもそもこの言葉は何を意味するのでしょうか?
この記事では「鴨が葱を背負って来る」がどのような言葉なのかはもちろん、なぜ「鴨」なのかについても解説します。
「鴨が葱を背負って来る」とは
ここでは「鴨が葱を背負って来る」の意味を解説します。
「鴨が葱を背負って来る」の意味
「鴨が葱を背負って来る」は好都合であることの例えです。
おあつらえむきであることの例えとしても使用される言葉です。
言葉自体は「(食材として鍋料理にされる)鴨が葱まで背負ってやってくる」というような場面を表現したものとなります。
転じて、現代ではうまい状況が重なることの意味で使用されます。
「鴨が葱を背負って来る」の用い方・例文
「鴨が葱を背負って来る」は好都合な場面で使用される言葉です。
・例文1:お見合い相手の容姿が良くて性格まで良いなんて、まるで「鴨が葱を背負って来る」みたいな話ではないだろうか。
このように自分にとって好都合なことが起こる場面で使用します。
容姿が良い人はそれだけで交際・結婚の相手として理想です。
加えて性格まで良いのであればもう何も言うことはないのではないでしょうか。
そういった都合が良いことが重なることを「鴨が葱を背負って来る」と表現します。
ただし「鴨が葱を背負って来る」は良いニュアンスもありますが、悪いニュアンスもあるので注意しておきたいです。
・例文2:高額な保険を購入してくれた上に家族や親戚にまで勧めてくれた。まさに「鴨が葱を背負って来る」とはこのことだ。
この場合は勧誘した側にとっては好都合ではあるものの、必ずしも加入した本人にとって最善の結果だったのかというとそうではないかもしれません。
現に「鴨が葱を背負って来る」は直接その相手に対して使用するのは失礼に当たります。
・例文3:「鴨が葱を背負って来る」ような商談をいただき、誠にありがとうございます。
この用例では「相手=鴨」という表現となってしまいます。
そのため、使用する場合は十分に注意したいところです。
「鴨が葱を背負って来る」の由来
ここからは「鴨が葱を背負って来る」の由来を解説します。
「鴨が葱を背負って来る」の成り立ち
「鴨が葱を背負って来る」は「鴨」と「葱」の関係から成り立つ言葉です。
日本では古くから鴨を鍋料理にする際、葱を薬味として入れていました。
鴨と葱の相性は抜群で、両者が揃うことで美味しく食せたわけです。
この鴨が葱まで背負って来たら、すぐに鍋を始めることができます。
その好都合な状況を表現したのが「鴨が葱を背負って来る」となります。
なぜ「鴨」なの?
では、なぜ好都合なことが重なることを「鴨」に例えたのでしょうか?
そこには鴨が鳥類のなかでも罠に騙されやすく、捕まえやすい鳥だったことに関係しているとされています。
現に鴨は罠を張っておくだけですぐに捕まえられる動物でした。
そのため、日本では江戸時代などから鴨鍋がよく食べられていました。
ただ、鴨は独特な臭みがあったため、葱などの香味野菜が必須だったとされています。
つまり、美味しい鴨鍋には葱が欠かせない食材だったのです。
その鴨が葱まで背負って来てくれれば、後は鍋にするだけです。
転じて、そういった好都合な状況を「鴨が葱を背負って来る」と表現するようになったとされています。
「鴨」は悪事の被害者に例えられることもある
「鴨」は古くから騙されやすい鳥として知られていたのは前述の通りです。
そのため、現代でもしばしば悪事の被害者に例えられることがあります。
例えば、すぐ騙されるような人を「いい鴨」「鴨になる」などと表現します。
これは罠などにハマりやすい鴨に例えたところから来ているわけです。
「鴨が葱を背負って来る」の類義語
ここからは「鴨が葱を背負って来る」の類義語を紹介します。
棚から牡丹餅(開いた口に牡丹餅)
「棚から牡丹餅(開いた口に牡丹餅)」は、苦労や努力をすることなく思いがけない幸運が舞い込むことを例えたことわざです。
棚の下で寝転んでいたら上から牡丹餅が落ちてきて、ちょうど開いていた口に入る様子から生まれた言葉とされています。
まさに都合の良い物事が連続して起こる状況を意味します。
その点が「鴨が葱を背負って来る」と似ているのではないでしょうか。
勿怪の幸い
「勿怪の幸い」は、思いがけず訪れた幸運のことを意味する言葉です。
「勿怪」は「もっけ」と読み、思いがけないことを指します。
意外なことや不思議なことの意味でも使用される言葉です。
転じて、突然の幸運を「勿怪の幸い」と表現するようになったとされています。
その点が「鴨が葱を背負って来る」に通ずるのではないでしょうか。
まとめ
「鴨が葱を背負って来る」は自分にとって都合の良いことが連続して起こることを表現したことわざです。
基本的には自分にとって喜ばしい場面で使用します。
ただし、この言葉は相手に直接使用すると「相手=鴨」という意味となり失礼になるので、使用する際には注意しましょう。
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