【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

2024/12/03 17:00 OTOTOY

とんでもないエネルギーをぶつけられながらも、魂が解放された感覚があった。

2024年11月27日。Zepp Shinjukuで開催された、Chevonの1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』のファイナル公演はそんなことを思わせるライヴだった。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

ボーカル・谷絹茉優、ギター・Ktjm、ベース・オオノタツヤの３人からなる、札幌発の新鋭バンドChevon。2021年6月に結成され、その後メキメキと現代の音楽シーンにおいて頭角を現し、今年2024年7月からは、キャリア初の全国6カ所を巡る1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』を開催。この日のライヴは、その追加公演のファイナルとして、バンド史上最大キャパシティとなるZepp Shinjuku (TOKYO)にて開催されたもの。ちなみに、ツアーのチケットは、もともと予定されていた全国6カ所に加え、追加公演の7カ所のチケットもすべてソールド・アウト。いま、全国から最も注目を集めているバンドといっても過言ではない。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

定刻を迎えると、妖しく光る紫の光に包まれてライヴの幕が開く。堂々たる風格でステージへと姿を現すと、強力なロック・チューン“ですとらくしょん!!”、“No.4”を叩き込み、完全に会場の空気を掌握。バッキバキのベースのスラップと、ジャッキジャキのギターのカッティング、そしてバリッバリに気合いの入ったヴォーカルでフロアを揺らす。

序盤のハイライトは、ツアータイトルにも冠された“冥冥”。Zepp Shinjukuにいる全ての人間が、「冥冥!!!」と叫ぶ様子は、まるで山羊の大群の咆哮のように感じた。まったくとんでもない一体感である。熱狂する観客たちを会場の奥の奥の方まで眼光鋭く見渡しながら、ライヴは“革命的ステップの夜”で、いきなりクライマックスを迎えた。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

Chevonの音楽の大きな特徴は、やはり谷絹茉優のヴォーカルであろう。到達点の高いハイトーンヴォイスから、がなるような低音、激しいシャウト、美しいクリーンまで、様々な歌声を自由自在に操り、聴く者の心を叩く。いったいどんな声帯を、喉に搭載しているのだろうと思うほど。しかしChevonというバンドは歌声のバリエーションの多さだけが、すごいわけではない。谷絹の歌声に、Ktjmが鳴らす一度聴いたら忘れられない中毒性の高いリフ、オオノタツヤの魂を震わす独特のベース・ラインが絡み合って生み出される、極上のグルーヴこそがChevon最大のストロング・ポイントなのである。

続いてのブロックでは、谷絹が「自分を救いたいと思って書いた」という“薄明光線”という曲を披露。激しいダンス・チューンを得意とするChevonだが、歌詞の言葉ひとつひとつを大切に紡ぎあげるミドル・テンポの楽曲もしっとりと聴かせられるのが、魅力のひとつでもある。ライヴはそこから“愛の轍”、“スピンアウト”へと続く。らに“サクラループ”、そしてアコースティック・アレンジの“ハルキゲニア”へと繋ぎ、優しくも温かな歌声で会場全体を包み込む。外は寒さを感じる気温だったが、Zepp Shinjukuには、春の風が吹いていた。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

香取慎吾のアルバム『Circus Funk』の表題曲の制作を通して、ドラマ主題歌や「FNS歌謡祭」での地上波初歌唱も決まっているChevon。自分たちを取り巻く大きな変化のなかで、谷絹はこの日のライヴについて、「ずっと楽しみにしてたのに、これ全部夢だったらどうしよう。バンドメンバーもわたしの“タルパ”(空想上の人物)なのかもしれないって、イマジナリーバンドメンバーなのかもしれない」という不安があったことを打ち明ける。しかしこの日のライブの盛り上がりを見て、「夢じゃなかったって思えてる」と素直な喜びを伝えた。

そしてそのあと、「喋りたいことある？」とKtjmに話を振ると、「みんなが今思ってること言っていい？タルパって…何？」と聞き返され、そのあとはひとしきり「タルパ」という語感の話題で盛り上がっていた。激しくも、エモーショナルなライヴを行ってきたChevonだが、こういったMCのゆるい空気感には、いまバンドがすごく良い状態があるのだなと感じた。

ライヴはそこから終盤戦。「これからも私たちと一緒に“大行侵”してくれますかー?」と叫び、そこから“大行侵”、“Banquet”、“antlion”、“ダンス・デカダンス”という4曲を披露。休むことなく、そして客席を休ませることなく圧巻のパフォーマンスで届け、ステージを後にした。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

特大のアンコールの声に導かれ、再びステージへと姿を現したChevon。サポートドラマーの小林令が「令」と書かれたTシャツで登場すると、大きな笑いが起きていた。サポートといえば、この日は“冥冥”をともに作り上げた宮田”レフティ”リョウがギター及びキーボードを担当。Wリョウによるサポートが、それがライヴの大きな華を作り上げていたことも伝えておきたい。

アンコール1曲目は、最新楽曲“銃電中”。すでにこのツアーでは披露していたこともあり、フロアにはすでに浸透しており、この日配信されたばかりにも関わらず客席からは大きな声が轟いていた。続く“光ってろ正義”で谷絹は客席にマイクを向け、その大合唱の声を拾う。MCのなかで谷絹が「ファンがいないと私たちはいないし、私たちがいないとファンはいない」といっていたが、その関係性を感じる瞬間だった。ラストチューンは、“セメテモノダンス”。シンプルな8ビートに乗せて希望のメッセージを伝え、大団円でライヴの幕を閉じた。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

終演後には、特報としてZeppツアーも発表。その後BGMとして流れていた“冥冥”を、ほとんど全ての観客が誰もいないステージに向かって熱唱していたのが、忘れられない。あれはきっとこれからのChevonへの大きなエールだったのだと思う(もちろんまだ帰りたくない思いもあったのだと思うが)。

谷絹は、この日を以て「挨拶まわりを行ってきたChevonとしての”第一章”はこのツアーをもって終了。これから始まるChevonの存在の確立を目指す”第二章”にも期待してください」と語っていた。「第二章」がいったいどんなものになるのかは誰も想像がつかない。しかし、これまで以上にライヴ会場の規模が大きくなっていくことは間違いないだろう。Chevonの音楽には、聴く者のなかに溜まった負の感情を、解放してしてくれる力がある。その力は現代社会の希望の光となるのだ。

【ライヴレポ】Chevon、圧巻のパフォーマンスで“第二章”の幕開けを宣言!──〈1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』〉ファイナル公演

取材&文：西田健
撮影：タカギユウスケ（LiveYou）
X：@yusuke_mphoto

ライヴ情報

Chevon 1st ONE MAN TOUR LIVE『冥冥』
2024年11月27日 @Zepp Shinjuku

セットリスト
-SE-
M1：ですとらくしょん!!
M2：No.4
M3：冥冥
M4：革命的ステップの夜
M5：薄明光線
M6：愛の轍
M7：スピンアウト
M8：サクラループ
M9：ハルキゲニア（Acoustic ver）
M10：大行侵
M11：Banquet
M12：antlion
M13：ダンス・デカダンス
En1：銃電中
En2：光ってろ正義
En3：セメテモノダンス