【オトトイ、行った】坂の上にヤマハはあった──〈Yamaha Sound Crossing Shibuya〉

【オトトイ、行った】坂の上にヤマハはあった──〈Yamaha Sound Crossing Shibuya〉

既報の通り、今月15日、ヤマハ株式会社のブランド発信拠点・研究開発サテライト施設となる〈Yamaha Sound Crossing Shibuya〉が、渋谷の大規模複合施設〈Shibuya Sakura Stage〉SAKURAサイドにオープンした。

渋谷とヤマハは縁が深い。

かつて道玄坂の途中には〈ヤマハミュージック東京 渋谷店〉があった。1966年に開業、2010年まで44年にわたり営業を続けた。1975年に「渋谷のヤマハ」で行われたシュガー・ベイブの店頭無料ライヴに竹内まりやと佐橋佳幸が観に来ていた⁽¹⁾、1977年「ヤマハ渋谷店 ヤングステージ」でのサザンオールスターズのライヴに萩原健太と高橋健太郎が観に来ていた⁽²⁾⁽³⁾ など、歴史とエピソードには事欠かない。ちなみにそのヤマハがあったビルの地下には後にクラブ〈VISION〉と〈Contact〉ができ、現在は再開発のためビル自体が存在しない。

そして道玄坂から国道246号を挟んだ反対側、桜丘町には〈渋谷エピキュラス〉があった。立地から「崖の上のヤマハ」とも呼ばれていた、1975年に開設されたヤマハのレコーディング・スタジオおよびライヴ会場。レコーディング・スタジオとしては中島みゆきをはじめ多くの作品が制作され、ライヴ会場としても記憶に残る多くのライヴが行われたほか、アマチュア・コンテストである〈EastWest〉や〈ポプコン〉の地区大会会場としても使われていた。〈渋谷エピキュラス〉は2009年に営業終了、その後は〈ヤマハエレクトーンシティ渋谷〉となり2018年まで利用された。

Googleストリートビューで2013年の映像を見てみよう。

正面に見える右の坂を上った先に〈渋谷エピキュラス〉があり、左の道から見上げるとまさに「崖の上のヤマハ」の姿を見ることができた。






右の坂を上っていくと、こうなる。





坂の上にあるのが、かつての〈渋谷エピキュラス〉、2013年当時は〈ヤマハエレクトーンシティ渋谷〉だ。

〈Shibuya Sakura Stage (以下、サクラステージ)〉のSAKURAサイドはちょうど桜丘町の坂のあたり。新しいヤマハも「崖の上」にあるのだろうか?

オープン翌々日の日曜日、〈Yamaha Sound Crossing Shibuya (以下、YSC渋谷)〉に行ってみた。

・・・

2024年11月、ひとつめのGoogleストリートビューと同じあたりに立つ。

左の道のところにはサクラステージの新しい建物が建っている。しかし右側のビルとそれに沿った坂は当時と変わらぬように見える。

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「右の坂」を上ってみると……

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「音叉マーク」らしきものが……

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あった。急カーブの正面、同じ場所だ。スクエアなフォルムは当時のエントランス上部のオマージュだろうか。

この道は当時からヤマハの前で急カーブとなっていた。少し進んでから振り返ってみる。

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カーブの構造もそのまま。実はこの道自体はサクラステージの敷地外であり (渋谷駅桜丘口地区第一種市街地再開発事業の区域内ではある)、整備のうえ、そのまま残っているのだ。ヤマハの前から下を見るとこんな感じになる。「崖」はもうない。

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YSC渋谷の入口はこの坂道に面しているのではなく、サクラステージ内に入ったところ、〈にぎわいSTAGE〉と呼ばれる広場に面したところにある。

こちらはYSC渋谷の2つの施設のうち一般に開放されている「LAB」になる。

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実際に入ってみよう。

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入ってすぐのところは「EXPERIENCE」と呼ばれるコーナー。ギター、電子ドラム、シンセサイザー、ハイブリッドピアノなどの楽器と、オーディオインターフェイス、ミキサー、ライブ・ゲーム配信機器などの音楽制作機器が展示されている。

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奥には「STAGE」がある。楽器や音響機器などが置かれ、ライヴやイベントが開催できる。

「STAGE」の隣には「CAFE」があり、スペシャルティコーヒー専門店Scrop COFFEE ROASTERSが監修した「渋谷×音楽」をテーマとしたオリジナルコーヒーや、静岡県掛川市の佐々木製茶株式会社による深蒸し茶を使用した抹茶ラテやほうじ茶ラテ、静岡のビールメーカーで製造される限定クラフトビールなどが提供される。

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床に
「1966 YAMAHA SHIBUYA SHOP OPENS」
「1974 YAMAHA EPICURUS OPENS」
の文字が。

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施設内には往年のオーディオ機器や楽器、音楽制作機器も展示されている。

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「CAFE」の正面にはレコード・ジャケットが飾られている。

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「EXPERIENCE」に展示されている現行の楽器は基本的に自由に試奏可能とのこと。

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知る人ぞ知る〈ヤマハ ハンディカラオケ INGS〉。(右に置かれているビールは?)

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VOCALOID™関連の展示も。

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片隅にはひっそりと〈ヤマハ ISDNリモートルーター NetVolante RTA50i〉が置かれていた。個人的萌えポイント (音楽メディアらしからぬ感想、笑)。

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「STUDIO」では、演奏をデジタル技術で再現する〈Real Sound Viewing〉⁽⁴⁾ による、ピアノ、コントラバス、ドラムスの自動演奏の実演が行われていた。ピアノの自動演奏はよく知られているが、コントラバスとドラムスの仕組みは興味深いものだった。

またこちらのコーナーでは、12月そして来年と、さまざまな企画が準備されているとのこと。来年の「バンド」の企画が実現すれば、かなり話題になると思う。

【オトトイ、行った】坂の上にヤマハはあった──〈Yamaha Sound Crossing Shibuya〉

帰りに来場者プレゼントとしてオリジナル・ピックをいただきました (配布期間は終了)。

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・・・

というわけで、行ってみました。

結論その1。新しいヤマハも、〈渋谷エピキュラス〉があったあの坂の上、まさに同じ場所にありました。

結論その2。楽しめます。置かれている楽器も自由に試奏できます。カフェ・メニューは迷います (一度じゃ足りないかも)。

かつてを知るひとも、まだ生まれてないよ、ってひとも、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

なお今回は紹介したルートで行きましたが、渋谷駅からサクラステージ内を通って行くこともできます。ルートを選べば坂を上らず、エレベーター・エスカレーター経由で辿り着けます。お好きな道からどうぞ。

施設概要

Yamaha Sound Crossing Shibuya (ヤマハサウンドクロッシング渋谷)

所在地 :
東京都渋谷区桜丘町3-4 渋谷サクラステージ
SAKURAサイド3階/SAKURAタワー8階
「渋谷」駅から徒歩6分

オープン日時 :
2024年11月15日 (金) 12:00

営業日・営業時間 :
月・水~金 : 12:00 〜 20:00
土・日・祝 : 11:00 〜 20:00
定休日 : 火曜日

ウェブサイト :
https://www.yamaha.com/ja/about/experience/yamaha-sound-crossing-shibuya/

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連載 : オトトイ行った
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スピッツ『ひみつスタジオ』を下北沢で堪能する──オトトイ、行った Vol.2

外部リンク

⁽¹⁾「でも例えば75年10月、渋谷のYAMAHAでの店頭無料ライブは黒山の人だかり。…… そのときは学生だったうちの奥さん(竹内まりや)がボーイフレンドと観に来てて、…… あと佐橋(佳幸)くんは中1で、目黒から自転車乗って観に来てたらしい。」─ https://natalie.mu/music/pp/sugarbabe/page/2

⁽²⁾「高橋:…… その2週間後くらいに『ヤマハ渋谷店 ヤングステージ』で観たのが最初。おそらく、サザンにとって初めてのヤングステージだったんじゃないかな。 …… 萩原:俺もヤングステージにはちょくちょく応援に行っていたので、きっと健太郎くんともどこかですれ違っていただろうね(笑)。」─ https://kompass.cinra.net/article/202309-southernallstars

⁽³⁾「…… サザンのことを知ったのは1977年の春頃、当時出入りしていたヤマハ渋谷店のスタジオで、ほどなく1階のヤングステージで演奏する彼らを観てから ……」─ https://natalie.mu/music/pp/sas/page/3

⁽⁴⁾「YAMAHA MUSIC CONNECT > ヤマハ リアルサウンドビューイング|Yamaha Real Sound Viewing」─ https://www.yamaha.com/ja/about/business/music-connect/real-sound-viewing/

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