「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」とはどんな意味?その成り立ちや類義語は?

逆境や苦境に立たされている人を励ます言葉、それが「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」です。

しかし、この言葉の意味を知らない人もいるかもしれません。
そこでここでは「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の意味について詳しく解説します。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」とは

ここでは「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の意味を解説します。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の意味

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」とは、人生は悪いことばかりが続くことはなく良いこともあるということを表現した慣用句です。

これは逆境や苦境に置かれた人を勇気づける言葉です。

なお、ここでの「瀬」には機会や局面などの意味があります。
つまり「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は人生に浮き沈みがあることを説いている慣用句なのです。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の成り立ち

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は川の瀬の様子から成り立っています。

川には水が流れており、その流れには「瀬」があります。
「瀬」は流れの速いところや遅いところを意味する言葉です。

その川の「瀬」を人生の機会・局面と見立てて「浮き沈みがある」と説いているのが「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」という言葉です。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の用い方・例文

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は人生の浮き沈みの表現として使用します。

・例文1:人生は沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり、良いことも悪いこともあるさ。
・例文2:沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり、今は苦しくてもいつか楽になる。
・例文3:仕事もプライベートも沈む瀬あれば浮かぶ瀬ありなのだから一喜一憂しても仕方ない。

このように「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は逆境や苦境に立たされている人を勇気づけるような使い方・用い方で使用されます。

「人生には浮き沈みがあるから落ち込むな」というようなニュアンスで使用されることもあります。

単に相手を励ましたり労ったりする他、人生を説く場面でも使用される言葉です。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の類義語

ここからは「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の類義語を紹介します。

明日は明日の風が吹く

「明日は明日の風が吹く」とは、先のことを案じても始まらないので成り行きに任せて生きるべきだということを表現した慣用句です。

明日のことを考えてうじうじと過ごすよりも今日1日のことを考えて生きるべきだという教訓でもあります。

意味合いとしては「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」と微妙に異なりますが、勇気づける意味では共通しているといえるでしょう。

人間万事塞翁が馬

「人間万事塞翁が馬」とは、不運に思えることが幸運につながったり、その逆だったりすることを表現した慣用句です。

転じて、幸運か不運かは簡単には判断できないことを意味します。

一の裏は六

「一の裏は六」とは、悪いことの後には良いことがあるように善悪は循環することを表現した慣用句です。

ここでの「一」「六」はサイコロの目のことを意味します。

実際にサイコロでは必ず一の目の裏に六の目が来ます。
その相反する数字を善悪に例えたのが「一の裏は六」という言葉です。

故事に由来する「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の類義語

ここからは故事に由来する「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の類義語を紹介します。

禍福は糾える縄の如し

「禍福は糾える縄の如し」は不幸と幸福は糾った(縒り合わせた)縄のように表裏一体であり、一喜一憂しても仕方がないことを表現した慣用句です。

その由来は『史記・南越伝』という古代中国の書物にある「因禍為福、成敗之転、譬若糾纏」という文言にあります。

これは幸福と不幸は撚り合わせた縄のように表裏一体で、不幸が幸福の元になったり幸福が不幸の元となることを表現しています。

その点が「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」に通ずるのではないでしょうか。

人間万事塞翁が馬

「人間万事塞翁が馬」は人間の吉凶・禍福は常に変化するもので予測などできないということを表現した慣用句です。

だからこそ安易に喜んだり悲しむべきではないということも意味します。

その由来は古代中国の書物『淮南子-人間訓』の故事に由来します。
その昔、中国の北方の塞に占いの得意な老人(塞翁)が暮らしていました。

ある日、塞翁が飼っていた馬が逃げてしまったので人々が慰めに行くと、塞翁は「これは幸いになるだろう」と言ったとか。

数ヵ月後、今度は逃げた馬は立派な駿馬(足の速い馬)を連れて帰ってきたので人々がお祝いに行くと、塞翁は「これは災いになるだろう」と言ったとか。

さらに塞翁の息子が駿馬から落馬して足の骨を折ってしまった際にも、塞翁は「これは災いではなく幸いになるだろう」と言ったとされています。

その塞翁が予言した通り、1年後に隣国との戦乱が起こったことで若者の大半が戦死したものの、塞翁の息子は足を骨折しているために兵役を免れて命が助かったとされています。

この故事から不幸も幸福も交互にやってくることを例えて「人間万事塞翁が馬」と表現するようになったのだとか。

まとめ

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」は人生には悪いこともあれば良いこともあるということを表現した言葉です。

「沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり」の「瀬」は川の「瀬」から来ており、人生の浮き沈みを表現しています。

現に人生は良いことと悪いことが交互にやってきます。
そんな時はこの言葉を思い出して「状況は変わる」と受け止めてみてはいかがでしょうか。

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