京都・天橋立「美食」プロジェクト。人気シェフによる極上料理の数々
京都府北部の宮津市は、日本三景「天橋立」がある観光都市。実は同時に、絶品の魚介類が味わえる場所でもある。特に、天橋立エリアは、リアル式海岸の地形に対馬暖流と日本海固有水が交差してプランクトンが豊富な「奇跡の海」と言われる。
今回、この地域全体での「食」、天橋立ガストロノミーをアピールする「宮津・天橋立マリアージュ」プロジェクトを2024年10月末、現地取材した。
ガストロノミーは食文化という意味を持つ。その土地ならではの気候風土から生まれた食材や伝統などに育まれた食を楽しむ旅は「ガストロノミーツーリズム」と呼ばれる。
今回、会場となったメルキュール京都宮津リゾート&スパに、地元関係者やメディアなどが集まり、まず、宮津市の城﨑雅文市長が挨拶した。
宮津湾が海底湧き水、奇跡の海と言われ、その魚介類が市場に出回ることが少ないことを紹介し、「天橋立の知名度や来客数は好調だが、アンケート調査から満足度やリピート率など低いのが課題。一方で、宿泊者に聞くと食事の満足度が高く、地域全体で食のブランディング、地域振興につなげたい」とし、「ここに来なければ食べることができないグルメを楽しんでもらいたい」などと話していた。
そして、宮津湾で獲れた魚介類などを使った料理5品が、順番に提供された。日本料理は「割烹渡辺」(新潟県新潟市)の渡辺大生氏、イタリア料理は「アル・ケッチャーノ」(山形県庄内市)の奥田政行氏が担当した。
例えば、「甘鯛を使った料理3品」は渡辺氏が手掛け、新鮮な甘鯛を1匹丸ごと使って1皿にまとめた一品。造り、焼物、揚物の食べ比べができると同時に、料理とのマリアージュで地ビールの「ASOBI BEER」とハクレイ酒造の特別純米水「香田」も提供された。
また、奥田氏が手掛けるイタリア料理では「小松菜とサザエのグリーンスープ」が登場。いずれも苦みある食材をミックスすると甘みが出るのを生かすと同時に、小松菜のシャキシャキ食感とサザエのコリコリ食感、磯の味と香りも楽しむ味に仕上がっていた。
さらに、渡辺氏曰く「ガストロノミーというと高価な料理をイメージしがち。リーズナブルな料理も」とのことで、「ご当地おにぎり」も登場。地元の鯖缶を使ったおにぎりで、他にユニークな地元食材もおにぎりの具で使いたいと語っていた。
渡辺氏(画像下、右)は「新潟と宮津は同じ日本海、北前船つながりでもある」と話し、「新潟にある自分の店はとても田舎の店で観光地なくひっそりある店に、県外や海外からも来店する。宮津には海、山、景観があり、料理人もいて、ローカルガストロノミーとして成立する」と、宮津が食で大きな可能性を秘めていることなどを指摘。
一方、奥田氏(画像下、左)も「自分のレストランある山形・庄内には歴史があり、かつて東北の中心都市だった。西郷隆盛が無血開城し、国宝や重文が多い。ユネスコの食の都市にも選定されている」とし、「(食材などに恵まれている」宮津がとてもうらやましい」とも語っていた。
宮津市の担当者によると、ガストロノミーツーリズムを進めることで、この地域が持つ食の魅力を最大限に活用し、天橋立などを旅する醍醐味をさらに高めたいとのこと。さらに、日本人旅行客のみならず、和食に関心が高いインバウンド客もターゲットに、地元食材と地酒を組み合わせた「宮津マリアージュ」の開発に取り組むという。観光庁による「地域一体型ガストロノミーツーリズム推進事業」の一環でもある。
魚介類の美味しさは日本随一で、首都圏や関西圏の都市部などのレストランや料亭などで従来高い評価を受ける。今回の料理はどこで提供されるかなどは未定だが、もともと地元でしか味わえない新鮮食材も多く、天橋立の観光ついでにぜひその食を味わってみてはいかがだろうか。
宮津・天橋立ガストロノミー
https://kyoto-miyazu-gastronomy.com/
(Written by A. Shikama)
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