阿寒湖の大自然を舞台に、アートを通してアイヌ文化の深い魅力を体感する「阿寒アイヌアートウィーク」

2024/10/14 12:00 NeoL／ネオエル

2024年11月23日から12月15日まで、阿寒湖温泉・阿寒湖アイヌコタンを舞台としたアートの祭典「阿寒アイヌアートウィーク（英語表記：AKAN AINU ART WEEK）」が開催される。

阿寒アイヌアートウィークは、阿寒湖の大自然を舞台にアイヌ工芸と多様な背景を持つ現代アートが混じり合う約3週間。先祖やカムイへの敬意を表す木彫や刺繍、古式舞踊といったアイヌの伝統と進化を広く紹介するとともに、アイヌコタンの豊かな日常に触発されて滞在制作を行った多彩なアーティストたちの新作を披露。また、会期中は体験ツアー、舞台芸術などのプログラムも、開催エリアの各所にて展開されている。

阿寒アイヌアートウィーク開催概要
会期：2024年11月23日(土) 〜12月15日(日)
会場：北海道釧路市阿寒町阿寒湖温泉阿寒湖アイヌコタン周辺
入場：無料
主催：釧路市　
企画・運営：株式会社ロフトワーク
協力：ガスアズインターフェイス株式会社
Webサイト：https://akan-ainu-artweek.jp/

阿寒湖アイヌコタン出展アーティスト（50音順）

文化交流プログラム参加アーティスト（50音順）

創造のラタㇱケㇷ゚：混じり合うアイヌ文化と芸術

釧路駅から車で約一時間半。
荘厳な木彫りのアーチをくぐった先に、創り手の街、阿寒湖アイヌコタンは広がっている。

「すべてのものに魂が宿る」という信仰を日常として、1959年からアイヌの豊かな衣食住と芸術を受け継いできたこのコタン（集落）。アイヌ文様の木彫があふれる街並を越えると、すぐに阿寒湖の大自然が待っている。湖の中にはヒメマスやワカサギが生息し、底にはマリモが眠る。湖畔に生い茂る草木をエゾシカが食らうーーまるで混じり合うように生きる、美しい命の躍動を感じられるだろう。
美しい命の躍動は、阿寒湖アイヌコタンのものづくりからも伝わってくる。
アイヌの伝統を生かしながら新たな表現を模索する創り手たちの姿に心掴まれて、道外や海外から通うアーティストも多く、刺激的な交流の積み重ねによって互いにさまざまな可能性をひらいてきた。

阿寒アイヌアートウィークは、野草や野菜を混ぜ合わせるアイヌの郷土料理「ラタㇱケㇷ゚」のように、創り手の魂と魂、伝統芸術とアートの交流を楽しむ実験企画。創り手どうしの新たな出会いを耕し、伝統と文化を次の100年へと繋ぐ。
阿寒湖アイヌコタン Webサイト　https://www.akanainu.jp/

AKAN AINU ART WEEK の見どころ

アートをめぐりながら、阿寒湖の大自然とアイヌ固有の歴史・文化を知る
阿寒湖アイヌコタン、阿寒湖温泉を中心に、エリア内の観光スポットや文化施設、屋外施設などで、アート企画展や体験プログラムを開催。アートウィークをめぐることで、阿寒湖の豊かな自然とアイヌ文化の深い魅力を体感できる。

気鋭のアイヌ文化に携わるアーティストによる新作作品を展示
アイヌの文化を現代に解釈しながら表現を続けるアーティストたちによる、美術作品を展示。木彫作品からガラス彫刻、刺繍作品、パフォーミングアートなど、アイヌ美術の伝統と革新を体感できる多彩な作品が、エリアの各所に登場する。

現代アーティストによる阿寒湖アイヌコタンでの滞在から生まれた新作を発表
ガスアズインターフェイス株式会社の西野慎二郎氏が、今回のアートウィークに向けて国内外の現代アーティストらをキュレーション。阿寒湖温泉・阿寒湖アイヌコタン周辺でのフィールドリサーチや滞在制作を通して制作した新作を発表。

より深くアイヌ文化を知るための、豊富な関連プログラムも開催
アートウィーク開催期間中、阿寒湖アイヌシアター「イコㇿ」で、阿寒湖アイヌの伝統を現代的に解釈した演目が開催されるほか、阿寒湖の自然やアイヌのものづくりを体験できるツアープログラムなども開催されている。

阿寒湖アイヌの歴史と物語に触れるステージプログラム

『満月のリㇺセ』

この演目は、アイヌの人々がアイデンティティとして持つ多様性を受け入れる受容性や大切な思想でもあるウレシパモシㇼ(お互いに育て合う大地)をテーマに取り入れ、制作チームと阿寒湖アイヌシアター＜イコㇿ＞の踊り手が話し合いを重ねながら沢山の想いを込めつくられた作品。

『阿寒ユーカラロストカムイ』 阿寒ユーカラ「ロストカムイ」は、デジタルアート、サウンドデザイン、ダンスなど各分野で注目を集めるクリエイターが阿寒湖に集結し、古式舞踊、現代舞踊、3DCG、7.1chサラウンドを組み合わせ、５台のプロジェクターで舞台を立体化し、誕生した演目。

『古式舞踊』

「アイヌ古式舞踊」とは、先祖や神々に対して敬意や感謝を示すために行われた儀式の場で、親戚・友人が集った時、仕事をしている最中など、さまざまな場面で繰りひろげられるものだった。上演では、アイヌとカムイを繋ぐ役割を担う祭具「イナウ」を中心に演舞を展開。「イナウ」とは、それそのものがカムイであり、カムイがこの地に現れる時に捧げる供物であり、カムイの世界に送る土産といわれている。アイヌ民族とカムイ（神）の架け橋として捧げられる「イナウ」と共に繰り広げられる歌と踊りを楽しむことができる。

自然散策とものづくり体験でアイヌ文化を体感するガイドツアー