ウエスギ専務&岸D、『母校への道 小学校編Ⅲ』と「ブギウギ専務」の日々を語る

ウエスギ専務&岸D、『母校への道 小学校編Ⅲ』と「ブギウギ専務」の日々を語る

北海道発STVの人気バラエティ「ブギウギ専務」DVD第20弾、『ウエスギ専務 母校への道 小学校編Ⅲ』が2024年9月18日(水)に発売された。

本編でウエスギ専務が自らの母校・新琴似南小学校をめざして奔走する過酷なミッション「母校への道 小学校編」ファイナルでは、迫りくるタイムリミットを前に憔悴しながらも決して諦めない姿に感情移入が止まらない。番組初のZeppSapporoでのイベントの模様も収録されているほか、撮りおろし特典映像はわくちん係長との「母校への道・幼稚園編」の続編、おおち係長との「クイズ!市町村章」を収録しており、初代・2代目のウエスギ専務の相棒がそろい踏みしている等、みどころたっぷりなDVDとなっている。OTOTOYニュースでは、今回も札幌でDVD発売記念キャンペーン中のウエスギ専務こと上杉周大(THE TON-UP MOTORS)に恒例のインタビューを実施。楽屋に居合わせた元『ブギウギ専務』担当の岸ディレクターにも加わっていただいて、たっぷりと話を訊いた。DVDの話からパーソナリティを務めるラジオの新番組について、THE TON-UP MOTORSのこと、新曲「人間でしょう」のことまで、超ロングインタビューをお届け。今回、すごくエモいです。

――記念すべきDVD第20弾発売おめでとうございます!

ウエスギ専務:ありがとうございます!おかげさまで、気が付けばVol.20までになりました。本当に感謝です。

――今回、ジャケットのインパクトがすごいですね。

ウエスギ専務:僕が両手を広げてダーッとやっている間を躍動しているというか、なんか発射してますよね。

――これはいったいどういうコンセプトのジャケットなんですか。

ウエスギ専務:それに関しては岸さんにお伺いしないとわからないんですけども、じつは今岸さんが近くにいらっしゃるんですよ。

岸D:どうもご無沙汰してます。仕事の時間に余裕があったので、ちょっと覗きにきました。

――では、せっかくですから岸さんにも加わっていただきましょう。ジャケットのことを聞いていいですか?

岸D:「奥の細道」のときと違って背景があまり変わらないので、専務とか学校の写真で毎回印象付けたいなっていうのと、わくちん係長も出てるよっていう意味合いでコラ画像というか、別の写真から引っ張ってきてこうなりました。ジャケットを作ってくれてる美術担当の女性の方もなんか面白がってくれちゃって(笑)。要はわくちんいじりです。

――ご本人はどう思ってるんでしょう?

岸D:どう思ってるんですかね?

ウエスギ専務:きっと喜ぶんじゃないですか?根本として、この格好でいる以上は煮るなり焼くなりっていうスタンスだと思うので。

――なるほど、フリー素材的な存在なわけですね(笑)。今回のDVDをご覧になった感想をお聞かせください。

ウエスギ専務:今回はいきなり滝川というところに飛ばされて、今回もちょこちょこ大移動を繰り返して。改めてときを経ても「全然ゴールできないな」っていう印象を持ちました。それと、今回季節が冬の時期っていうのもあって、高速道路の移動で吹雪のシーンがあったりとか、あとは卒業式の時期なので、画面を通してちょっとノスタルジックな気持ちになりましたね。卒業式の雰囲気って、卒業した後はお子さんでもいない限り大人になって味わうことってないと思うんですよね。卒業式が終わったって言って後片付けしている用務員さんとか袴姿の先生も確か出てたんじゃなかったかな。そういうのを見ると、自分は送られる側の経験しかなかったんですけども、送り出す側の先生方はいろんな思いを持って卒業式に行ってたんだなって、ちょっとノスタルジックな気持ちになりつつも、「そんなことよりゴールしたいな」っていうふうに思ってました(笑)。

――これまで、専務が子どもと接している姿をあまりイメージしたことがない気がしたんですけど、専務はお子さんにも人気があったんですか?

ウエスギ専務:「母校への道」っていう企画の特性が、ひょっとしたらお子さんが行っている小学校や、自分が通った小学校が出てくるかもしれないっていう見方もひょっとしたらあって、他の企画に比べてお子さんとも共有しやすい、ファミリーで見やすい企画だったっていうのは、今思えばあるかもしれないですね。

岸D:専務のキャラクター的にも、子どもから好かれるだろうなみたいなことは元々思ってました。割とワーッて派手だし、一生懸命賑やかにやってるキャラクターというのが定着していて、結構「専務、専務」って子どもたちから声をかけられてましたね。いろんなタレントさん、芸人さんがいると思うんですけど、その辺の垣根がないというか。普通、そういう人たちが来ると構えて話しづらかったりはあると思うんですけども、専務には人が寄ってくるみたいな。そういうキャラクターであり人柄なのかなと思いました。まあ、舐められてるのかもしれないですけども。

ウエスギ専務:言い方が気になるな(笑)。

岸D:でも本当に、一応計算じゃないですけど、そういう親しみやすいキャラクターではあるので、「そっちの方が広がってほしいな」みたいなことは頭にありました。

――STVで上杉さんと子どもの番組みたいなものを考えたことないですか?

岸D:ああ、面白いかもしれませんね。これは前にもお話したかもしれないですけど、「奥の細道」を始めたときも、歩いてるところに子どもたちが集まってついてくるみたいな絵がが浮かんだことの方が先だった気がします。

ウエスギ専務:もともと嫌いだったわけではないですけど、じつは、今岸さんがおっしゃった「奥の細道」とかの企画を通して、子どもに慣れていって子ども好きになったっていうのもあるんですよ。ギンギラの衣装っていうこともあるし、子どもってやっぱりカメラに反応することが多い中で、割と無茶したりするんで、「静かにしてー!」とか、最初はどうしたらよいのかなかなか難しいなって思っていたんですけど、いろんな企画を通して、どんどん子ども好きになっていきました。

――一方で、札幌市北区の辺りでご婦人に「寝ないで番組見てます」みたいな感じで話かけられたり、地元のヒーロー感がありましたね。

ウエスギ専務:新琴似とか北区になると急に熱気を増すんですよね。やっぱり新琴似南小学校がゴールという設定である以上、当時地元の方は特に見てたんじゃないですかね。今回収録の中で出てくるんですけど、同級生に会ったりもしましたしね。卒業してから全然会ってなかったんですけど、僕のことをマリオに出てくるクリボーっておっしゃってました。「そんなふうに思われたか」って(笑)。ぼっちゃんカットだったっていうところがあったんでしょうけど。

――今さらお訊きしますけど、専務の地元ってどんな街なんですか?

ウエスギ専務:平たく言うと住宅街でそれなりに人口もあるところだとは思うんですけども、札幌市の中でっていうと、時代にもよると思うんですが、割とやんちゃな人たちが多い印象でしたね。普通の日常があって、地元の怖い先輩がいるみたいな(笑)。何か困ればビバホームがあるし、買い物に行くぞっていうと今はもうなくなっちゃったんですけど、当時は生協があったので行ったりとか、大きなゲームセンターが近くにあってみたいな、かなりいろいろ揃ってる街ですね。

――専務の人格を形成したものがそこにあるという。そんな地元にいながら、自宅に帰らせてもらえずにホテルに泊まるという場面がありましたけども。

ウエスギ専務:その後の「奥の細道」とかだと当たり前のようになっていたんですけど、
こういう、ルール上とはいえ札幌市に泊まるのに家に帰れないんだっていうのは、このときが最初だったと思うんですよね。そのときは、これはちょっと過酷で、バラエティーの感じが始まったなって思いました。

――その頃から岸さんが鬼のような存在になっていったんですかね?

ウエスギ専務:そうですね。それか、最初は猫をかぶってたのか(笑)。でも本当に最初の頃って、長くなるかもわからないから僕も多めに用意しときゃいいものを、さすがに帰れるだろうって思ってたから、着替えのパンツが足りないって言ってコンビニで買ったりしてたんですよ。ときには2日目はパンツを裏返しに履いて風通しのいいところに干して、ちょっとハンドソープで湿らせて匂いをつけてって、そんな感じでやってました(笑)。

岸D:ははははは(笑)。

――今だったら、当時とホテルを取り巻く事情も変わってますし、「ホテルに泊まれないから自宅に帰ろう」みたいなこともあるかもしれないですか?

ウエスギ専務:どうなんでしょうね?

岸D:そこは帰さないでしょう(キッパリ)。ただ、あれから15年ぐらい経っているので、ホテル代の高騰というか、「今だったらこれ、どうしてるかな?」って本当に社会が変わっちゃったなって実感するところは多いですね。

――15年も前ですもんね。今回のDVD制作にあたって感じるものも多かったですか。

岸D:若いっていうのもあるんですけど、ものすごく必死なんですよね。「中学校編」「高校編」がぬるいとかではないんですけど、「小学校編」って、それこそ日程を3日間でって決めてやっていたので、時間までにゴールしなきゃっていうところの追い込まれ感とか、専務はの「絶対今日のうちにゴールするんだ」っていうモチベーションとか、ものすごく必死というか温度感が高いなっていうことは、見てる人も気づくと思います。特典映像でやってる「幼稚園編」っていうのは、特に期限を設けてないんですよ。だから、今回ゴールできなかったら次に続くっていうこと自体はつらいことではあるんですけど、「今日中にゴールしなきゃ」っていうのは、正直はそこまでないんです。当時の「小学校編」ではもろにそれなので、必死なんですよ。

ウエスギ専務:その分、喜怒哀楽がマジなんですよね。

岸D:これは、10何年か前に見てた人は「専務、頑張れ!」ってテレビの前で思うだろうなって。まさにそんな企画だなって思いました。今回の特典映像を撮っているときに、10何年のときを経て僕とわくちん係長で行きましたけど、出来上がったDVDを専務に見てもらってたんですよ。そうしたらやっぱり同じような感想で、「めっちゃ熱い、めっちゃ必死だ」みたいな。それで、その感情を緩くやってる特典映像の方に持ち込んできたんですよね(笑)。すごく必死な感じなんですよ。

ウエスギ専務:ははははは(笑)。バレてました?

岸D:ちょっと時間の都合で、多分次回以降の特典映像に収録されるんですけど、「幼稚園編」で結構夜遅くまでやってたんですよ。

ウエスギ専務:熱くなっちゃってね?

岸D:10何年前の専務とわくちん係長の魂が蘇ったんです。

ウエスギ専務:こっ恥ずかしいですけど、「なんか大事なことを忘れてたな」って思っちゃったんですよ。

岸D:ちょっと考えさせられるというか、それだけ当時の温度感がすごく高いんですね。それは客観的に、ときを経て見たらすごく感じましたね。

――確かに、本編の最後に企画への熱い思いを専務が語ってますもんね。

ウエスギ専務:そうですね。俯瞰で見ると、テレビのバラエティー番組じゃないですか?やっぱり笑いがあったり面白いっていうことが大事だったりとかするんですけど、多分これをやってるときって、「面白い」とか「ウケる」とかどうでもよくて、「この期限内にゴールするんだ!」っていう、なんかちょっとアスリートじゃないけど(笑)、「絶対勝つ!」みたいな思いが強かったんでしょうね。

――それは、その頃の上昇志向みたいな気持ちもあったからなんですか?「この番組で頑張ってもっと知名度を上げるんだ」っていう。

ウエスギ専務:いや、多分そこまで見えてなかったと思います。ただ、本当にゴールするんだっていうことのみで。小学校を聞いて回ってて応援してもらってる声もあるみたいなのは自覚はしてる中で、「絶対にゴールするんだ、ゴールしたらみんな喜ぶはずだ」と思ってるんだと思うんですね。でもじつは視聴者のみなさんは「飛ばされりゃいいなあ」って思ってるっていう(笑)。それもわかってないぐらいでした。

ウエスギ専務&岸D、『母校への道 小学校編Ⅲ』と「ブギウギ専務」の日々を語る

――めちゃくちゃピュアな専務の姿が見られるわけですね。その本編の物語の続きでZeppSapporoで開催した番組イベントの模様も収録されています。あんな大きな舞台にあれだけの人を集めて、なんて品のないクイズを出してるんだと。あれは全国のZepp史上最悪のシーンだと思いますよ。

ウエスギ専務・岸D:わはははは(笑)。

ウエスギ専務:お褒めの言葉、ありがとうございます(笑)。でも本当にそうですね。最高であり最低ですね。でも今まででもZeppSapporoでSTVのバラエティーのイベントってやってないですよね?

岸D:うん、やってない。

ウエスギ専務:ですよね?だからそれ自体すごいことですよね。僕は実際どれぐらいお客さんが入っているかっていうのは、本当にあの瞬間まで知らなかったので。僕はバンドをやっていたからZeppSapporoを全部を埋めることがどれだけ大変かっていうことをわかってるわけですよ。そうしたらあんなに人が入ってくれて、あれは嬉しかったですね。

――岸さんからすると、あれぐらいのことにはなるだろうみたいな予想はあったんですか?

岸D:いや、あれはもう予想以上ですね。制作的にも博打で、もうどっちに転ぶかわかんないなっていうのはありました。結果、予想以上の大盛況でしたけど、平日でしたし全然お客さんが来ないっていうことも本当にあるとは思ってました。それに特に告知もしてなかったんですよ。なので本当にどれだけ集まるんだろうっていうのは、僕らも専務と同じぐらいドキドキしていましたね。

――このイベントをきっかけにさらに番組が注目集めたり、変化はありましたか?

岸D:それはあったと思います。人が見てるってなるとより見てくれるみたいなことがあって、「ZeppSapporoが埋まる番組なんだ」っていう認識が生まれたのかなっていうか、やっと「この番組って人気あるよね」みたいな、評判が評判を呼ぶようなきっかけになったイベントだったんじゃないかなと思います。

――専務も「俺って人気者だったんだ」って自覚したというか。

ウエスギ専務:完全に自覚しましたね。「あ、スターだな」と。

岸D:ははははは(笑)。

ウエスギ専務:(笑)。でも当然、僕が人気者だとかどうこうっていうんじゃなく、「母校への道」を本当に熱量高く頑張っているのを、「専務頑張れ!」っていう目線で見てくれている方が、あのイベントに来てくれたんだと思いました。番組のイベントで無料とかってなったとしても、家を出てわざわざZeppまで行って並んでっていうのは、結構ハードルが高いと思うんですよ。それがあれだけの人が来てくれたっていうのは、『ブギウギ専務』の専務として番組にちょっと自信がついた瞬間でしたね。

――今回、特典映像②として、「クイズ!市町村章」が収録されています。2019年の企画ですが、なぜこのDVDに入ってるのでしょうか。

岸D:第18弾、19弾と、おおち係長が出てないんですよ。なので、「おおち係長のことも忘れないでね」という意味もあります(笑)。それと、「クイズ!市町村章」はいずれ単独で出したいなとは思ってたんですよね。割と今でも見たいっていう声が視聴者センターに届いたり、この企画に対するファンもいてくれるので、今回収録しました。

――専務にとってはどんな企画なんですか。

ウエスギ専務:もうとにかく、ぶっとび企画ですよね。超難問だし、「絶対ゴールするんだ!」と思いながらやっていた「母校への道」「奥の細道」とかと違って、勝ち筋の見えない企画と言うか(笑)。でも毎回クイズに翻弄されるっていう、しかも長時間の移動にも関わらず移動中に全然カメラって回さないっていう、スーパー・ストロングスタイルなんですよね(笑)。だから、ぱっと画面が変わるともう疲れてるっていう。おおち係長がよく移動中の回ってないときとかに、「この移動中の過酷な感じとか俺らぼやいたりしてんのにこれ回さないってやっぱこの企画すげえな。普通撮るだろう!?」って言ってました。

――もうバッサリと、必要ないところは回さないっていう。

岸D:逆に必要ないですね。この企画については、本当に必要ないと思ったから(笑)。「母校への道」「奥の細道」とかはそういう場面が必要だと思うんですけど、「クイズ!市町村章」に関しては、無い方が良いと思ったので。

ウエスギ専務:だから本当に我々のブギトラ(移動用の軽トラ)にGo Proもついてないんですね。4時間たって1秒だけ使われたりしてました(笑)。

――ところで、お2人はこういうDVD発売時のイベントやプロモーションのとき以外も会ったりするんですか?

ウエスギ専務:いや、STV局内にいてもなかなか会わないんです。『ブギウギ専務』は、ロケは隔週でやっていたんですが、実際、苦楽をともにした感覚があるので、この前もずっと撮影してくれていた高橋カメラマンに偶然別の現場でお会いしてそのときは音声の辻村さんもいて、「お久しぶりです!」ってハグするぐらいのテンションになってました。

――『ブギウギ専務』が終了して半年ほど経ちますが、寂しさがありますか。

ウエスギ専務:もちろん寂しさもありますし、今自分は『どさんこWEEKEND』という、毛色の違う情報番組に出させていただいてるんですが、ロケで外に出たときもやっぱり専務って言われますし、やっぱり長年やってきた『ブギウギ専務』っていうのが、僕のふるさとっていうとちょっとキザっぽいですが、でもなんか「出生の場」というか、やっぱり『ブギウギ専務』なんですよ、今も。だから岸さんとか、さっき言った高橋さん、辻村さんとかみんなそうですけど、会えていなくても繋がってるっていう感覚は勝手に持ってます。

――「僕も岸さんの作品の1つです」みたいな気持ちがあるわけですか。

ウエスギ専務:完全にタモさんですよね、それ(笑)。そこまでの気持ちはないですね。でも本当に「ウエスギ専務」っていうところから脱却できないぐらい浸透していて、いまだに「周大」って名前を覚えてもらってなかったりしますから。

岸D:もう呪縛ですよね。一生「ウエスギ専務」ですよ。これは解けることのない呪いなんだろうなって(笑)。

ウエスギ専務:呪いをかけられたんだ(笑)。

――上杉さんのトピックとして、新番組「サタデーナイトステーション ラジオ上杉」がSTVラジオで10/5(土)からスタートするということですが、どんな番組ですか?

ウエスギ専務:以前、STVラジオで1人で喋る番組を2回やらせていただいて、その後に『ブギ専ラジオ』っていう『ブギウギ専務』のスピンオフ的な番組で、移動中とかに岸さん大地さんと僕で喋るっていうラジオをやっていたんですが、今回はシンプルに「ラジオ上杉」という、本当に一個人としてラジオにちゃんと向き合うという新番組になります。内容はまだ固まってないんですけど、2時間1人喋りというのを言われてるんですよね。果たしてどんなことになるのか。一応なんかコーナーをやろうっていうので募集してるものもあるんですけど、ちょっとやってみないことには何とも言えないところがありますね。僕ってテレビとかに出てて「ギャー!」とか「なんでですかー!」とかやってるせいか、普段街で声をかけられると、「テンション低いですね」って言われるんですよ。今回はこういうフラットなテンション、トーンで喋る番組がやれたらいいよねなんてことは言われてます。

――これはすごく楽しみですね。radikoでも聴けますよね?(エリア外の場合はradikoプレミアム加入が必要)

ウエスギ専務:聴けますね。すごく楽しみです。でも真面目な話、『ブギウギ専務』が始まったのが自分が25歳ぐらいの頃だったんです。ときを経て42歳になったときに、当然25歳のときには感じなかったこととか、思いもつかなかったようなこととか、自分なりに物事を当時よりは深く考えたり、思うようなこともあったりしているんです。危うい番組をやるつもりはないですが、やっぱりコンプライアンスとか、あれ言っちゃいけないこれは駄目とか、違う意見を持ちにくいみたいな世の中だと思うんですよね。そういった中でもやっぱりこのラジオの中だけは少しだけでも、そんなに気にせずにみなさんが言いたいことも言えるような番組になればいいなって思っています。

――6月30日(日) 小樽ゴールドストーンで〈ワンマンライブ 2024~みんな駆けつけてくれました~〉が開催されました。振り返ってみていかがですか。

ウエスギ専務:今回も〈ホッカイドウ競馬PRESENTS〉ということだったんですが、圧倒的に違ったところはTHE TON-UP MOTORSメンバーが来たことだと思うんですね。THE TON-UP MOTORSのメンバーで集まってステージで音を出したっていうのは、当然活動休止の日以来初めてのことだったので、楽屋にいるメンバーすらもちょっと懐かしくて、それもちょっと自分は「おっ」って思うような時間でしたね。メンバーもすごく楽しんでくれたし。なんか別に、そんなにわだかまりがあったとかっていうわけでもないんですが、やっぱりステージで集まって音を出すのってすごく簡単じゃないですか?物理的に言うとギターとベース、ドラムを持ち寄ってやるととかできるんですけど、今もしっかりと「活動再開」っていうふうに謳えてないのは、やっぱり4人それぞれの人生があって、その4人それぞれの人生を互いに尊重し合っている結果、再始動っていうものが走り出せてないっていうところはやっぱりどこかにあるんですよ。ステージで一緒に音を出すのってこんなに簡単なのになとか思いながら。なんかネガティブに聞こえるかな?でも実際はやっぱり楽しくて、お客さんの笑顔を今も覚えてますし。本当にたくさんの方に関わっていただいてやっていたバンドだなって思いましたし、気が付けば『ブギウギ専務』と同じぐらい、TON-UP MOTORSもすごく歴史を重ねてきたバンドだなと思って、めちゃくちゃ感慨深い夜でしたね。

――岸さんも会場でご覧になったんですか?

岸D:観に行きました。ひと言で言えば、感動しました。すごく良かったです。もちろん今のソロの上杉さんも良いですけど、僕もTON-UP MOTORSが活動してるときに179市町村ツアーに同行させてもらったりとかPVを撮らせてもらったりとか思い出もあるので、活動休止後、初めて集まるって聞いたときはそれはやっぱり高ぶりましたよね。ライヴを観て非常に感動しました。

――ファンの方にとっても本当に大切なことだから、たぶん先ほど上杉さんがおっしゃったことをみんなわかってると思いますし、すぐに活動再開してほしいとかって煽ったりはしないと思うんです。ただ、この先も何かあったら集まって欲しいなっていうことは、配信でライヴを観ながら思いました。

岸D:僕もそれは思いました。継続的にはできないかもしれないけど、「また観たいな」とは思いましたね。

ウエスギ専務:そういう意味では、まさに継続的にかどうかは抜きにしても、あの日のライヴがあったことで、「また集まってやってみようか」って、ちょっとハードルを下げられたかなと思いました。

――4人がそういう雰囲気になったことがこっちも嬉しいです。では、上杉さんの新曲「人間でしょう」について訊かせてください。〈どんな人生も 評価されるために 生まれた訳じゃない 幸せを喜び 迎えたいだけ〉という歌詞がすごく心に残りました。バズるとか何百万再生だとか、話題になることを狙って作られているものが何事も多い気がして、そんなときにこういう言葉を聴くとそうだよなって思います。

ウエスギ専務:ありがとうございます。今おっしゃったところもそうなんですが、今って何かバズるとか、いいねの数とか、フォロワーの数とか、何か数字として明確にこの人は人気があるんだ、あるいはこの曲はいい曲なんだとか。じゃあ自分が何かを、例えば踊ってる動画でも何でもいいんですが、そこに数字がついてこなかったときに「これ駄目なんだ」じゃないじゃないですか?でもなんか世間的に評価は低いんだなっていうバロメーターみたいなものが如実にわかりやす過ぎて、それは会社とかもそうだと思うんですけど、コンプラとかハラスメントとかっていう時代で上司の方こそ、部下にどう思われてるかとかを気にしたりとかするような時代だと思うんですよね。そんな中で、当たり前ながら、僕は今までずっと「頑張れ頑張れ」っていうタイプの歌ばかり歌ってきたんですが、頑張ってるのってもう当たり前で。僕が歌ったりみなさんの前に立つときは、週末とかみなさんの仕事終わりとかに時間を作ってきてくれてるんですよね。だから、こういう瞬間だけは逆に頑張らなくていいだろうっていう歌が書けたらなって思ったのがきっかけでしたね。『どさんこWEEKEND』のオープニングにもこれはすごくピッタリだって言ってくださって使用していただいてるんですが、じつは週末に聴くというよりは、火曜日とか水曜日とか、そういう瞬間に聴いてもらえたら嬉しいなって思ってます。

――最近、改めて上杉さんのソロアルバムとか曲を聴き返して良いなと思っていて。「人間でしょう」もそうですけど、例えば「ぼくらの場所」(『Hit The Road』収録)とか、すごく沁みるなと思って聴いています。やっぱり上杉さんが音楽に込めている思いとか情熱って、どんな形であれ自分の歌で人々を励ましていこうっていうところにあるんだろうし、それを歌うことで上杉さん自身も励まされているんだろうなって思いました。

ウエスギ専務:そうですね。ライヴのときに結構よく言うことかもしれないんですけど、お客さんも僕のライヴ見て笑顔になってくれたり感動してくださったりとかっていうのもありながら、ステージから見てるとお客さんのたくさんの笑顔があって、元気が出たり感動してるのって僕の方だったりもしていて。小樽のライヴのときも、TON-UP MOTORSのライヴでみんなから元気をもらえて嬉しかったなって思いました。

――岸さんは、今の上杉さんの歌をどう感じてますか。

岸D:今の話を聞いてもそうなんですけど、大人になってるなって思います。年相応なんだなっていうか。彼なりのこれまでの人生でいろいろ思うところとか、バンドの頃はイケイケでっていうところもあったと思うんですけど、いろんな経験を経たことが音楽にも出てるのかなっていうのは思いますね。

――では最後に、それぞれDVD第20弾『ウエスギ専務 母校への道 小学校編Ⅲ』について一言ずつお願いします。

岸D:上下巻ありますけれども、もう本当に若くてギラギラして荒削りな上杉周大と、今の上杉周大を同時に観ることができるっていう、彼の人生が詰まったDVDだと思いますので(笑)。そういう目で是非手に取っていただけたら嬉しいなと思います。

ウエスギ専務:たぶん、当時もつらいはつらかったとは思うんですけど、「そんなことよりもゴールするんだ!」ていう、1つの目的に本当にガムシャラに向かっているっていう自分の姿を見て、「俺、昔こうだったんだな」って思いました。岸さんが言うように、僕の人生が詰まっているんでしょうか。僕の忘れ物がこのDVDの中に詰まってますね(笑)。「なんてバカなんだ」って、昔の自分を観て励まされたっていうか、「あの頃こうだったんだな」って感化されて熱くなってる42歳の僕が、たぶん第21弾のDVDの特典映像に出てきますので、次回も楽しみにしていてください。

取材・文:岡本貴之

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