「自分」ではなく「仕組み」を変えよう! ADHD当事者が効果的なタスク管理術を公開

「自分」ではなく「仕組み」を変えよう! ADHD当事者が効果的なタスク管理術を公開

 発達障害のひとつであるADHD(注意欠陥・多動症)。これまで小児期特有の疾患と見られていましたが、現在は大人においても4~5%はその症状があると推定されているそうです。ふだんの仕事や生活の中で、「不注意が減らない」「マルチタスクが苦手」「先延ばしグセが直らない」といった特性に悩まされ、自信を失い、メンタル的に辛くなってしまう人は少なくないのではないでしょうか。

 今回紹介する書籍『「発達障害」「うつ」を乗り越え@小鳥遊がたどりついた 「生きづらい」がラクになる メンタルを守る仕事術&暮らし方』は、ADHDの当事者で「うつ」を乗り越えた経験を持つ小鳥遊(たかなし)さんが、これまでに編み出した仕事術と心穏やかに暮らすためのヒントについて解説する一冊です。

 小鳥遊さんが同書で提案するのは、「自分を変えるのではなく、仕組みを変える」というもの。たとえば、小鳥遊さんは妻から買い物を頼まれた際、買うものを必ずスマホのメモアプリでリストにするといいます。「変えられないこと(=買いものリストを覚えられないこと)を変えようとせず、変えられること(=買いものリストを覚える代わりにメモアプリに記録して都度参照する)には努力を惜しまない」と考えるとわかりやすいかもしれません。

 このように、指示されたことや頭に思い浮かんだ「やらなきゃいけないこと」について整理し実行しやすくする「タスク管理」は、仕事においても非常に重要です。「仕事の抜けもれが多い」場合には「ノートやメモアプリなどいろいろなツールに書きとめずに、できるだけすばやく一か所に記録し、机上など常に目にとまる場所に置いておく」、「自分の仕事と相手の仕事の区別がつかない」場合には、「作業の手順を書き出し、『自分のボール持ち』を明確にする」など、同書では仕事上の事例とともに効果的な対策が多数紹介されています。タスク管理は仕事を効率的にこなすだけでなく、不安を取り除いて心をスッキリした状態にすることにも効果的だそう。失われがちな自己肯定感を上げるのにもぴったりの方法だと言えますね。

 同書の後半では、「出かけるときに忘れものをしてしまう」「予定を立てても遅刻してしまう」といった「暮らしの困りごと」についてもその対策を伝授。また、ミスをして不安や憂鬱といったネガティブな気持ちになったときの心の保ち方についても記されています。

 生まれながらの特性を変えるのは難しいですが、タスク管理を身につけて適切な対処をすれば、たとえば「衝動性」という特徴を「行動力がある」というメリットに変えることができると同書は教えてくれます。自分らしさを活かしながら心穏やかに働きたいと願う人にとって、同書は実践できるヒントが満載の一冊になることでしょう。

[文・鷺ノ宮やよい]

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