業務用プロジェクターが進化、レーザー光源や短焦点・短距離が人気

技術の進歩とニーズの変化に牽引され、業務用プロジェクター市場が大幅な成長を遂げている。会議室で長時間使用できるとして、寿命や色精度などが優れたレーザープロジェクターへの移行が進んでいるほか、メーカー各社の新型モデル大半が4K解像度に対応。

Wi-Fi内蔵、Bluetooth接続、他デバイスとの互換性といったスマート機能と、自動フォーカスやキーストーン補正などの機能も標準化している。モバイル ワーカーや柔軟なワークスペースに対応するため、小型・軽量化のトレンドも顕著だ。

短焦点・超短焦点プロジェクター人気が上昇中

特に、狭い会議室でも大画面に投影できることから短焦点・超短焦点プロジェクターの人気が高まっている。LG日本が4月30日に発売開始したビジネスプロジェクタ―の新製品は、4モデルすべてで高光束・4K・レーザー・コンパクトサイズを実現。そのうち「BU53RG」が投射距離0.79 メートルで40インチ画面を表示する短焦点モデルだ。

表示サイズは3.04 メートルでは150インチ、6.12メートルで300インチとなり、オフィスだけでなく投射近年増加中の室内ゴルフ練習場などさまざまな業種で活躍する。

リコーは短焦点プロジェクターのお勧めとして5製品の比較・紹介ページを設けている。そのうち「RICOH WXL4960NI」は約90センチの距離から80インチの画面を表示するというもの。また、超短焦点モデルの「RICOH HDL3530/WXL3540」は壁掛け・天吊り設置が可能。会社の受付やショールームなどのエントランスサイネージに推奨されている。

Image Credits:リコー

他に、2万時間メンテナンスフリーのコンパクトレーザーモデル、手の平サイズでわずか500グラムと、社内外で使えるモバイルタイプも。

VERIFIED MARKET REPORTSによると、業務用プロジェクターの市場規模は2023年に1,060億米ドルと評価されている。予測期間2024年~2030年のCAGRは11.2%で、2030年末までに2000億米ドルに近づくとの予測だ。

業務用以外ではウェアラブルやAIロボットなどユニークな製品も

業務用プロジェクターではないが、いろいろな意味で話題になった商品も紹介しておきたい。

Humaneが2023年6月に発表し、今年4月に発売されたウェアラブルAIアシスタント「Humane Ai Pin」。スマホに替わる次世代端末として注目と期待を集めたこの製品は、手のひらに情報を投影できるプロジェクター機能も備えているという触れ込みだった。

Image Credits:Humane

また、1月の「CES 2024」でサムスンが発表したAIパーソナルアシスタントロボット「Ballie」の改良版は、新たにプロジェクターが組み込まれた製品。
フロントカメラとリアカメラで周囲の状況を把握できるBallieは、ユーザーの姿勢と顔の角度を自動で検出。最適な投影角度とサイズで壁や床に映像を映し出すことができる。立ったり寝転んだり、頻繁に姿勢を変えるワークアウト動画の視聴には理想的だ。また、投影面に合わせて画面の歪みを自動で補正するという。

Ballieは他の家電と接続、室内を自律走行してさまざまなタスクを完了するホームアシスタント。音楽再生や電話対応のほか、ユーザーの外出中に子供やペットの動画をデバイスに送信することもできる。2020年の初登場時からデザインを刷新、「Among Us」のクルーを思わせる体型になった。

(文・根岸志乃)

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