京野菜の「海老芋」、畑で採れるのになぜ「エビ」?その理由は海老芋の姿にあった!!
京野菜として知られる食材の1つ、それが「海老芋」です。
この名前を始めて聞いた人の中には「エビ」と関係があるのかと思うのではないでしょうか?
果たして畑で採れる「芋」がなぜ「エビ」と呼ばれているのか……今回はそんな気になる野菜の雑学に迫ります!
「海老芋」とは
ここでは「海老芋」がどのような野菜なのか解説します。
姿形から付いた「海老芋」という名前
「海老芋(えびいも)」はその姿形が名前の語源となっています。
実際にその名前は姿形がエビのように曲がっているところに由来しています。
里芋は本来、ころんと丸い形状をしているのが特徴です。
一方「海老芋」は湾曲した形状をしているのが特徴です。
その姿形から「海老芋」と名付けられたとされています。
なお、なぜこのような形状になるのかというと栽培方法が関係しています。
「海老芋」は栽培時に丹念に土寄せして育てることで湾曲した形になるのが特徴です。
そういった点から「海老芋」と呼ばれているわけです。
海老芋は里芋の一種
「海老芋」は「唐芋(とうのいも)」という里芋の一種です。
里芋は東南アジアが原産のタロイモ類の仲間で、サトイモ科に分類されている植物です。
茎の地下部分が肥大化した芋(塊茎)と葉柄が食用とされ、葉柄は芋茎(ズイキ)と呼ばれるのが特徴となっています。
それら里芋の仲間、それが「海老芋」なのです。
京野菜「海老芋」
「海老芋」は「京野菜」の1つとしても知られています。
「京野菜」とは京都で生産される京都特産の野菜のことです。
これは京都の伝統野菜を指し、ブランドとしての位置付けにも一役買っています。
海老芋のはじまり
「海老芋」は安永年間(1772年~1781年)に青蓮院宮が長崎から持ち帰った里芋の種を栽培したのが始まりと伝えられています。
それを宮家に仕えていた担当者に栽培を託されたところ、良質なものが出来上がり、後に上鳥羽や九条で栽培されるようになりました。
それが現代まで続く「海老芋」の歴史とされています。
つまり、今から約250年前に広まった野菜といえるでしょう。
縁起物ともされる「海老芋」
「海老芋」は縁起物としても重宝されています。
「海老芋」を育てるには種となる芋を植えて栽培しなければなりません。
この種芋が「親芋」となり「親芋」の周りに「子芋」ができます。
その「子芋」からさらに「孫芋」が生まれます。
このように親・子・孫と続けて増えていくことから「海老芋」は子孫繁栄の象徴とされるようになりました。
結果、今でも縁起の良い食材とされているわけです。
主要生産地は静岡県
「海老芋」は京野菜の一種ということで京都府産がメインと思われがちです。
しかし、生産量で見ると静岡県産のものが最も主流です。
そのため、京都の野菜というよりは静岡の野菜となります。
その中で品質に優れた「海老芋」は高級料亭などに仕入れられ、大切に食されています。
「海老芋」の旬と選び方に保存方法
ここからは「海老芋」の旬と選び方、保存方法を解説します。
海老芋の旬
「海老芋」の旬は10月~2月頃です。
この時期は「海老芋」が全国各地に出荷されます。
そのため、スーパーなどで見かけることもあります。
秋から冬にかけて出回っているものは高品質で美味しいので、機会があればぜひ食べてみてください。
海老芋の選び方
「海老芋」は形状がふっくらとしているものほど新鮮とされています。
また、適度に湾曲があって重みも感じられるものがおすすめです。
その他、皮が乾燥しておらずややしっとりとしているものが美味しいです。
「海老芋」を選ぶ際にはそれらの点を重視してみましょう。
海老芋の保存方法
「海老芋」は新聞紙などで包んで冷暗所で保存します。
これは他の里芋の保存方法と大体共通しています。
特に乾燥と低温に弱い食材なので、冬場は冷えすぎないように段ボール箱などに入れて保管するのがおすすめです。
保存に適した温度は10℃~15℃前後とされます。
ちなみに「ずいき(茎)」は日持ちしないため、新聞紙などで包んで乾燥しないように注意して保管することをおすすめします。
どちらにせよ、新鮮なうちに調理してしまうのが賢明です。
まとめ
「海老芋」は「エビ」の仲間ではなく、その形状から来た名前となっています。
そんな「海老芋」は京野菜の1つですが、静岡のものが広く出回っています。
特に秋や冬には新鮮な「海老芋」が流通するので、興味がある人はぜひ食してみてください。
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