ニュージーランド 首相&企業代表団が日本を訪問、相互商機拡大めざし両国が連携強化 “Eastland+大林組” “Fabrum+トヨタ” NZTE支援
ニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相と、同国の上級ビジネス代表団が、日本との関係強化と商業機会拡大に向けて、6月16~20日に、日本を訪問した。
NZ政府機関ニュージーランド大使館 商務部(New Zealand Trade and Enterprise:NZTE)が、ニュージーランド企業のビジネス促進を担い、この訪日を支援している。
ニュージーランド政府は、こうした訪日を重ね、日本との関係強化や貿易の多様化、経済成長を加速させる取り組みにさらに注力していく。
エネルギー関連会社代表者5人が語る
6月18日、今回訪日したニュージーランド上級ビジネス代表団のなかのエネルギー関連会社代表者5人が、日本国内メディアに対応し、東京・帝国ホテルで会見を開いた。
記者会見に出席したのは、Fabrum:Dr Ojas Mahapatra(Chief Executive Officer)、Geo40 Limited:John Worth(CEO & Managing Director)、Eastland Group:Matanuku Mahuika(Chair)、GNS Science:Chelydra Percy(Chief Executive Officer)、Seequent:Graham Grant(Chief Executive Officer)の5人。
今回は、この5社のなかから公式に発表された情報を中心にレポートしていく。
Eastland と 大林組が連携
Eastland Generation 社は、貿易の多様化、ニュージーランドの経済成長の加速化により日本との関係強化を図るクリストファー・ラクソン・ニュージーランド首相の使命の一環として、日本での正式な調印式に出席した。
この式典は、大林組が Eastland Group 社と協同して4月下旬に契約を確定させた Eastland Generation 社への投資を記念して行われた。
Eastland Generation 社の Matanuku Mahuika Chair(マタヌク・マフイカ取締役会長)は、「私たちの新しいパートナーである大林組とともに、首相をはじめ、ほかの要人が立ち会い、特別な機会になりました」と伝えた。
また、クリストファー・ラクソン NZ首相は、次のように期待を込めた。
「このパートナーシップは、投資および知識の共有を通じて、ニュージーランドと日本の企業がいかにうまく協力し合い、互いの価値を高めることができるかを示す素晴らしい例となります。そして私たちの従業員や地域社会にも大きな利益をもたらし、地球環境の改善にも貢献します」
―――両者の調印式を終えて、Eastland 社はこう伝えている。
「これは大林組にとって極めて重要なステップであり、Eastland Generation 社の株式50%を取得し、アオテアロアの持続可能なエネルギー開発と技術革新のさらなる成長を促進する強力なパートナーシップを確立させたことになります。
今回のパートナーシップにより、Eastland Generation 社と大林組の相互補完的な専門知識が結集し、カーボンニュートラルの未来に向けた持続可能なエネルギー開発の推進が実現可能となります。
Eastland Generation 社と大林組は合わせて、北島中央部に3つの地熱発電資産を所有しています。
Te Ahi o Maui 地熱発電所(26MW)、Geothermal DevelopmentsLtd 地熱発電所(9MW)、Tarawera Ormat Power Plant 1(TOPP1)地熱発電所(24MW)です。
また、ワイロア近郊に水力発電所(5MW)とタイラフィティにはユーティリティ・スケールの発電所(5MW)も所有しています」
Fabrum は液体水素貯蔵技術でトヨタと提携
低炭素経済を実現するゼロ・エミッション移行技術の世界的リーダー Fabrum 社(ニュージーランド)は、同社独自の液体水素貯蔵技術をトヨタ自動車に供給する。
Fabrum 社は、エンドツーエンドの水素製造・供給システムのリーダーとして、世界的な評判を確立している。
Fabrum 社のグリーン水素プロジェクトは、航空業界・重量物輸送業界・産業界の世界的企業の協力を得て、世界中で計画されている数多くのプロジェクトに参画している。
今回のFabrum・トヨタの連携について、Fabrum 社 Dr Ojas Mahapatra CEO(オジャス・マハパトラCEO)博士は、次のように述べている。
「トヨタの水素プロジェクトが、Fabrum 社の液体水素貯蔵技術で推進できることをうれしく思います。
この度の受注はたいへん意味のあるものです。なぜならこれは、未来のモビリティ・プロジェクトに向けて新技術と技術革新の最前線にいるトヨタ自動車からの初めての受注であり、私たちのパートナーシップの始まりを示すものでもあるからです」
また、クリストファー・ラクソン NZ首相は次のように語った。
「ニュージーランドのグリーン水素プロジェクトのパイオニアである Fabrum 社が、日本の名だたる企業であるトヨタ自動車と協力できることは素晴らしいことです。
今回の提携は、気候変動対策においてニュージーランドの脱炭素化技術が持つ将来性と、日本企業がニュージーランドの経済に大きく貢献できることを証明するものです」
さらに、Fabrum 社のChristopher Boyle 取締役会長は、「Fabrum 社にとって、世界有数の自動車会社のひとつであるトヨタ自動車と提携できることは、たいへん喜ばしいことです。私たちはともに、低炭素社会を実現するモビリティ・ニーズを満たすために、先進的な水素技術の開発を進めていきます」と意気込んだ。
Seequent は出光などに技術提供
また、地球科学ソフトウェアでリードする Seequent 社の Graham Grant CEO(グラハム・グラント CEO)は、次のように伝えた。
「ラクソン首相率いるニュージーランド代表団に参加できることを光栄に思います。日本は10年以上にわたって Seequent のソフトウェア・ソリューションを導入しています。
再生可能エネルギーの利用拡大をめざす日本を支援するという意味で、連携体制のさらなる強化に向けた大きな可能性を感じています。
今回の訪日で、天然資源の持続可能な管理の推進に貢献し、日本をはじめ世界中の地域社会の生活の質を向上させたい」
日本は2030年までに再生可能エネルギーによるエネルギー供給量を36~38%まで増やすことを掲げている。Seequent 社の Graham Grant CEO はこう続ける。
「世界中の企業や関係機関が、より正確な情報にもとづいて再生可能エネルギーへの移行推進すべく、Seequent 社のソリューションを採用しています。
Seequent 社のソフトウェアは、世界の地熱エネルギー事業の60%以上の動力源となっているほか、海上風力発電、二酸化炭素回収・貯留、天然水素に関するプロジェクトにも使用されています。
日本では、エネルギー・鉱業・土木インフラ関連企業にソフトウェア・ソリューションを提供し、出光・西日本技術開発・地熱技術開発などが顧客に挙げられます。
「ニュージーランドが魅力的な投資先に」
ニュージーランドのクリストファー・ラクソン首相と、同国の上級ビジネス代表団による今回の訪問は、日本ですでにビジネスを展開しているトップ企業に加え、今後の市場参入をめざす企業まで、さまざまな事業領域から 30社を超える企業が訪問した。
また、ビジネス代表団に加えて、トッド・マクレイニュージーランド貿易・輸出振興担当大臣が首相に同行した。
NZ政府機関ニュージーランド大使館 商務部(New Zealand Trade and Enterprise:NZTE)官僚 ピーター・クリスプ氏は、今回の訪問にこう期待を込めた。
「日本は我々にとって最も重要な貿易相手国のひとつで、ニュージーランドの輸出業者は多くの恩恵を得ています。
今回のミッションでは、農食品分野における従来のビジネスを強化しながら、イノベーションや再生可能エネルギーにおける新たな機会を活用し、すべての事業セクターでの投資拡大が促進されることを期待している」
さらに、クリストファー・ラクソン首相はこう意気込む。
「私の日本における展望を共有できる上級ビジネス代表団が同行することを、非常に喜ばしく思っています。私たちは緊密に連携しながら、ニュージーランドの最高の製品やサービスを紹介していきます。
ニュージーランドは、国内企業による高品質な製品やサービスを日本に提供することはもちろん、日本の投資家、観光客、学生にとってニュージーランドが魅力的な投資先として選ばれるよう、引き続き努力してまいります」
<ニュージーランド ビジネス代表団メンバー>
1. Silver Fern Farms
2. Fonterra
3. Kono
4. ANZCO Foods
5. Zespri
6. TATUA Co-operative Dairy Company
7. Mount Cook Alpine Salmon
8. Tāwhaki National Aerospace Centre
9. Rocket Lab
10. GNS Science
11. Geo40 Limited
12. Seequent
13. Fabrum
14. Eastland Group
15. Aurecon
16. Pan Pac Forest Products
17. Xero
18. ANZ Bank New Zealand
19. ASB Bank
20. NZ Super Fund
21. Morrison
22. New Zealand Rugby Commercial
23. Auckland Uniservices, University of Auckland
24. University of Canterbury
25. Schools International Education Business Association (SIEBA)
26. Air New Zealand
27. Christchurch International Airport
28. Ngāi Tahu Tourism
29. Tourism Holdings Limited
30. STILL
31. Japan New Zealand Business Council
32. NZ INC
33. New Zealand Trade & Enterprise
34. Education New Zealand
35. Tourism New Zealand
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