映画『プリンス ビューティフル・ストレンジ』監督インタビュー 「プリンスは偉大な人でした 救われた大勢のファンがいます」

孤高の天才“プリンス”の真実に迫るドキュメンタリー『プリンス ビューティフル・ストレンジ』が、プリンスの誕生日である6月7日(金)より新宿シネマカリテほか全国公開中です。

2016年4月21日、57歳の若さで急死した天才ミュージシャン・プリンス。

世界中が悲しみの雨に濡れた、突然の悲劇から8年、プリンスの真実に迫るドキュメンタリーが誕生しました。その日本公開を祝して、本作のメガホンを取ったダニエル・ドール監督が来日。その想いを聞きました。

■公式サイト:https://prince-movie.com/ [リンク]

●日本公開初日の今日(=インタビュー実施日)はプリンスさんの誕生日でもあるわけですが、今の心境はいかがでしょうか。

今ここ日本にいられて感無量です。生涯の夢として日本に来たいとも思っていたので、ある意味自分の夢が叶いました。日本にどれだけプリンスのファンがいるか知らなかったのですが、この映画はファンのために作った作品です。なのですごく(この滞在を)楽しみにしています。

●今回の作品は、どのようなきっかけで撮ることになったのでしょうか。

プリンスと同世代なので存在を知っていたくらいで、個人的にはミステリアスで風変わりな人という印象でした。プリンスの死後、彼のバンドメンバーたちが映画化の計画を始め、その過程で声がかかり参加することになりました。途中、壁に当たることが増え、葛藤も生まれましたが、ファンの方たちと出会い熱い応援を受け、世に出すべきだと思い直しました。

●そのファンの方々とは、どのようにして会うことが出来たのですか?

(プリンスが育ち、活動していた)ミネアポリスでお会いしました。映画のリサーチで同地へ向かったところ、プリンスに近い存在のファンの方々にお会いすることが出来たのです。彼らは、プリンスが毎週開いていたパーティーに通っていた人たちなんです。プリンスは常に自分の音楽を出し続けないといけないと考え、その発表の場としてミネアポリスでパーティーを開いて、そこにファンが集っていたそうなんでです。

ただ、ファンのみなさんは毎週のようにパーティーに通ってはいたものの、写真は1枚も持っていないんです。撮影禁止の以前に、携帯などは家に置いてくるように言われていたので、プリンスとのセルフィーなどの写真はまったく残ってはいないんですでも、彼らの話をさまざまに聞いて、プリンスの人間像が見えて来た時、とても感銘を受けました。

●それはどのようなものでしたか?

とても偉大な人だということが見えて来たんです。これまでさまざまなミュージシャンを取材しましたが、プリンスに勝る人はいないとさえ思いました。ファンの方たちも皆、プリンスは自分の人生を救ってくれた人だと口を揃えて言っていました。

歌詞を聴いて世界が開いて、自殺を思い留まったファンの方もいるほどす。本当に救われた人が多いんですね。そして“ラブ・アンド・ユニティ”をプリンスは掲げていて、それを音楽を通して与えてくれたとファンの方たちは言っていて、わたし自身も大きく感銘を受けました。プリンス自身も皆は平等だと言っていたんです。

●その実像をこの映画に記したということですよね。

プリンスのことを話しだすと10時間くらいになってしまうので(笑)、この映画だけでは語り切れないことが多々ありました。彼の偉大さは僕にとって、この映画を作るきっかけを与えてくれました。彼はファンのことを“ファム”と呼んでいて、本当にみんなのことを家族だと思って見ていたんです。ファンの方たちは家族であり、一体感にあふれていることが映画館の中で分かると思うので、それはとてもいいことだと思っています。

●今日はありがとうございました!

■概要

アメリカ・ミネアポリスで誕生したプリンス(本名:プリンス・ロジャーズ・ネルソン)は、住民の90%が白人という環境下で、多感な青春時代を過ごした。

公民権運動の渦中、ジェームス・ブラウン等の黒人ミュージシャンも時折訪れた、地元のブラックコミュニティ“ザ・ウェイ”での音楽的な原体験、恩師や家族が語る幼少期のエピソードは、興味深いものばかりだ。

チャカ・カーン、チャックD、ビリー・ギボンズなど、プリンスを敬愛するミュージシャンの貴重なエピソードも多数収録。孤高の天才が、如何にして誕生したのか、そして突然の悲劇まで、プリンスを愛する全てのファンに贈る傑作ドキュメンタリー。

(C) PRINCE TRIBUTE PRODUCTIONS INC.

(執筆者: ときたたかし)

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