【レビュー】RCサクセション『HARD FOLK STUDIO LIVE』に見る純粋な音楽が持つ求心力

【レビュー】RCサクセション『HARD FOLK STUDIO LIVE』に見る純粋な音楽が持つ求心力

RCサクセションが3人編成で活動していた1970年代の貴重なスタジオライヴ映像作品『HARD FOLK STUDIO LIVE』が2024年6月5日に発売されました。

今作は、テレビ神奈川(tvk)で1972年から1976年まで放送されていた人気音楽番組「ヤングインパルス」に出演したRCサクセション【当時のメンバーは忌野清志郎(VO.Gt)、林小和生(Ba.Vo)、破廉ケンチ(Gt.Vo)】のスタジオライヴ映像全13曲を映像・音声共に最新技術でアップグレードした作品となっています。

「ガッタガッタ」とオーティス・レディングばりのボーカルを聴かせる「冷たくした訳は」に始まり、空気をミシミシと振るわせながら迫る歌と演奏が強烈無比な「もっとおちついて」まで。マッシュルームヘアでかわいらしい清志郎のビジュアルと、汗だくで唸るように叫ぶボーカルのギャップ、共振するケンチの尖った歌声とギター、センターで淡々とウッドベースを弾きながら「大きな春子ちゃん」では美声を聴かせるリンコ。この映像を観ると、決して清志郎だけが突出した存在ではない、3人の個性が随所で発揮されたバンドであったことがわかります。

「キミかわいいね」「三番目に大事なもの」「ガラクタ」といったシニカルな内容の曲を歌う一方で、痛々しいまでに素直な気持ちを独白するラブソング「冷たくした訳は」「お墓」には穢れを知らない無垢な美しさすら感じます。そして、純粋が故の粗暴さも内包しています。そこから伝わるのは、彼らの音楽にある孤独な魂を救う力、“わかってたまるか” と社会からはぐれた心の拠り所となる求心力。それこそが、本物のロックでありブルースです。80年代以降、エレキバンド編成となり大ブレイクしたRCサクセションが日本中に巻き起こした旋風や、清志郎が坂本龍一とのコラボレーションで大ヒットさせた「い・け・な・いルージュマジック」等の煌びやかなエンターテイメント性とは対極ですが、この時代のRCサクセションがあるからこそ、清志郎が遺した音楽は今も多くの人の心を掴んで離さないのではないでしょうか。

大ブレイク後のRCサクセションが空に向かって咲いた大きな花だとしたら、3人時代のRCはその花が育った肥沃な大地。そこには様々なエネルギーが蓄えられていて、やがてその大地からたくさんの個性的なカラーを持つフォロワーが花を咲かせ、日本のロックシーンを彩って行きました。今にも芽を出しそうで出さない、じれったさすら感じる3人のミュージシャンが奏でるあまりにも純粋な音楽を、この映像で是非目撃してください。

文:岡本貴之

リリース情報

RCサクセション
『HARD FOLK STUDIO LIVE』
2024年6月5日発売
DVD:3,850円(本体価格3,500円 税率10%)
Blu-ray:4,950円(本体価格4,500円 税率10%)
〈収録曲〉
01 冷たくした訳は
02 ガラクタ
03 三番目に大事なもの
04 2時間35分
05 春が来たから
06 愛してくれるなら
07 僕の情婦
08 お墓
09 キミかわいいね
10 大きな春子ちゃん
11 ぼくの自転車のうしろに乗りなよ
12 ぼくの好きな先生
13 もっとおちついて
予約は全国主要CDショップ、WEBショップ、UNIVERSAL MUSIC STOREまで
●UNIVERSAL MUSIC STORE:https://umusic.jp/NBLEryRt

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