鳥取・境港「水木しげる記念館」リニューアル、新旧での違いは? 現地レポ
鳥取県境港市の人気観光スポット「水木しげる記念館」が、約1年にわたる建て替えを経て、2024年4月20日にリニューアルオープンした。
2003年3月に開館し、同市出身の漫画家・水木しげる氏の作品や人生を紹介する展示を長年行ってきた。今回、建物の老朽化に伴うリニューアルで、新たな展示エリアがお目見えし、半年ごとに展示の入れ替えをする企画展も加わった。先日、内覧会を現地で取材した。
(C) 水木プロダクション
館内の展示は、常設展と企画展に分かれている。
まず、常設展では、境港で育った水木しげる氏が幼少時に遭遇したエピソードを、自伝的な漫画作品に加え、映像でも紹介している。子どもにもわかりやすい内容だ。
(C) 水木プロダクション
続いて、水木しげる氏の生涯で欠かせない、太平洋戦争時の体験を紹介するコーナーが充実している。太平洋戦争で最も激戦地だった南太平洋のラバウル(現在のパプアニューギニア)へ出征。当時22歳で、敵の爆撃を受けて左腕を失う大けがを負い、部隊は水木しげる氏を残して全滅したものの、辛うじて生還した。
水木しげる氏の戦争に対する悲惨さは、展示内容からよく伝わってくる。自身の体験をもとにした漫画「総員玉砕せよ!」や、実体験を物語に描いた戦記「水木しげるのラバウル戦記」など、さらに当時の遺品なども合わせて見ごたえある。体験したからこその展示で、戦争を知る、学べる内容となっている。
そして戦後、漫画家として成功するまでを紹介するパネル展示へと続く。生活のために始めた紙芝居作家、上京、漫画家デビュー、少年誌での連載そして「悪魔くん」「ゲゲゲの鬼太郎」などのテレビアニメ化と、日本を代表する漫画家となる過程がよくわかる。
(C) 水木プロダクション
見どころのひとつが、妖怪たちの世界。
薄暗い洞窟の中に、約50体もの妖怪が潜む光景。不気味なライトの明るさや色が刻々と変わる様子など、まさに妖怪の世界にリアルに紛れ込んだような体験ができる。妖怪を1点ずつ見ても、その完成度は非常に高い。
(C) 水木プロダクション
妖怪の世界は、本当に奥深い。森、山、里、水辺などいたるところに潜んでいる。
主な妖怪を紹介するコーナーもある。日本を代表する妖怪研究家でもある水木しげる氏が描く妖怪とともに、それぞれの姿や特徴などを知ることができる。
(C) 水木プロダクション
さて、水木しげる氏の代表作といえば、「ゲゲゲの鬼太郎」「悪魔くん」「河童の三平」など。これらの作品や発売当時の漫画本などの展示コーナーは、やはり見逃せない。リニューアル前と引き続きあるエリアだ。
加えて、冒険旅行をライフワークとした水木しげる氏が世界中で集めたコレクションなども展示する。
(C) 水木プロダクション
波乱万丈の生涯だった水木しげる氏は、「なまけものになりなさい」「睡眠は幸福のモト」など、数々の名言を残している。
実は、入館チケットの裏を見ると、その名言がランダムで綴られている。35種類あり、どれが当たるかはチケットを受け取った時のお楽しみ。
(C) 水木プロダクション
その名言を一堂に展示するエリアも、今回新設された。どの名言も、今を生きるその世代の人々にも伝わるものがある。
(C) 水木プロダクション
さらに、企画展では、水木しげる氏の原画を、テーマを設けて展示する。リニューアルオープンで最初の企画展は「鬼太郎の誕生 —生まれかわる四つの物語—」で、水木しげる氏の作品で最も知られている「ゲゲゲの鬼太郎」の主人公、鬼太郎の誕生にフォーカスしている。
実は、鬼太郎には70年ほど歴史がある。戦前に怪談「飴屋の幽霊」をモチーフとした紙芝居をヒントとしたこと、戦後に「蛇人」という紙芝居作品で初めて鬼太郎が登場したことなどを紹介し、鬼太郎の誕生だけで4つの異なる絵のタッチを比べるのも見どころだ。
(C) 水木プロダクション
館内に、ミュージアムショップ「な・ぷーんストア」もオープン。公式ガイドブックやミュージアム限定商品のほか、企画展に合わせたグッズもあり、見学後にぜひ立ち寄ってみてほしい。入館者のみ利用できる。
(C) 水木プロダクション
(C) 水木プロダクション
水木しげる記念館
http://mizuki.sakaiminato.net/
【参考記事】
約50体の妖怪が潜む「水木しげる記念館」4月リニューアル、新たな展示内容を紹介
(Written by A. Shikama)
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