職場の生産性を下げる「不機嫌な上司」の正体

職場の生産性を下げる「不機嫌な上司」の正体

ドイツの詩人・ゲーテは「人間の最大の罪は不機嫌である」 と語った。

「不機嫌が罪だなんて大げさすぎでは?」とも思えるが、職場を見渡すと一人か二人はいつも不機嫌そうな人が必ずいる。日によって機嫌がコロコロ変わることで周囲を振り回す気分屋さんも厄介な存在だ。

当然、こういう人がいると職場の空気もぴりぴりするし、そんな空気では自分の意見も言いにくい。何より不機嫌な空気に人はストレスを感じる。みんなが居心地悪い空気を作り出す「不機嫌」は、たしかに罪といえば罪なのかもしれない。

■「不機嫌な上司」が職場の生産性を下げる

怖いのは自分自身がそんな「罪な人」になってしまうこと。

特に、年齢を重ねて立場ができ、周囲に目下の人が増えてきた、という人は要注意。自分に不機嫌なつもりはなくても、立場が下の人から見ると不機嫌に見えて、委縮させてしまっているかもしれない。「不機嫌なこと」と「周りから不機嫌に見えること」は、実はちょっと違うのだ。

いつも上機嫌で、自分も快適&周りの空気を居心地よくできる人になるため『自分も幸せ まわりも幸せ 上機嫌に働く67のコツ』(今蔵ゆかり著、ぱる出版刊)は、リーダーやマネジャーにとって学びが多い一冊。部下を叱責したり問い詰めたりで委縮させている上司は、それだけで職場の生産性を下げているものだ。

■「上機嫌であること」と「周りから上機嫌に見えるようにふるまうこと」

上機嫌でいるために自分自身の内面を整えることも大切だが、それ以上に「周りから上機嫌に見えるふるまい」も大切。この本はどちらについても解説している。

特にふるまいについては、人から相談された時の反応や会話の間合い、言葉の選び方、そして仕事中の行動などなど、小さなことで驚くほど相手からの印象が変わるもの。たとえば会話中に相手の名前を入れて話すだけでも、相手への親しみを表現することができます。カンタンですが、これも上機嫌さを印象づける方法の一つだ。

名前を呼びかけずに伝えたいことだけ伝えるよりも、相手は「自分に向かって話をしてくれている」と強く感じるはずだ。これは特に目下の人と話す時に大事にしたいこと。そのためにも、目上の人だけでなく目下の人の名前もできるかぎり覚える努力をするのがいいかもしれない。話し方や話す間合いには、上機嫌さを印象づける秘訣がたくさんある。

■「自分だけががんばっている」という錯覚に陥らないために

上機嫌な人とは、言い換えれば「どんな時でも余裕がある人」。

会議や締め切り、クレーム対応、メールへの返信。山ほどある仕事に追われていると、どうしても視野が狭くなって、心から余裕が失われていく。いつしか他人のがんばりが目に入らず、自分だけが孤軍奮闘しているような錯覚に陥ることも。この状態で他人に優しく接するのは、誰でも難しいのだ。

だからこそ、仕事中は常に視野を高く持って、職場全体を見渡す意識を持つことが大切だ。そうすれば、たとえ自分のタスクに追われていたとしても、他人のがんばりが目に入り、周りへの感謝を失うことはない。

不機嫌な顔つき。

不機嫌な声。

不機嫌な対応。

自分の中の不機嫌を一つ一つ追い出していけば、いつしか目上の人からも下の人からも愛される、上機嫌な人に変わることができる。大切なのは、他人に優しくすることだけに集中せず、自分も大切にすること。この両方がそろってはじめて、いつも上機嫌な人になることができる。

上機嫌は大人のマナー。

今日からさっそくはじめてみてはいかがだろうか。

(新刊JP編集部)

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