【ライヴレポート】「最高の思い出、ありがとうございます!」──乃木坂46「山下美月卒業コンサート」
2024年5月11日、12日の2日間にかけて、乃木坂46「山下美月卒業コンサート」が東京ドームにて行われた。このコンサートではDAY1、DAY2ともにアンコール含む32曲を披露し、トータル10万人を動員。オトトイでは、そのDAY2の模様をレポートする。
2016年9月より、乃木坂46の3期生として加入した山下美月。乃木坂46の次世代エースとして、グループに大きく貢献し、雑誌モデルや女優としても活躍。グループに新たな三番目の風を吹かせる、大きな存在となっていた。このコンサートのセットリストは、卒業する山下が考案。彼女の想いがつまった楽曲が披露された。
定刻を迎え、筒井あやめ(4期生)、小川彩(5期生)の各期の最年少ペアが影ナレで「最高の思い出作ろうねー!」と叫び、開幕を告げる“OVERTURE”とともに、ライヴがスタート。
まばゆい光に包まれながら、メインステージには山下美月がひとり立つ。セットリストの1曲目は、山下をはじめ3期生のとってはじめての楽曲「三番目の風」。イントロが鳴ると、残る3期生スタンバイしたにダッシュで駆け寄り、センターステージに円陣を組み、全力でパフォーマンス。この日に向けた気合いが十二分に伝わってきた。
ライヴは序盤から最高潮の盛り上がりを見せる。続いて遠藤さくらと井上和が声をかけ、3期生楽曲「自分じゃない感じ」を後輩とともにパフォーマンス。さらに、“ガールズルール”では、先輩である白石麻衣から引き継いだ「騒げー!」の煽りを披露し、乃木坂46のライヴの熱さを感じさせた。そこからさらにメンバーは、巨大なウサギを模したフロートに乗って“13日の金曜日”、“ハウス!”で、客席を回遊し、笑顔を振り撒いていく。序盤ブロックのラストは、DAY1本編のラストに披露された、山下のセンター楽曲“僕は僕を好きになる”。温かな優しい空気が大きな東京ドームに充満していく。
ライヴは、山下美月の名前である「月」にちなんだ楽曲を披露するブロックへ。スモークのなか、同じく名前に「月」の文字が入った菅原咲月、向井葉月と共に“満月が消えた”をパフォーマンス。そこからセンターステージへと移動すると、妖しく赤く染まる月に照らされるなか“月の大きさ”、そして佐藤楓とWセンターで“届かなくたって…”を続け様に。このブロックの最後には、5匹の狼ダンサーと共に“狼に口笛を”をパフォーマンス。シュールな光景ながらも、その全力な姿が集まった観客を笑顔にしていった。
VTRを挟んで披露されたのは、山下の8年間のアイドル人生で、ライヴで1度も踊ったことのない楽曲“初恋ドア”。この曲は、AKB48の55thシングルに収録された、坂道AKBの楽曲である。当時の坂道グループから次世代を担うメンバーが結集した楽曲であり、この日は黒見明香、佐藤璃果、林瑠奈、松尾美佑、弓木奈於と共にパフォーマンス。かなりのレア曲の披露に、ファンは大きく湧き上がった。
ここからはユニット曲のブロックの披露が続く。卒業した齋藤飛鳥、同期の梅澤美波と3人で披露してきた“ファンタスティック3色パン”は梅澤とふたりでパフォーマンス。この曲では、途中でルーレットが入り、無茶振りの一言を言うのが恒例の流れだが、この日はメンバー2人ということで、ビーチフラッグ対決に変更。梅澤は、この日のために梅澤は瞬足を履いてくるというチートを仕込み、見事山下に勝利。負けた山下は「自分史上最高のぶりっ子一言」をテーマに、「あんぱんもチョコパンもクリームパンも好きだけど、一番好きなのは君!」とアピール。客席をメロメロにした。そして、ビーチフラッグ対決は2回戦へ。今度は山下が勝利したのだが、負けた梅澤は「心のこもったメッセージ」というお題を渡され、山下との思い出、「器用なように見えて、不器用なやまが大好きでした」と語り、同期の愛を感じさせた。
続いて、ステージに立ったのは、同じく同期の伊藤理々杏。ふたりは、からあげ姉妹(生田絵梨花・松村沙友理)の楽曲“1、2、3”をパフォーマンス。さらには、次は、こちらも同期の与田祐希、久保史緒里と3人で“言霊砲”を披露。この楽曲は、卒業した大園桃子とともに“いもうと坂”というユニットで歌われたきた、3期生としての大切な楽曲。この選曲は、誰よりも同期愛が深い山下らしい演出だ。
ユニットブロックのラストは、センターステージにいる賀喜遥香と、メインステージの山下の掛け合いが美しい“無口なライオン”。賀喜は山下を加入前から推しメンと語り、山下のサンシャイン池崎のネタを継承するなど、師弟のような関係でもある。このふたりの歌唱には多くのひとが感情を揺さぶられていた。
ここで、エモい空気になったあと「やまー!かっきー!ここらでひとっ風呂行こうぜー!」と梅澤が叫び、タオルを頭に載せたメンバーがウサギのフロートで登場。“銭湯ラプソディー”で会場を回りながら、コミカルかつキュートにボルテージをあげる。ライヴの定番曲“裸足でSummer”では、先ほどまで頭に被っていたタオルを振り、やっぱり「銭湯といえば、シャンプーだよね」と遠藤さくらが煽り、“おいでシャンプー”をパフォーマンス。乃木坂46のライヴの持ち味である、一体感が大きな東京ドームで感じられた。
そして、次は期別のブロック。まずは32ndシングル収録の5期生楽曲「心にもないこと」を池田瑛紗とWセンターで披露。曲中には5期生のメンバーへの思い出とメッセージを語り、さらに「瑛紗、誕生日おめでとう!」とサプライズでお祝い。池田は、これからの抱負を聞かれると、「美月さんみたいな立派なアイドルになります!」と語った。4期生楽曲の“図書室の君へ”では、舞台「恋と呼ぶには気持ち悪い」に出演中の柴田柚菜が大阪から駆けつけ、パフォーマンス。このブロックの最後は、3期生ととも歌う“何もできずにそばにいる”。エモーショナルな歌声を響かせた。
ダンスブロックを挟んで披露されたのは、乃木坂46の初期の頃からライヴのボルテージをあげてきたエレクトロ・チューン“世界で一番 孤独なLover”。先日放送された「乃木坂46 山下美月のオールナイトニッポン」内で、山下美月が乃木坂を好きになったきっかけの曲の一つと語った楽曲だ。
ライヴはここから終盤にクライマックスを迎える。炎が乱れ飛ぶセンターステージで山下と久保が初めてダブルセンターを務めたカップリング曲“不眠症”を披露すると、今度は初めて表題曲の選抜メンバー入りした楽曲“シンクロニシティ”、さらに西野七瀬の卒業シングル“帰り道は遠回りしたくなる”をパフォーマンス。続いての“Sing Out!”の終盤には、大きなシンガロングが響き、大きな多幸感が東京ドームを包み込んだ。
本編最後の曲は、3期生楽曲の“思い出ファースト”。山下はこの曲の披露の前に「乃木坂の3期生だったからここまで続けてこられたし、生まれ変わっても私は絶対アイドルになりたいし、乃木坂の3期生になってまた11人の仲間と出会いたいなと思うぐらい、一生で一番の出会いだったと思います。私は不器用で甘え下手なので、感謝を伝えきれてなかったなってちょっと後悔しています。なので、これから困ったことがあったら、全世界が敵になっても私は3期生の味方でいます」と語る。
3期生の愛が人の倍強い、山下美月ならではの言葉に笑顔があふれる。山下は「私にとって一生忘れることのない、大切な思い出がまたひとつ増えました。アイドルとして私は全力を出し切ったし、何も悔いはないし、ここから前を向いて生きていけます」」と叫び、メンバーと共にステージを去った。
「山下!美月!」と「乃木坂!46!」が入り混じるアンコールの声に導かれ、純白のドレスに身を包んだ、山下が再び姿を現す。青と黄色のペンライトの光に包まれるなか、これまで出会ったきた人々に感謝の言葉を綴った。
以下、スピーチ全文
「やっぱり一番に感謝を伝えたいのはファンの皆さんです。多分皆さんが思ってる以上に私は日々ファンの皆さんのことを毎日毎日考えてて。夜寝る前とかも絶対考えてたし。モバイルメッセージをファンの皆さんに送れたりするんですけど、「今日はこんなことがあったからこれ書こう」とか毎日毎日メモに書いてファンの皆さんに伝えたいことを送るのがすごく楽しかったです。
私が本当に何の取り柄もなかった女子高生のときから、デビューライブで私のオーディション中の写真とかを掲げてくださったり。なんで私のこと好きになってくれたんだろうってずっと思ってたんですけど。でも私はファンの皆さんのことが本当に大好きだったから、もうそんなことはいつの間にか考えなくなっていました。
体調がちょっと優れなくても、ライブでステージに立てばキラキラ歌って踊ることができたし。もうダメかもしれないってなったときもブログのコメントとか、今までいただいたお手紙とかたくさん見返して。こうやって私のことを支えてくださる皆さんがいるから、私が弱音吐いてちゃだめだって、皆さんのおかげで強くなることができました。
アイドルとしてはもう今日で終わってしまうんですけど。アイドルとしての私はきっと、自分で言うのもなんだけどすごく強かったと思うし、でも1人の人間としてはめちゃくちゃもろくて弱かったと思うし。これから少しお休みをいただくんですけど、また皆さんに絶対にお会いする機会も絶対に作るし、皆さんが安心して応援できるような存在にこれからもあり続けたいなって思うので、どうかこれからもずっと見守ってくださったらうれしいです。よろしくお願いします。
アイドルって大変なお仕事だって思われてる方もきっと多くて、それは多分私たちのことを応援してくださっているファンの皆さんが一番感じていらっしゃるんじゃないかなと思います。でも、やっぱりアイドルはめちゃくちゃいい仕事だし、本当に私にとっては救いでした。アイドルになれたから、私は今まで生きてこられたと思うし、誰かの希望になれたらいいなと思って毎日がんばっていました。実際に希望になれたかはわからないけど、こうやって卒業コンサートにこんなにもたくさんの方が来てくださったっていう事実だけで、私は8年間あきらめずに毎日毎日、あともうちょっと、あともうちょっとって、ここまで走ってこられて本当によかったなと思います。
私は生まれ変わっても絶対にアイドルになりたいです。そしてまた皆さんとも絶対に会いたいし。皆さんが私のことをアイドルにしてくれたので、また来世も皆さんが私のことをアイドルにしてください。出会ってくれて本当にありがとうございました。」
アンコールでは、山下が初めて作詞をしたバラード、“夏桜”を披露。手書きの歌詞と共に、楽曲に込めた想いを歌に乗せ、アイドルとしてのこれまでの感謝、そして愛を伝えた。
“夏桜”を歌い終えると、“未来の答え”でメンバーが登場。後輩メンバーから1人ずつハグをしていく姿はとても幸せに満ちていた。それは、彼女の乃木坂46としてのアイドル人生がいかに幸せだったのかを物語っているかのようだった。
山下はそこから再びウサギのフロートに乗り込み、“好きになってみた”、“人は夢を二度見る”をメンバーと共に歌い上げ、会場中に集まったファンに、笑顔を振り撒いていく。そして山下は「わたしらしく笑顔で終わりたい!」と語り、卒業シングルである“チャンスは平等”で大団円を迎えた。
そして最後は久保、梅澤が見守るなか、月型のゴンドラに乗り、「月へと帰ります!」と語り、ステージ高く上昇。そこにいる全ての人が笑顔にして、山下美月は乃木坂46を卒業していった。
フォトギャラリー
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セットリスト
OVERTURE
1.三番目の風
2.自分じゃない感じ
3.ガールズルール
4.13日の金曜日
5.ハウス!
6.僕は僕を好きになる
7.満月が消えた
8.月の大きさ
9.届かなくたって…
10.狼に口笛を
11.初恋ドア
12.ファンタスティック3食パン
13.1・2・3
14.言霊砲
15.無口なライオン
16.銭湯ラプソディー
17.裸足でSummer
18.おいでシャンプー
19.心にもないこと
20.図書室の君へ
21.何もできずにそばにいる
22.世界で一番 孤独なLover
23.不眠症
24.シンクロニシティ
25.帰り道は遠回りしたくなる
26.Sing Out!
27.思い出ファースト
EN1.夏桜
EN2.未来の答え
EN3.好きになってみた
EN4.人は夢を二度見る
EN5.チャンスは平等
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