注目の“ロボットデリバリー”本格化へ。Uber Eatsら、米国発AIロボットを活用した実証を3月に都内で開始か
ロボットが家まで食事を届けてくれる…そんなサービスが、身近になる日もそう遠くないかもしれない。
昨今、物流業界における慢性的な人手不足、飲食店やスーパーへアクセスしづらい地域の課題、顧客体験向上などへの対応策として、自律走行型ロボットを活用したフードデリバリーサービスの実証実験が国内外で行われている。
たとえば、2022年にはフードデリバリーのUber Eatsが、自動運転配達ロボットを活用した配達サービスの試験を米国で開始した。2023年にはパナソニックHDが、日本初とされる“届出制”(*1)にもとづく自動配送ロボットの実証サービスを神奈川県・東京都で実施。
ロボットデリバリーサービスの本格的な社会実装に向けた動きが加速するなか、Uber Eats Japan、三菱電機、Cartkenは2024年2月21日に自律走行ロボットを使用したオンラインデリバリーサービス(以下、ロボットデリバリーサービス)提供に向けた業務提携を発表。2024年3月中に、東京都内の一部地域でサービスを開始する予定だ(*2)。
*1…2023年4月1日施行の「道路交通法の一部を改正する法律」に規定された遠隔操作型小型車における届出制において、日本で初めて届出が受付された
*2…具体的なサービス展開エリア、サービス開始時期は今後変更される可能性あり
Cartken製のAI搭載・自律走行ロボットを活用
Uber Eatsのロボットデリバリーサービスは、前回の米国に続き今回で世界2か国目となる。2024年3月に開始予定のサービスでは、Uber Eatsが2022年に提携を開始した米国発のロボティクス企業Cartkenのロボットを使用するという。
同ロボットは、高度なAIモデルやアルゴリズムを活用した物体検知技術や自律走行性能、遠隔操作機能を備えたデリバリーロボット。三菱電機による日本仕様への適合(*3)により、道路交通法に定める遠隔操作型小型車として最高時速5.4kmで歩道を走行する。 カメラを通じて取得される映像では、人物に対して個人を特定できないようマスク処理を行うといった、通行人のプライバシーにも配慮した仕様だ。ロボット内部には断熱性のある約27リットルの積載スペースが備わっており、配達中も料理を適切な温度に保つ(*4)。なお、今回のロボットデリバリーサービスはUber Eatsアプリ上で展開される予定だ。
*3…一般社団法人ロボットデリバリー協会による安全基準の適合試験に合格したロボットを、管轄の都道府県へ届出することにより運行
*4…サービス開始時に技術的仕様が一部変更される可能性あり
Google出身エンジニア・オペレーターで構成されたCartken
今回、ロボットの設計を担当したCartkenは、2019年にGoogle出身のエンジニアやオペレーターを含む専門家によって設立された企業。低コストかつ柔軟な自律ロボットソリューションを提供することで、企業の短距離輸送の問題を解決することを目指している。
同社のロボットは近距離の食品・食料品の配送、大学キャンパス内の食事の配送などに使用されている。
2022年1月には、三菱電機とイオンモールと協力し、愛知県常滑(とこなめ)市の「イオンモール常滑」でロボット搬送の実証実験を開始(2023年4月に終了)。新型コロナウイルスの流行のさなか、アプリで注文されたスターバックスの商品をロボットが目的の場所までデリバリーする“非接触型配送サービス”を行った。
2022年6月には、米国フードデリバリーのGrubhubと提携し、オハイオ州立大学のキャンパスへのロボット配送を実施。Grubhubアプリで注文された食品をロボットが届け、ユーザーはアプリを使ってロボットの蓋を開け、商品を受け取るといったサービスを、車での移動が難しいキャンパス内で実現。
こうした活動を経て、今回Uber Eats、三菱電機と再びタッグを組んだCartken。今後も同社はフードデリバリーのさらなる発展に貢献する方針だ。
参考元:
PR TIMES
Cartken 公式サイト
三菱電機 ニュースリリース
(文・Haruka Isobe)
ウェブサイト: https://techable.jp/
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