【ライヴレポート】Souが自らの内面を映し出した、爽快な一夜──〈Sou LIVE 2024 「inside」〉

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【ライヴレポート】Souが自らの内面を映し出した、爽快な一夜──〈Sou LIVE 2024 「inside」〉

2024年1月19日。東京・Zepp Hanedaにて、ネットシンガーのSouがワンマンライブ「Sou LIVE 2024~inside~」を開催した。

「inside」というタイトルがつけられた今回のライヴ。この日はSouにとって2024年1発目の公演でもあり、昨年活動10周年を迎えた彼のさらなる飛躍を占う上でも非常に重要なものになるだろう。会場であるZepp Hanedaには開演前から多くの人が集まり、Souの登場を今か今かと待ち望んでいた。

定刻を迎えると、場内が暗転。ステージ上のスクリーンには、ノイズ混じりのSEに合わせて、モノクロの波形が乱れながら映し出される。すると、バンドメンバーに続いてSouがステージへ。登場するやいなや、「いくぞ東京!」と叫び、ライブがスタートした。セットリストの1曲目は原口沙輔が手がけた楽曲「人マニア」。初手からエレクトリックなビートで、フロアを翻弄したSouは、続いて「新興宗教」へと繋ぐ。「みんな!声だしていこう!!」と客席に向かって鼓舞し、楽曲の持つ繊細さと人間のグロテスクさを歌で表現。序盤から一気に自分の世界を創出することに成功していた。

【ライヴレポート】Souが自らの内面を映し出した、爽快な一夜──〈Sou LIVE 2024 「inside」〉

MCでは、若干時期外れではあるが、新年一発目ということもあり、「あけましておめでとうございます!」という挨拶からスタート。また今年1月1日に発生した能登半島での地震についても触れ、「日本はしょっぱなからパニックに陥ってしまって、来れなかったという人もいるかもしれないけれど、みんな楽しんでってほしい」と、大変なことがあっても今日だけはただ音楽を楽しんでほしいという思いを伝えた。

続いてのブロックは「ラグトレイン」からスタート。メランコリックなトラックに、持ち味である爽やかなヴォーカルを乗せていく。この曲は声を張り上げるような曲ではないが、それにも関わらずどんどん感情を揺さぶられるのは、Souの表現力が為せる技なのだろう。続く、「ヴィラン」では、「Clap your hands!」と叫んで手拍子を煽り、観客を巻き込んでライヴを作り上げていく。このブロックのラストの「命辛辛」では、心地よいサビの高音がZepp Hanedaに響きわたった。

【ライヴレポート】Souが自らの内面を映し出した、爽快な一夜──〈Sou LIVE 2024 「inside」〉

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この日Souは「どうですか?みなさんついて来れてますか?」と観客に向かって何度も問いかけていた。普段はネット中心に活動をしているSouにとって、リスナーに直接歌を届けることができるのは、このようなライヴだけである。だからこそ、この機会は貴重であり、その大切な時間を彼なりに大事にしたかったのだと思う。まあ、本人は「MCが苦手なんだよ」とちょっと照れくさそうに笑っていたが。

Souはそのあとも、観客を沸かせ続けた。「ミルキー」、「ホワイトハッピー」、「タイニーバニー」、「ゼロトーキング」といった人気曲を立て続けにパフォーマンス。曲ごとに表情を変え、その歌声で楽曲に彩りを与えていく。このライブのセットリストは、「ライブでやりたくて仕方がない曲」を中心につくられたとのこと。楽曲のコンポーザーも曲のジャンルも統一されているわけではなかったが、人間というものは、あらゆる感情や考えがぐちゃぐちゃになっているものである。まさに、Souの内面が映し出されているようなセットリストだった。次のブロックの「囮と致死毒」、「淡々、回想」、「チョコレートミルク」では、得意のウィスパーヴォイスで観客を魅了した。

【ライヴレポート】Souが自らの内面を映し出した、爽快な一夜──〈Sou LIVE 2024 「inside」〉

続く「おくすり飲んで寝よう」を指を立ててキュートに歌ったあとは、再びMCへ。このコーナーでは、Souのライブでは恒例となっている「Souだけにー?」「爽快ー!」というコール&レスポンスを行う。観客も気合い十分といった感じで、Souの導きに大きな歓声で答えていたのが印象に残った。男女別でのパートでは、幅広いリスナーの存在を感じさせた。

ここからライブは後半戦。Gigaが手がけた「CH4NGE」、米津玄師の「KICK BACK」といったアグレッシヴなナンバーをフロアに叩き込む。巻き舌を使った、がなるような渾身のシャウトで客席を沸かす。インターネットでは味わうこのできない、ライブならではの迫力のある歌唱には、思わず息を呑んだ。Souはさらに、「バグ」「ノウナイディスコ」といったBPMの速い楽曲を畳みかけ、観る者の心と身体を踊らせた。

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終盤のMCの中でSouはエモーショナルなピアノに乗せて「気分が落ち込んで、SNSの更新が止まってしまったりする時もあるんですけど、全く(音楽)活動を辞めるつもり無いので、これからも応援お願いします」と宣言。そして、「次の曲はみんなも歌ってください」という言葉のあとで歌われたのは、DECO*27が手がけた楽曲「妄想感傷代償連盟」。切なくも優しい歌声が会場中を包み込み、曲間には大きな合唱が響き渡った。本編最後は椎名もたの「少女A」。客席と同時に大きなジャンプで、この日のライブへの喜びを表現した。

アンコールは、Eveの「ナンセンス文学」でスタート。観客に向かって「みんな歌って!」と声を掛け、共に「ラッタッタ」と歌う、Souの表情は妙に満足そうだった。この日のライブは、バンドメンバーとともに作り上げたライブでもある。ありとあらゆるジャンルの楽曲を弾きこなし、グッズの紹介もばっちりこなす彼らの存在は、Souのライブには欠かせないのだ。また、この日のライブはビジュアル面での演出も素晴らしかった。映像の力が楽曲の世界を彩り、Souの歌の世界観をより深いものにしていたのは間違いない。

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和やかな雰囲気のまま始まったアンコールだったが、次に歌われた「炉心融解」では、その空気を一変させる。ボーカロイドのレジェンド的な名曲であり、Sou本人がどうしても歌いたかったという、この「炉心融解」。まさかの選曲に、イントロが鳴った時点で、会場からは悲鳴にも似た驚きの声が上がっていた。心地よい浮遊感と中毒性のあるメロディーで心を掴んだSouは、次に自身のオリジナル曲である「バブル」を披露。壮大な海をたゆたうような旋律に、心が洗われるような気がした。Souは最後に「盛り上がる曲持ってきました!」と「ノイド」をパフォーマンス。全身全霊を込めて、自らの感情を込めた歌声を届け続けた。

こうして、「Sou LIVE 2024~inside~」は幕を閉じた。ひとりで20曲以上をパフォーマンスし続けるという、ストロングスタイルなライブだったにも関わらず、その歌声は終始安定感があった。終盤の時点で「もう一回やる?」と冗談で言っていたが、本当にあと1回できるのではないかと思えるくらいだ。彼の歌声は単純に歌唱力があるだけではなく、どこか感覚に伝わるものがある。それはきっとSou自身が、聴く人に届いてほしいという想いがしっかりとあるからなのだろう。2024年は、まだはじまったばかりだが、Souはこれからもいろんな形で歌を届け続けていくだろう。もちろん彼なりのペースで。

【ライヴレポート】Souが自らの内面を映し出した、爽快な一夜──〈Sou LIVE 2024 「inside」〉

取材&文 : 西田健
撮影 : 川﨑龍弥 (isai Inc.)

<Sou LIVE 2024 「inside」setlist>

SE
M1 人マニア
M2 新興宗教
M3 ラグトレイン
M4 ヴィラン
M5 命辛辛
M6 ミルキー
M7 ホワイトハッピー
M8 タイニーバニー
M9 ゼロトーキング
M10 囮と致死毒
M11 淡々、回想
M12 チョコレートミルク
M13 おくすり飲んで寝よう
M14 CH4NGE
M15 KICK BACK
M16 バグ
M17 ノウナイディスコ
M18 妄想感傷代償連盟
M19 少女A

EN1 ナンセンス文学
EN2 炉心融解
EN3 バブル
EN4ノイド

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プロフィール

Sou (読み:そう)

YouTube チャンネル登録者は165万人、Xフォロワーは約65万人を持ち、インターネットの世界を原点に堂々たる存在感と才能を飛躍させるボーカリスト。ネットを活用する現代的なスタンスで次々に音楽を発表、持ち前の音感の良さと中性的な質感を孕んだ声による表情豊かな歌唱スタイルでセルフプロデュースによる投稿を繰り返しその勢いは増すばかりだ。
2nd Album「深層から」はオリコンチャート3位、3rd Album「Solution」はオリコンチャート 6 位を獲得。1st Live「Salir」、初の東名阪ワンマンツアー「深層から見た景色」を全公演ソールドアウトさせ、配信シングル「ミスターフィクサー」は海外の音楽チャートでも首位を獲得した。
[Sou公式HP] https://sou-official.jp/
[Sou X(Twitter)] https://twitter.com/Nico_nico_Sou
[Sou Staff X(Twitter)] https://twitter.com/sou_staff_mg

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