「花嫁のれん」観光列車で行く和倉温泉の旅。加賀伝統文化を満喫
こんにちは、漫画家&文筆家の「やすこーん」です。
今回は、石川県のJR金沢駅から観光列車「花嫁のれん」に乗って和倉温泉に向かう旅。和倉温泉では海沿いに建つ温泉宿に泊まり、日本海の海の幸をたっぷりいただきました。翌日は七尾にある「花嫁のれん館」を訪ねます。華やかな旅になりそうです。
東京駅を出発
北陸新幹線で金沢へ
まずはJR東京駅構内にある「駅弁屋 祭 グランスタ東京店」で、駅弁「初代越前かにめし」(番匠本店)を買いました。この駅弁は、北陸新幹線福井開業記念として、1961年(昭和36年)に誕生した初代かにめしを復刻したもの。
白い器にズワイガニの棒肉、グリンピース。カニの出汁で炊かれたご飯は、ほんのり甘く上品な味でした。
北陸新幹線は、2024年3月16日に、現在の「東京駅〜金沢駅」から、「東京駅〜敦賀駅(福井県)」まで延伸します。楽しみですね。
東京駅から金沢駅までは北陸新幹線「かがやき」で約2時間半です。「JR東日本びゅうダイナミックレールパック」を利用すれば、新幹線と宿のセットがお得に予約できます。
金沢駅に到着! 金沢駅の兼六園口にある「鼓門(つづみもん)」は、来るたびに写真を撮っています。金沢の伝統芸能、能楽で使われる鼓をイメージしているそうです。
「花嫁のれん」観光列車に乗車
花嫁のれん、出発!
「花嫁のれん」はJR西日本が運行している観光列車。金曜・土曜・休日を中心にJR金沢駅〜JR和倉温泉駅間を1日2往復走ります。乗車時間は、金沢駅から終点の和倉温泉駅までで1時間15分ほど。(※)
※編集部注:運転日や停車駅・時刻の最新情報は公式サイトをご確認ください。また、当日の運転状況は、移動生活ナビアプリ「WESTER」またはJR西日本列車運行情報をご確認ください
「和と美のおもてなし」をコンセプトとし、外観は北陸の伝統工芸である輪島塗や加賀友禅をイメージしたデザインだそうです。
2両編成の車両はすべて指定席。1号車は8つの半個室となっていて、それぞれ壁紙の模様が違い、「撫子の間」「錦秋の間」などの名称が付けられています。
2号車は紅色の生地と背面の木の格子が特徴的なオリジナル回転椅子が使われています。
私の席は1号車の「鉄線の間」。名前に「鉄」の字が入っていて、鉄道好きの私としては、なんだかうれしいです。
鉄線は、蔓(つる)が鉄のようにかたく強い植物(花)。かたい結びつきを連想させることから、縁起物として花嫁衣装などのデザインに使用されてきたそうです。
さて、列車が出発しました。今日はとてもいいお天気。窓の外には緑の稲穂に青い空、ポコポコと浮かんだ白い雲。まさに旅日和です。
花嫁のれんでは、車内で「スイーツセット」や「和軽食セット」を楽しむことができます。今回は、スイーツセット(生菓子+焼菓子+ソフトドリンク)をいただきます。
今回提供された生菓子は、「オペラマンダリン」。マンダリンリキュールを使ったチョコレートケーキで、金沢らしく金箔がのっています。ムースやクリーム、スポンジが9層にもなっており、深い味わいです。飲み物は、コーヒーか加賀棒茶が選べました。
焼き菓子は、サブレやバウムが数種入った詰め合わせ。それぞれ味が違っていて楽しめます。特に、能登の貴重なサツマイモを使った「能登金時バウム」が気に入りました。
このスイーツセットは、石川県七尾市出身で、世界的に活躍するパティシエ・辻口博啓氏のお店「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」のオリジナルセレクト。セット内容は季節によって変更になるそうです。
※編集部注:「スイーツセット」「和軽食セット」「ほろよいセット」は事前販売制。詳しくは公式サイトをご確認ください(乗車する列車により提供メニューは異なります)
食べたら車内探検へ。
1号車エントランスの壁と、伝統工芸が展示された棚の壁面には、なんと本物の金箔が貼られています。金沢の金箔は国内シェア99%を占めているそうです。
1号車にはお土産やお酒が買える売店があり、2号車には乗車記念スタンプが置かれています。終点間近で、アテンダントさんが記念パネルの撮影(※)をしてくれました。
※編集部注:列車の運行状況により、撮影がない場合があります
ゆけむりの宿 美湾荘 1日目
和倉温泉に到着!
和倉温泉駅には今日お世話になるお宿の送迎バスがお迎えに来てくれました。予約すれば列車に合わせて送迎してくれます。
送迎バスに乗って5分ほど、「ゆけむりの宿 美湾荘」に到着。すごく立派なお宿です。
今回のお部屋は落ち着いた和室。窓からは海が目の前に広がります。
お宿は七尾湾に面しています。中庭の堤防からは、なんと釣りを楽しむことができるとか。レンタル竿は餌、仕掛けがついて800円(税込)です。釣った魚は調理してもらえます(別途加工料がかかります)。釣りは昔やったことがありましたが、今は一人で魚をつかめる自信がなく、諦めました。
夕食まで時間があるので、和倉温泉の街中を散策しにいきました。まず行ったのは、美湾荘から歩いて10分ほどの「湯っ足りパーク 妻恋舟の湯」。こちらでは無料で足湯を楽しめます。ちょうどいい湯加減で、海を眺めながらしばらく入っていました。
そしてそこから「和倉温泉 総湯」まで歩くこと10分ほど。とても立派な建物ですが、銭湯なので、料金は安いです。こちらにも無料の足湯があり、飲泉ができます。飲んでみると、ものすごく塩辛く、苦みも。その味で、昔一度ここに来たことがあるのを思い出しました。
ゆけむりの宿 美湾荘の夕食
美湾荘で海の幸と日本酒
夕食の時間に合わせて宿に戻り、会場となる「個室ダイニング 彩」へ。
個室はそれぞれ内装が違うそうで、私が通されたのは木材と赤色の組み合わせの、落ち着いたお部屋でした。
お料理が運ばれてきました。日本海の海の幸を中心に、松茸の天麩羅、柿なます、銀杏やかぼちゃが入った錦秋蒸しなど、旬の品々が並んでいます。
特に感動したのが、のどぐろ・能登牛・あわびが入った「能登の宝箱」。台の下に火をつけて、和倉温泉の源泉で蒸して食べます。やわらかいあわびに、しっかりした旨みののどぐろ・能登牛を堪能。まさに「能登の宝箱」でした。
食事の途中で「地酒辛口セット」を頼みました。九谷焼の器に入ったお酒はどれもお料理に合う、すっきりとした味でした。
その後、季節の炊き込みご飯とお吸い物、香物、最後にデザートがでました。抹茶味のように見えるのは中島菜という能登野菜のアイス。全く苦みもなく、おいしかったです。
ゆけむりの宿 美湾荘 2日目
海を見ながら露天風呂
翌朝は早起きして、温泉に入りました。こちらの女性大浴場は天井に真珠をイメージしたアコヤ貝がびっしりはめこんであり、見事です。
露天風呂は海に面していて、源泉を楽しめます。大浴場、露天風呂ともに、泉質はナトリウム・カルシウム・塩化物泉。神経痛や婦人病に効くそうです。
朝食も昨夜と同じ「個室ダイニング 彩」で。色とりどりの小皿が並びます。焼き魚はなんとフグでした。朝から贅沢しています。
朝食後は、10時までコーヒーなどのフリードリンクが楽しめます。せっかくなので、海に面した中庭の先にあるテラスでいただきました。向こうには和倉温泉と能登島を結ぶ、能登島大橋が見えます。
お世話になった宿をチェックアウトし、再び和倉温泉駅まで送っていただきます。
花嫁のれん館
花嫁のれん館を見学
和倉温泉駅から列車で6分ほどのJR七尾駅へ。七尾駅から歩いて10分ほどの場所にある「花嫁のれん館」を訪れました。
「花嫁のれん」とは、幕末から明治時代にかけて、能登・加賀・越中で始まった婚礼の風習。嫁入りの日に嫁ぎ先の仏間に掛けられ、花嫁がくぐるのだそう。のれんには、縁起のよい絵柄が選ばれ、花嫁の幸せを願います。
花嫁のれん館では、明治から平成までの花嫁のれんを見ることができます。どの時代ののれんも本当に美しく、しばし見入ってしまいました。
せっかくなのでお土産を買って帰ります。こちらは花嫁のれん館のオリジナルキャラクター「お嫁ちゃん」が描かれた小皿。手描きで1つ1つ表情が違うので、一番気に入った娘を選びました。
再び七尾駅に戻り、七尾線で金沢駅まで。北陸新幹線で東京へ戻ります。
今回は能登半島の海の幸、お酒、温泉だけでなく、文化にも触れられた有意義な列車旅でした。北陸新幹線が延伸したら、さらに観光客が増え、賑わうことでしょう。
東京駅に到着
掲載情報は2023年12月15日配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
旅するメディア「びゅうたび」は、ライターが現地を取材し、どんな旅をしたのかをモデルコースとともにお届け。個性たっぷりのライター陣が、独自の視点で書く新鮮な情報を、臨場感たっぷりにご紹介します。
- ガジェット通信編集部への情報提供はこちら
- 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。