【ライヴレポート】「未来のモーニング娘。をよろしくね!」──〈モーニング娘。’23 コンサートツアー秋『Neverending Shine Show〜聖域〜』譜久村聖 卒業スペシャル〉
2023年11月29日(良いフクの日)。冬にも関わらず、暖かな空気が港町を包んだこの日。横浜アリーナにて『
この日をもって、卒業する譜久村聖は、ハロー!プロジェクトの研究生で構成されていた「ハロプロエッグ(現・ハロプロ研修生)」に2008年から所属していたメンバー。2011年1月からはモーニング娘。として活動を始め、2014年には9代目モーニング娘。リーダーに就任。それ以降現在までリーダー約8年務め、さらには2019年6月からはアンジュルムの和田彩花からバトンを受け取る形で、ハロー!プロジェクト全体のリーダーも担当し、大きな役割を果たしてきた。横浜アリーナには、譜久村のモーニング娘。としての最後の姿を目に焼き付けようと、多くのファンが集まっていた。
ライヴは10月にリリースされた最新シングルから“Wake-up Call~目覚めるとき~”でスタート。会場一面に譜久村のメンバーカラー“ホットピンク”のペンライトが輝いていた。今回の秋ツアーは、卒業を発表した譜久村の希望が大きく反映されたセットリストとのこと。そこには彼女のモーニング娘。としての歴史とグループへの愛が詰まっていた。
「この14人の声と14人のパフォーマンス、しっかりと目に焼きつけてくださいね!」とMCで告げると、“時空を超え 宇宙を超え”からはじまる次のブロックへ。前日のライヴは、安倍なつみをはじめとする歴代のOGメンバー10人がゲスト出演したスペシャルなものだったが、この日はモーニング娘。’23の現メンバーのみの出演。つまりは、彼女たちのひとりひとりの魅力を存分に味わうことができるライヴとなっていた。
“グルグルJUMP”まで歌い終えると、再びMCのコーナーへ。このMCブロックの進行は櫻井梨央が担当。牧野真莉愛と井上春華、弓桁朱琴が、譜久村との思い出を語った。そのどれもが微笑ましく、素敵な思い出たちだった。
ライヴはさらにここからユニットでの楽曲披露のブロックへと移る。トップバッターは、今年の5月に加入した17期メンバー井上春華と弓桁朱琴の2名。元気いっぱいに“好きな先輩”をパフォーマンス。フレッシュな末っ子からバトンを受け取り、次は生田衣梨奈、石田亜佑美、小田さくら、野中美希、羽賀朱音の5人が“悲しくなるようなRainy day”で先輩の貫禄を見せつける。さらにユニットブロックの3番手は、譜久村聖、横山玲奈、岡村ほまれが「秋麗」を披露。譜久村にとってはこれが最後のユニットということもあり、そのパフォーマンスには熱がこもっていた。ユニットブロックのラストは、牧野真莉愛、北川莉央、 山﨑愛生、櫻井梨央による“Moonlight night ~月夜の晩だよ~”。メンバーそれぞれの魅力がより際立ったユニット曲のブロックだった。
ライブはここから後半戦。“未来の太陽”からは14人全員が揃い、一体感のあるパフォーマンスを魅せていく。いつも元気な彼女たちの歌とダンスだが、この日はそれ以上に、明るく笑顔でパフォーマンスをしているように感じられた。
“Happy大作戦”で会場中を幸せなムードに包み込むと、再びMCへ。ここでは、卒業する譜久村へのメッセージを一言ずつ伝えるのだが、譜久村との出会いを伝えるメンバーもいれば、これまでの濃い思い出を語るメンバーもいたりと、それぞれの想いが溢れ出ていた。メンバーの譜久村への愛がまっすぐに届いた素敵な時間だった。
そして、ここからはライヴは終盤に向けてさらに、ヒートアップ。最新ディスコ・チューン“すっごい FEVER!”で、会場をすっごい熱気に包みこみ、さらに、“わがまま 気のまま 愛のジョーク”、“Go Girl ~恋のヴィクトリー~”でボルテージをさらに上げていく。そして、本編の最後に歌われたのは「涙ッチ」。この曲は、これまで多くのメンバーがこの楽曲で涙を流すことの多かった楽曲だ。しかしこの日はメンバー全員、明るく明るく全員笑顔で歌っていた。彼女たち自身が常に前向きでポジティヴだからこそ、その感動は大きくなっていく。観客全員による大合唱は、最後まで譜久村に声を届けようという気持ちがそうさせたのだと思う。
そして横浜アリーナ中に響き渡った特大の「みずき!」コールに導かれるように、アンコールがスタート。今回のコンサートのタイトルに掲げられた新曲「Neverending Shine(モーニング娘。’23 feat. 譜久村聖)」を披露。曲中で涙を流す生田に譜久村がそっと寄り添っていたのが、印象的だった。続く“One・Two・Three(23 Ver.)”を歌い終わると、生田が観客にこれからの思いを伝えていたのだが、その目には涙が浮かんでいた。生田は、譜久村に代わり次の10代目リーダーに就任するメンバーでもある。彼女は「これからもモーニング娘。を応援したいとか、新しくモーニング娘。を知っていただけた方を、もっともっと大きいステージに連れていけるように頑張ります」と宣言。そしてアンコールのラストは、譜久村と生田のモーニング娘。としてのデビュー・シングル“まじですかスカ!”。その選曲には、9期生としての歴史を感じられた。
しかし、ライヴはまだまだ終わらない。再び「みずき!」コールが響き渡る会場に、Wアンコールで、可憐な白いドレスに身を包んだ譜久村が現れたのだ。譜久村はこれまで共に活動してきたメンバーへの感謝、そして、応援してくれたファンへの感謝を伝える。最後の最後まで、これまでの思い出全てをつめ込んだ素晴らしいスピーチだった。
以下、譜久村の言葉を添える。
「私、譜久村聖は今日11月29日 モーニング娘。を卒業します。
2011年1月2日。つんく♂さんが掛けてくださった魔法の言葉で あの日から私はモーニング娘。になりました。
ハロー!プロジェクトが大好き過ぎた私は、大好き—-!という勢いのみでオーディションを受けました。
憧れていた世界とのギャップもあったし、努力や頑張りが想像の何倍も必要なんだと分かったし 好きなことと仕事の間で悩むこともあったけど、勇気の出る言葉をくださる先輩方がいて。つんく♂さん楽曲のメッセージに沢山救われて、いつだって隣に心強いメンバーがいて。そんなメンバーたちと一緒に3日間 5公演とか GW 毎日コンサート、40分間ノンストップ真夏の野外フェスを乗り超えたことも本当に嬉しいことでした。
そしてどんな時も大きな愛をくれたファンの皆さん。皆が沢山の愛をくれるから、私たちは笑顔で活動することが出来ています。この先も、皆さんにいただいた言葉を思い出して、 何度でも強くなれると思います。ありがとう。
ずっとモーニング娘。として駆け抜けてきたから、明日からの自分が何してるのかなって、まだ考えられません。でもやっと、私が夢としてきた、後輩たちに夢を託すことが叶います。
モーニング娘。には素敵な子たちがいっぱい居ます。
加入して半年の17期。リハーサル中はまだ不安そうな顔してるけど、ステージではもう一人前の顔を見せてくれます。はるさん、あこちゃん、どんどん経験を重ねて、自分なりのモーニング娘。になっていってね!
16期。まだ加入2年目なのにここまで仲良くなれたのはらいりーのおかげです。らいりーは色んな可能性をモーニング娘。に持ってきてくれました。今のモーニング娘。の表情の王様!これからもよろしくね。
自由奔放で愛されパワーを放つめい。可愛らしい中に芯の強さが見えるほまれ。湖のように洗練された綺麗な北。三者三様な歌声が素敵な15期。3人には沢山癒されたよ。愛が出過ぎてメンバー皆おばあちゃん化しちゃいました。そんなパワーを持ちながら。伸び伸びと活躍してく姿、見守っています。
13期。 多才で絶対的な安心感がある横ちゃん。甘えんぼうだけどお姉さんでもあって、 色んな部分で助けてくれました。これからも皆を自然とサポートしてるんだろうな〜優しい横ちゃん、本当にありがとう。
9年前にこのステージでお披露目をした12期。3人とも大きくなりました。繊細かつ大胆な歌声を響かせる野中。ホームラン級な努力が出来るまりあ。愛情をいっぱい伝えてくれるあかねちん、ちょっと愛が重いけどね(笑)。3人のぶれない心がこれからのモーニング娘。を強くしてくれると信じています。
小田、独特だけど全部が愛の塊なんだよね。これからも小田らしくモーニング娘。を愛し、音楽を愛し、リズムを愛して、楽しく活動していてほしいな。常に歌を引っ張ってくれてありがとう。
ハロプロで唯一の同い年あゆみん。あゆみずきの思い出いっぱいだね。負けん気、気合い、熱量。これからも得意分野を活かしてキレッキレに輝いてね。
そして同期のえりぽん。13年間ずっと隣で支えてくれてありがとう。信念が強いところ。 色んな人に愛されてるところを私は見てきました。 えりぽんなら大丈夫 だよね。未来のモーニング娘。をよろしくね。
これからも私の頭の中からモーニング娘。が離れることはないと思います。
それ程かけがえの無い存在、仲間たちに出逢えました。
この横浜アリーナのステージ
『降りといで!』
あの日信じられないくらい幸せだった女の子は、今日も一番の幸せものだと思います。こんなに綺麗な恋ぴんくが見れて、本当に幸せ 。
今まで本当にありがとう。ハロプロエッグから数えると15年。出会ってくれて、見つけてくれてありがとう。きっと何年経っても 『あの時はありがとう』って思うと思います。私にとってみんなは、いつまでもずーっと特別な存在です。本当にありがとうごさいました。
モーニング娘。譜久村聖」
そして、歌われたのは、譜久村が最も好きな曲だという“I WISH”。「人生って素晴らしい」。そう強く歌う彼女の歌声には大きな愛がこめられていた。多幸感に包まれる中でラストは全員で「みかん」を熱唱。こうして、『モーニング娘。’23 コンサートツアー秋『Neverending Shine Show〜聖域〜』譜久村聖 卒業スペシャルは大団円で幕を閉じた。
譜久村は終演後、なかなか鳴り止まない「みずき!」コールに応えるように、ゆっくりゆっくり時間をかけて横浜アリーナの客席をぐるりと周り、「ありがとう」と何度も感謝の言葉を口にした。真剣な眼差しで笑顔を振り撒き、真摯に想いを伝えていく姿が妙に印象に残った。長いモーニング娘。としての人生を終えた譜久村だが、彼女の人生はまだまだ続いていく。そして、これからの彼女の人生もきっと素晴らしいものになるだろう。だってこんなにも多くのファンを、幸せな気持ちにしていったのだから。
取材&文 : 西田健
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セットリスト
モーニング娘。’23 コンサートツアー秋「Neverending Shine Show 〜聖域〜」譜久村聖 卒業スペシャル
2023年11月29日 横浜アリーナ (神奈川)
M1 Wake-up Call~目覚めるとき~
M2 HEAVY GATE
M3 セクシーキャットの演説
M4 気まぐれプリンセス(23 Ver.)
M5 What is LOVE?(23 Ver.)
M6 恋愛Destiny~本音を論じたい~
M7 Only you
M8 時空を超え 宇宙を超え
M9 愛しく苦しいこの夜に
M10 元気ピカッピカッ!
M11 なんざんしょ そうざんしょ
M12 グルグルJUMP
M13 好きな先輩 / 井上、弓桁
M14 悲しくなるようなRainy day / 生田、石田、小田、野中、羽賀
M15 秋麗 / 譜久村、横山、岡村
M16 Moonlight night 〜月夜の晩だよ〜 / 牧野、北川、山﨑、櫻井
M17 未来の太陽
M18 ワクテカ Take a chance(updated)
M19 Say Yeah!-もっとミラクルナイト-
M20 What’s Up? 愛はどうなのよ〜
M21 いきまっしょい!
M22 OK YEAH!
M23 Happy大作戦
M24 すっごいFEVER!
M25 わがまま 気のまま 愛のジョーク(23 Ver.)
M26 Go Girl 〜恋のヴィクトリー〜
M27 涙ッチ
M28 Neverending Shine(モーニング娘。’23 feat. 譜久村聖)
M29 One・Two・Three(23 Ver.)
M30 まじですかスカ!
M31 I WISH / 譜久村
M32 みかん
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