半導体や電子部品を扱うオンライン/Eコマース商社のマウザー・エレクトロニクスが、東京・品川でメディア向け発表会を開催。シニア・バイス・プレジデント(上級副社長)のマーク・バーロノン氏、APACマーケティング担当/バイス・プレジデント(副社長)のダフネ・ティエン氏が来日し、本社副社長・日本総責任者の勝田治氏とともに登壇。2023年上半期の業績を振り返りながら、現在の取り組みや今後の展望を語った。
マウザー・エレクトロニクスの概要と業績
マウザー・エレクトロニクスは、米テキサスに本社を構える、半導体や電子部品のディストリビューター(卸売業)。世界28か所に拠点を持ち、日本も東京・港区にオフィスを構えている。
業績はどうか。直近の販売実績を見ていくと、2020年の総売上2億ドルだったが、2022年には4億ドルの売上に到達。わずか2年の間に売上が倍増しており、急成長を遂げている。一方で、2023年上半期の売上を見ると、アジア地域で昨年比マイナス17%まで落ち込んでおり、懸念材料はゼロとはいえない。しかしながら、マウザーのグローバル全体で見れば売上は昨年とほぼ変わらず、アメリカ、ヨーロッパでは製品の購入者数が微増。アジア地域の購入者数もマイナス2%に留まっており、来年度以降の売上回復に期待できるという。
1200を超える半導体・電子部品ブランドを取り扱い、各メーカーと正規代理店として契約しているため、販売する商品はすべて正規品だ。とくに半導体の取り扱い品数は30万点を超えており、業界内でも存在感を放っている。
膨大な量の商品を扱うため、2001年から継続して本社倉庫を拡張。世界各国からの注文に対し、巨大な倉庫1拠点で在庫管理・物流管理を行っている。VLM(垂直リフトモジュール)やロボットなどのオートメーションを駆使した倉庫の拡張を続けており、2024年の春には61.3万平方フィートの広大な新棟も開設予定だ。
日本ビジネスの業績は?
日本おけるマウザーの業績を見ていくと、東京にオフィスを開設した2015年と比較して、2022年時点で販売金額は約8倍、顧客数は約6倍と順調だ。その売上のおよそ6割が半導体製品にあたる。
新型コロナウイルスによる世界的なバンデミックの影響で、2020年からのおよそ2年間は半導体業界も物不足が深刻化したが、マウザーはこの期間に業績を顕著に伸ばしている。“オンライン商社”という業態が功を奏し、正規品の在庫を潤沢に持つマウザーへの注文が増加したのだという。そうした要因もあり、2022年には初めて競合他社の日本向け市場の中で売上1位を獲得(同社調べ)。2023年度は“コロナ明け”に該当するが、上半期の時点では売上トップをキープできているという。
業界発展と若手育成への取り組み
マウザーでは、より製品への理解を深め、新規顧客やリピーターを増やすために、さまざまな施策を行っているという。たとえば、マウザーの公式サイトは34言語で閲覧できる多言語対応で、購入に使える通貨も27種類と豊富だ。また、膨大な製品の中から素早く目当ての製品が探せるよう、BOMツール(部品表)も無料で提供している。新製品がリリースされれば短期間で製品詳細ページを作成・公開し、販売機会を逃さない。
また、業界のリーディングカンパニーを目指し、新しいテクノロジーの導入も進めている。2023年はグリーンエネルギー、Matter、デジタル治療、環境センサー、WiFi 7に注目し、最先端の情報をシェアするため、誰でも閲覧できるテクニカルコンテンツを配信。日本ではオリジナルの電子工作作品を募る開発コンテスト「Mouser Make Awards 2023」を開催するなど、業界の発展や若きエンジニア・クリエイターの成長にも貢献していく。