【問題視】人気カレー店『カレーノトリコ』に酷似した『カレーの虜』オープン / 広告塔に印度カリー子と岸明日香「勝手に使われて最悪です」

東京・神田で人気を博しているスパイスカレーの名店『カレーノトリコ』(東京都千代田区神田鍛冶町3-5)。インド風カレーとドライカレーが食べられ、そのどちらも楽しめる「あいがけカレー」が特に人気だ。

カレーとレモネードが絶品『カレーノトリコ』

トッピングを追加して具だくさんにして食べる客も多い。カレーだけでなく、レモンまでムシャムシャ食べられる自家製レモネードも絶賛されている。

『カレーノトリコ』と店名が酷似している『カレーの虜』オープン

そんな『カレーノトリコ』に関する出来事が、インターネット上で注目を集めている。『カレーノトリコ』と店名が酷似している『カレーの虜』( 東京都千代田区鍛冶町2-9-5-B1)がオープンし、フードデリバリーサービス『ウーバーイーツ』で営業を開始したのである。店名が酷似というより、ほぼ同じである。そして同じ神田という地で営業開始している点も看過できないポイントといえる。

これに関して『カレーノトリコ』の店主が公式X(旧Twitter)で言及。『カレーの虜』に入ったオーダーの料理を、勘違いして『カレーノトリコ』に受け取りに行ってしまうウーバーイーツ配達員がいたようである。

<カレーノトリコのXツイート>

「注文ないのにUberの配達員が来るからおかしいなと思ったらこういうことか。さーてどうしましょ」




<カレーノトリコとの類似点>
店名がほぼ同じ
料理ジャンルが同じ
地域が同じ

店名も料理ジャンルも地域も同じ『カレーの虜』

どうして『カレーノトリコ』とほぼ同じ『カレーの虜』という店名でオープンしたのか? カレーというジャンルも同じであり、神田という地域も同じである。

『カレーの虜』に行ってみた

実際に『カレーの虜』に出向き、店員に話を聞いてみることにした。ウーバーイーツに記載されている『カレーの虜』の住所をチェック。その場所まで行ってみると、『和牛と創作料理 神田 一期屋』という居酒屋があった。

どうやら『一期屋』の店内で『カレーの虜』のカレーを調理

『一期屋』は地下にあり、通路には「配達パートナー受け渡し場所 Uber Eats」と書かれたシールが貼られていた。どうやら『一期屋』の店内で『カレーの虜』のカレーを調理しているようである。『一期屋』は『カレーの虜』と考えて間違いない。

『カレーの虜』は『カレーノトリコ』の存在を知っている

店内に入ると、店長・店主らしきスタッフが対応してくれた。『カレーノトリコ』との関連性を聞いてみると、「あっちとはまったくの別物です」とのこと。『カレーの虜』は『カレーノトリコ』の存在を知っているようだ。

カレーは店内で食べることはできず、「いままでお持ち帰りはやっていたのですが、ウーバーイーツも始めました」「ウーバーだけです」と話していた。

<判明したこと>
『一期屋』は『カレーの虜』である
『カレーの虜』は『カレーノトリコ』の存在を知っている
『カレーの虜』はウーバーイーツ専門店

印度カリー子さんとタレントの岸明日香さんが広告塔

その後、『カレーの虜』の公式サイトが発見された。公式サイトはしっかり作り込まれていて、コンサル担当者がいると思えるほど本格的なデザイン。事実上の広告塔として、スパイスカレーのプロ・印度カリー子さんと、タレントの岸明日香さんがサイトに掲載されていた。

印度カリー子さんと岸明日香さんのカレーが食べられる『カレーの虜』

『カレーの虜』の公式サイトに掲載されているメニューを見てみると、印度カリー子さんと岸明日香さんが関わったと思われるカレーが掲載されていた。

つまり『カレーの虜』にウーバーイーツでオーダーすれば、印度カリー子さんと岸明日香さんのカレーが食べられることになる。

『カレーの虜』と『バズレシピストア』がコラボ

『カレーの虜』の公式サイトには、フード通販サイト『バズレシピストア』のリンクが掲載されている。『カレーの虜』と『バズレシピストア』はコラボレーションしており、『カレーの虜』のカレーを『バズレシピストア』で買えたり、『カレーの虜』のプレゼント企画をしているようである。

『カレーの虜』のカレーと同じものが買える『バズレシピストア』

実際に『バズレシピストア』のサイトを見てみると、『カレーの虜』のメニューと同じカレーを購入できることが確認できた。印度カリー子さんと岸明日香さんが関わったと思われるカレーである。また、バズレシピで著名な料理研究家・リュウジさんの本気ソースも購入可能だ。

印度カリー子さん「私も勝手に使われて最悪です」

この件に関して、『カレーの虜』の広告塔として使われていた印度カリー子さんは遺憾の意を表明。「私の認識外で発生している出来事」「私も勝手に使われて最悪です」とツイート。それが事実ならば、まったく知らなかったようである。

岸明日香さんはこの件に関して一切コメントを発表していない

同じく広告塔として使用されているタレントの岸明日香さんは、この件に関して一切コメントを発表していない。気がついていないのか、それとも確認中なのか、そもそも広告塔として許諾を出していたのか、詳細は不明だ。

<印度カリー子さんのXツイート>

「私の認識外で発生している出来事です。今、制作したと思われる会社に削除依頼をかけています。ご迷惑おかけして申し訳ありません」

「ここで販売されている『至福のチキンカレー』は私が監修した商品です。なので、この製造元に問い合わせればルーツが突き止められます。仮にもこの名称で出店しようとすれば私が認可する訳がありません。私も勝手に使われて最悪です」


<このような感じ>
印度カリー子さんは意図せず広告塔として使われていた
岸明日香さんも広告塔として使われている
岸明日香さんが広告塔になることを許諾していたかどうかは不明

なぜ『カレーノトリコ』ブランドに便乗するような展開を?

ここで疑問に思えてくるのが、ここまでしっかりとサイトまで作り、通販サイトともコラボするほどの企業が、どうして『カレーノトリコ』というブランドに便乗するような展開をしてきたのか? という点である。

店名がほぼ同じ、料理ジャンルが同じ、地域が同じという展開、まっとうな企業であれば、相手だけでなく自社のリスクも考え、絶対に避けるべき行為である。『カレーノトリコ』の店主、そのファン、そしてカレーファン、そのすべてがヘイトな気持ちになるのは避けられない。

デセールクレアが『カレーの虜』を運営

今回、この件に関して『カレーの虜』とコラボしている『バズレシピストア』に連絡をとってみたところ、あくまで電話対応をした女性の返答ではあるが、『カレーの虜』を運営しているのは『バズレシピストア』(の運営母体である株式会社デセールクレア)であることが判明。女性の返答が事実なら、デセールクレアが『カレーの虜』を運営し、自社の『バズレシピストア』とコラボをしていたわけだ。

デセールクレアは、食品に関するコンサルティングなどをしている会社のようである。

<株式会社デセールクレアの紹介文>

「新規商品のご提案、オリジナル商品の開発から販路拡大までトータルサポート 私たちデセールクレアでは、菓子類、惣菜等を中心とした食料品全般を取り扱い、ニーズに沿った安心で安全な食品をご提供いたします」

ランチタイムからオーダーできない状態『カレーの虜』

2023年11月3日夕方、『カレーの虜』公式サイトのトップページが「現在準備中です」と表示される状態になった。ただし、メニューページやコラボページなどは消えていない。

そしてその夜、突如として「関係者の皆様、お詫び申し上げます」と題したコメントが『カレーの虜』公式サイトのトップページに表示された。

<カレーの虜トップページのコメント>

関係者の皆様、お詫び申し上げます

カレーノトリコ様
印度カリー子様
岸明日香様

この度、当店(カレーの虜)が無許可で「名称」並びに「肖像権」を使用し、関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛けしたことを心よりお詫び申し上げます。

誠に申し訳ございませんでした。

「カレーノトリコ様と類似店舗名で営業していたこと」
「印度カリー子様と岸明日香様に許可なく名前や写真を使用していたこと」

当店の勝手な行動により、関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛けして猛省しております。

この件での責任は全て当店にありますので、本日をもって「カレーの虜」の運営を終了いたします。

この度は関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛けして大変申し訳ありませんでした。

カレーの虜

シメの記名を「カレーの虜」にしている

このお詫びの言葉で注目したい点がひとつある。「カレーノトリコ様と類似店舗名で営業していたこと」を謝罪しつつ「無許可で名称並びに肖像権を使用し、関係者の皆様に多大なご迷惑をお掛けしたことを心よりお詫び申し上げます」としながらも、シメの記名を「カレーの虜」としている点である。

「カレーの虜」という名称を使用したことを謝罪しつつ「カレーの虜」でシメる謝罪文。そこは運営母体である社名を入れるべきではないだろうか。

『カレーの虜』のウーバーイーツも停止中

また、『カレーの虜』のウーバーイーツも停止中で、本日のランチタイムからオーダーできない状態が続いている。『カレーノトリコ』の店主がツイートで問題を指摘した直後のことだ。

『カレーの虜』ウーバーイーツからオーダーしようとすると別のカレー店に

もうひとつ不可解な点がある。『カレーノトリコ』の店主がツイートで問題を指摘して以降、『カレーの虜』のウーバーイーツからオーダーしようとすると、別のカレー店が表示されるようになった。『カレーの虜』のカレーをオーダーすると、別のカレー店から配送される表示に。神田からかなり離れた渋谷区の飲食店なのだが……。

別のカレー店「ト、トリコ? シラナイヨ」

『カレーの虜』と別のカレー店は関係があるのか? 実際に確認してみると、店員はまったく『カレーの虜』のことを知らないようで「ト、トリコ? シラナイヨ」「ウーバー ヤッテルケド カンケイナイヨ シラナイ」と話していた。

デセールクレアはしっかりと弁明したほうがよい

このインターネット時代、他店のブランドに便乗するビジネスは、やり方を間違えると炎上のもとであり、儲けるどころか、自社ブラントと信用を傷つける展開になりかねない。もし『カレーの虜』に関して誤解や間違い、誤報があり、事実無根なのであれば、デセールクレアはしっかりと弁明したほうがよいだろう。

『カレーノトリコ』はウーバーイーツでも展開

ちなみに、『カレーノトリコ』はウーバーイーツでも展開しており、店のおいしさを自宅で楽しむこともできる。今回は無慈悲で不条理なトラブルに巻き込まれてしまった『カレーノトリコ』だが、ここで食べるカレーは絶品なので、カレーが好きな人はぜひ食べてみてほしい。

<このような感じ>
『カレーノトリコ』に便乗するかたちで『カレーの虜』オープン
『カレーノトリコ』と『カレーの虜』は完全に無関係
『カレーの虜』と『バズレシピストア』の運営は株式会社デセールクレア

(執筆者: クドウ@地球食べ歩き)

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